ゴミオタク共。
5月の暖かくて昼寝にはもってこいの日。半開きの窓から吹き込む穏やかな風がなんとも心地良い。
俺の瞼は重力に抗うことすら諦め、身体は怠惰に乗っ取られ、アニメ雑誌や原稿(白紙)がシワになるのも厭わずに机にそのまま突っ伏した。
ああ〜、最高にきもちいい……。
今日はもう部活終了時刻寝てしまおう、どうせあのクソ部員共はアニカフェやらなにやらにうつつを抜かして今日もサボりなんだろうからな……。
意識が遠のく。お昼寝、サイコー………
即落ち二秒、俺は夢の中に引き込まれる。
赤髪長髪の巨乳で泣きぼくろのあるおねえさんが
「大丈夫?おっぱい揉む?」
と、茶髪ボブでこれまた巨乳の女子高生が
「わ、私のほうもちゃんと見