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紫眼《しがん》の魔法使い。ウィルスに感染したVRMMOで巻き起こるデスゲームを生き延びろ!  作者: ぐーてん
第1章 全滅=ゲームオーバー=強制ログアウト=“死”
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GAME OVER

 強制ログアウトという名の“死”に怯えながら訪れたダンジョン。

 まさかこんなにも身を強張らせながらダンジョン攻略をする日が来るだなんて思いもしなかった。



 いつもは邪魔するモンスターに挨拶代わりにMPマジックポイントの消費をガン無視した、キルオーバーぶっちぎりの魔法をぶち込んで、その後遭遇するモンスターにやられてゲームオーバー。そして、強制ログアウト。

 まあ、ストレス発散にもなったし丁度良かったかな、と自分に言い聞かせて再度ログインして、またダンジョンへと赴き似たようなことを繰り返す。



 それが俺の日課のようなものだった。

 本気でダンジョン攻略するつもりなんてさらさらない。

 強力な魔法を使って爽快に気分転換。

 それが、俺がこのゲームを利用していた唯一の理由と言っても過言じゃあない。



 なのに俺は今、視界の左上に表示されている青色のHPヒットポイントバー、そして緑色のMPマジックポイントバーを気にしながら、恐る恐るダンジョンの通路を歩いていた。

 どちらもゲージはMAXの状態だが、それでも俺の心を落ち着かせるには至らない。

 むしろこれが少しでも欠ければパニックになる自信さえある。



 いつ敵と遭遇してもいいように、魔法の発動に必要なアイテムである魔法書を開いて、「さぁどっからでもかかって来い!」、と心の中で啖呵を切ってみる。

 けど、実際には出てこないでくださいと土下座する勢いで神様に祈ってはいたが。



 たいまつの明かりを頼りに通路をひたひたと歩く。

 一度訪れたことのあるダンジョンだ。

 以前と同じルートを辿っていれば、いくら学習能力がない俺でもゴールである『祭壇さいだん』近くまでは辿り着けるはず。

 自虐的に自分を励ましながら、俺は視界の右下に薄く表示されているマップを何度も確認する。

 モンスターと遭遇しないように慎重に慎重を重ねた足取りで先を目指す俺だが、そんな及び腰な俺の姿に苛立った様子の声が後ろから聞こえて来た。


「おい、さっさと歩けよ!」


「入ってから結構歩いてるぞ!」


「一度入ったことがあんだろ!」


 男3人分の不満そうな声が、壁に反響しながら先の見えない通路の奥へと響き渡る。


「頼むから静かにしてくれよ!」


 俺は小声で叫びながら後ろを歩く3人の男達に呼びかけた。

 黒いローブを身に纏い、俺と同じ魔法使いの恰好をした3人組の男。

 彼らは魔法書を構える素振りすら見せず、手を頭の後ろに組んだり、あくびをしたりと余裕しゃくしゃくな様子でこっちを見ている。

 更に男達の後ろには、同じく魔法使いの恰好をした2人の女がいた。



 ちなみに彼らと俺は先程で会ったばかりの初対面である。

 なぜそんな大して仲良くもない5人とダンジョン攻略することになったのか。

 それは俺がこのダンジョンに入るところを後ろにいる2人の女に声をかけられたところから始まる。



 話を聞いたところ、どうやらVRMMORPGである『WCウィザード・コレクション』をプレイするのは初めてとのこと。

 そもそもフルダイヴ型のVRMMOというものを体験すること自体が初めてらしい。

 WCは発売されてからまだ日の浅い最新のVRMMORPGだ。

 革命的なシステムと、これまでにない自由度の高さ。

 発売当時は様々な謳い文句で売り出されていたこのソフト。

 当時の俺は周囲の熱狂的な声に同調できる程、VRMMOに興味がなかったし、何が凄くて何が面白いのかも知らなかった。

 ただ“次世代”という、「なんか凄そうだ!」、的な感覚で買ったことは否定できない。



 だから彼女らに説明できる程、俺も詳しくは知らないし、基本的な知識しか身に付いていない。

 それでも彼女らからすればWCを経験したことがあるというのは心強く感じたらしく、一緒に攻略しようと持ち掛けてきたわけだ。



 俺も1人で攻略するのは中々に心細かったので、その提案を快く受け入れたわけだが、しかしそれがすぐに間違いだったことに気付く。

 その後に示し合わせたように現れた3人の男。

 どうやら女を使って俺に同行すること認めさせて、ついでに自分達も連れて行けということらしい。

 ただ、人数は多い方がいいという安易な理由でオーケーしたのだが……。



 これがなんともまぁ使えない。

 足手まといにしかならない。ただただ、足手まといにしかならない。

 一緒に、という言葉の意味を少し考えさせられた。



 こいつらは俺が道案内をしてやってるのに、こっちを無視して勝手にどっかに行こうとするし、モンスターが現れた時のために、魔法が発動できるように魔法書を開いておけと言っても、魔法を覚えてないから使えないと俺に頼りっきり。

 今だって無駄に声を上げてモンスターとのエンカウント率をわざわざ上げてくれた。

 モンスターには行動範囲があり、普段はその中をうろうろしているわけだが、たまにプレイヤーの声に反応して、ご丁寧に出迎えてくれたりすることがある。

 こっちとしてはえらい迷惑だが。



 俺は周囲に聞き耳を立てながら表示されているマップを固唾を呑んで凝視した。

 マップには俺を示す赤い丸と、その後ろに自分以外のプレイヤーを示す三角の赤いアイコンが3つ並んでる。

 そしてしばらくして他に表示されるものがないことを確認すると、俺は安堵するようにして大きく息を吐いた。


「祭壇まではもうすぐだから、頼むから黙って着いて来てくれ」


 俺はうんざりしながらも改めて通路の先を目指して歩く。

 この辺りまでは以前にも来たことはあったが、ここから先は俺も知らない道だ。

 表示されているマップには、俺のいる場所から先は途切れていて道が見えなくなっている。

 初めて通る道だということがマップ越しでもわかった。



 しかし俺たちのすぐ傍に星マークのアイコンが見えていることから、ゴールが近いということも同時にわかる。

 星マークは“祭壇”と呼ばれる場所を示してる。

 あとはそこを目指して歩くのみ。

 祭壇に辿り着きさえすれば、後はボスモンスターを倒してクリア。

 こいつ等ともようやく、おさらばできるってわけだ。



 ただ問題なのは、そのボスモンスターを後ろの役立たず5人を連れた状態で倒すことができるかどうかだ。

 一応俺は魔法を使えるけど、それがボスモンスターに通用するかどうかはわからない。

 後の5人なんてお荷物状態だ。

 こいつらはいっそボスモンスターを倒すための囮にでも使ってやろうか。

 俺はこれまでに溜まった苛立ちを決して口には出さずに心の中でぶちまけてやった。



 しかしそんな俺の不満が表に出ていたのか、5人組のうちのリーダー格の男が不機嫌そうに俺の背中を蹴り飛ばしてきた。


「お前みたいな軟弱そうな奴と一緒に行動してやってるんだから、もっとキリキリ歩けよ!」


「……ッ!」


 背中に受けた衝撃にバランスを取る余裕すらなく俺は固い地面へとダイブする形になった。

 衝撃で魔法書が俺の手から逃げるように石畳の上を滑っていく。

 顔を激しくぶつけながらも痛みはない。

 痛覚自体が知覚できないようにシステム上で遮断されていたから。

 それでも鈍い衝撃と僅かに痺れる不快感が俺の体を襲った。

 おまけ程度に俺の貴重なHPヒットポイントバーがほんの少し削れてしまった。


「魔法が使えるからって俺らよりも上になったつもりか?」


 威圧的な男の声にホントどうしてこんな奴らと一緒に行動したのか、少し前の自分を呪いたくなる。


「言っとくけどな、俺は拳には自信があるんだ! 兄貴はボクシングの地区大会で優勝した経験だってあるんだからな!」


 コイツは本気で言ってるか?

 俺は思わず自分の耳を疑った。

 この世界において現実世界での肉体的な強さは全くもって意味をなさない。

 筋力パラメーターがアバターである俺達の分身に反映されるなんてことはまずありえないし、あっても反射神経や動体視力程度。

 もしかしてコイツはボクシングで必要とされている動体視力のことを言ってるのか?

 そう思ったが、頼んでも無いのにシャドーで強いぞアピールする男を見て、俺は絶対に勘違いしてるな、と確信した。



 そもそも魔法使いの恰好をしてシャドーとかシュール過ぎるし、なにより優勝したのはお前じゃなくて兄貴かよ!

 お前関係ないじゃん!

 もう色々とツッコミどころがあり過ぎて、溜め息しか出なかった。



 倒れたまま振り向く先で、男たちの後ろにいる女のうちの1人と目が合う。

 隣にいる黒髪の女はクスクスと笑いながら俺を見ていたが、目が合った女は心配そうな表情で俺を見ていた。

 茶色い髪を肩まで伸ばした小さな顔立ち、すらりとした体に黒い魔道着はお世辞ではなく凄く似合っていた。

 正直言うと俺のタイプだったし、彼女がいたから邪魔な連中がいても我慢出来ていた。



 服についた誇りを払いながら立ち上がる。

 もう後ろの奴らとは話すのも嫌なので無視して先を進むことにした。

 俺は落ちた魔法書を拾いながら、ふとマップに視線をやると、すぐ隣に星マークのアイコンが目と鼻の先にあることに気がついた。



 そのまま視線を隣へ移す。

 すると、そこに見えるの自ら重要な部屋だと訴えかけてくるような派手な装飾の施された取手の無い重々しい両開きの扉。

 扉一面に掘られた悪魔をモチーフにした牛の怪物は扉を開けようとする冒険者への威嚇だろうか。

 だとすれば十分効果はあった。

 何故なら俺はその場から動けずにいたから。


「着いた」


 安堵半分、緊張半分といった具合でポツリと俺は呟いた。


「本当か!! でかした!」


 俺の声を聞きつけて3人組の男が嬉しそうに走り寄ってくる。

 けど俺は嬉しいどころではなく、扉を開けるべきどうかについて悩んでいた。

 果たして今ある俺の戦力で中の相手に勝つことはできるのか?

 やっぱりここ念には念を入れて本当の意味で一緒に攻略できる人間を探すべきじゃないか?



 けど俺の心配なんて知ったこっちゃないとばかりに、3人組はリーダー格の男を先頭に、いとも簡単に扉を開いてしまった。


「お前たちはどうする?」


 男の1人が俺の隣にいる黒髪の女に声を投げかける。


「ウチらはここで待っとくよ」


 ぶっきらぼうに答える女に、「そうか」とだけ答えて男は部屋の中へと消えて行った。

 そして最後尾の男がご丁寧に俺の胸をドンと押して、背後の壁へ押しやるとそのまま扉を閉じてしまった。


「お前はもう帰っていいぞ」


 という無慈悲な言葉を残して。



 一瞬呆気に取られてしまった俺だが、中に入った奴らが何をしたのかを理解すると慌てて扉を開けようと試みる。

 あの3人組の様子からして、初めから美味しいとこだけ頂いて用済みになったら俺を捨てるつもりだったんだろう。

 仲間と思わせて土壇場で裏切る。

 他人の力を借りて楽してダンジョンを攻略することはよくあるこだし、有効的な手でもあるが、その分トラブルを上げればきりがない。

 まあ連中のことだから俺みたいな人間ならどうとでもなると思ったんだろう。

 拳には自信があるみたいだし。



 ただ、だったらもう少し仲間の素振りを見せろよな。

 と、俺は思わず心の中でツッコミをいれた。


「ねぇ、邪魔だからアンタ帰ってくんない?」


 黒い髪を弄りながら、面倒くさそうに話す女。

 この女は状況がわかってないのか?

 いや、わかってないからそんな呑気でいられるんだろう。

 俺は相手をするのも面倒なので無視して考える。



 アイツらがどこまで理解してボス部屋から俺を締め出したのかはわからないが、とりあえず、魔法が使えないくせに唯一魔法が使える俺を仲間外れにしたのだから馬鹿であることは確かだろう。

 裏切るタイミングをどう考えても間違えてる。



 俺は必死に扉を押してみるがビクともしない。

 当然といえば当然か。

 ボス部屋である祭壇の部屋は、一度扉が閉まるとボスが倒されるまで開かれることはない。

 つまり、お馬鹿3人組が中のボスを倒さない限り、扉が開くことは永遠にない。



 ただ、もう一つだけ扉の開く可能性があった。

 それは中に入ったプレイヤーたちの全滅。

 その条件が満たされさえすれば、扉は解放され、別のプレイヤーがチャレンジできる仕組みになってる。

 しかし今のこの世界において全滅が何を意味するのか考えるまでもない。


『全滅=ゲームオーバー=強制ログアウト=“死”』


 コンティニューなんて存在しない一度きりの……。


「あの……」


 俺の後ろからこれまで一度も口を開かなかった茶色い髪の女が声をかけて来た。

 もう1人のタイプじゃない方の女だったら無視を決め込むつもりだったが、この子に声をかけられたら無視するわけにはいかない。

 振り向く俺に向かっておずおずといった様子で口を開く。


「もしかして、今ってかなりマズい状況なんじゃ……」


 どうやら隣にいる女とは違い良識のある奴みたいだ。

 俺は中に入った3人がどれだけ危険な状態かを話そうとするが、しかし黒髪の女の小さな悲鳴によってそれは遮られてしまった。


「ひっ……」


 部屋の中の声が聞こえて来る阿鼻叫喚と地を揺るがすほどの大きな振動。

 恐らくボスモンスターが現れたんだろう。

 俺は扉越しに聞こえて来る悲鳴と絶叫を聞いて絶望した。

 もう手遅れであること良くわかったから。


 ドンドンドンドンッ!!!


 扉を内側から力任せに叩く音が、扉に触れている自分の手を通して痛いほど伝わってきた。

 けど俺にはどうすることも出来ない。

 ただ、扉のすぐ内側から聞こえて来る声にならない声に耳を傾けることしか……。



 ギィ……。



 やがて固く閉ざされていた扉が内側から開け放たれる。

 つまり、ボスを倒したか全滅したということだが、俺は考えるまでもなく後者だと確信した。

 そしてその確信は間違ってはいなかった。

 扉を叩いていたと思われるリーダー格の男が扉にもたれかかるようにして、俺の前に倒れ込んで来た。

 上半身と下半身を別々にして。

 この時点で俺の頭は非現実的な光景を前に真っ白に染まる寸前だった。



 それでも気絶せずに自分を保てたのは、それがゲーム上の演出として処理されていったことだろう。

 男の体から血が流れることはなく、代わりに光る粒子を煌かせながら男の姿は消えて行った。

GAMEOVERゲームオーバー』という文字だけをその場に残して。


「なに、あれ……」


 呆然とした表情のまま呟く黒髪の女。


「いやあああああ!!」


 やがて悲鳴と共にもう1人の女の手を掴むとダッシュでこの場から去って行った。



 残された俺もあの女と同じく悲鳴を上げてこの場から逃げたい衝動に駆られながらも、残りの2人様子が気になったので、すぐにこの場から離れようとはせずに、恐る恐る部屋の中を覗き見た。



 薄暗い部屋の中で光り輝く粒子はとても幻想的な光景に見える。

 やはりというか、残りの2人の姿は既にない。

 あるのは、GAMEOVERゲームオーバーという文字が2つ。

 部屋の右端と奥の祭壇近くに浮かんでいた。

 しかし、それも一瞬。

 GAMEOVERゲームオーバーという文字すらなくなってしまうと、彼らがここにいたという証は完全になくなってしまった。

 彼らの『潜在意識』は強制ログアウトにより肉体へと戻ったはず。

 しかし意識が肉体に戻るということ、それは……。


 ヒンッ!


 俺は肩から胸にかけて感じる鈍い痛みと熱によって強制的に思考を断ち切られた。

 気付けば半分となった黄色に変色したHPバー。

 痛みはない。

 ただ、残存HPから、かなり強い攻撃を受けたことだけはわかった。



 何が起きたのか。

 何故か嫌になるほどクリアな頭で俺はそれを理解した。

 部屋の中央で佇む黒い影。

 そいつがボスだということは一目瞭然だ。

 身に着けた鎧がお洒落程度のものに感じられるほどの筋肉の盛り上がった肉体。

 体中を紫の幾何学模様でペイントしたような奇抜な姿。

 頭から突き出した2本の角と微かに見える黒と白の斑模様が辛うじて牛をモチーフにしたモンスターだと教えてくれる。

 体調は目算だけでも4メートルはある。

 左手に自身と同じぐらいの大きさの斧をぶら下げ、右手には刀身が5メートルはあろう長剣ロングソードを握り締めていた。



 あの長剣ロングソードで胸を切られた。

 それは良く分かった。

 しかしそれは同時にありえないことでもあった。

 何故ならボスが攻撃の対象とするのは部屋に入ったプレイヤーだけ。

 扉の外にいる俺に攻撃してくるはずが無い。

 システム上ありえないことが起こっている。



 しかし俺はパニックになることもなく、今はそういものなんだと無理矢理自分の頭に理解させた。

 ありえないことは他にもある。

 この部屋のボスは本来なら初心者でも倒せると噂の『リトルミノタウロス』。

 それがどうだろうか。

 何を食べたらああなるのか、立派な大人の姿に変貌しているではないか。

 筋肉隆々なその姿はミノタウロスの名に相応しいものだった。



 俺は確認のため視界に表示されているモンスターの名前を確認してみる。

 そこにはややノイズがかった状態でその名前刻まれていた。


 Level・1 『UNKNOWNアンノーン』。


 それは名前がUNKNOWNアンノーンなのではなく、正体不明であることを意味していた。

 おまけにその姿と強さでLevel・1は少しサバを読んでいたとかではなく最早詐欺レベルに近かった。

 ボスは部屋の外にいるプレイヤーも攻撃範囲であり、Levelは絶対に1以上、モンスター名は不明。

 それが俺の今の時点で知りうる限りの情報だった


 ドシン。


 地面を揺さぶりながら敵が1歩前へと出た。

 それに合わせて俺も後ろへと1歩後ずさる。

 すかさず追うように歩み出る、元リトルミノタウロス。

 俺は勝手に震え始める声を無理矢理抑えつけながら、まずは対話が可能かどうかを試みてみることにした。

 NPCが相手の場合、何かしらの情報を得られる場合がある。


「え、えっと……ごめんなさい?」


 なぜ謝るのか?

 どうして疑問形なのか?

 それは俺自身にもよくわからなった。

 ただ正体不明の敵を怒らせたことだけは確かなようだった。


「ヴオオウォォォォォオオオ!!!!」


 耳をつんざくような雄叫びを上げながら、筋肉の塊が鋭利な得物をぶら下げたまま俺に向かって突進を始めた。


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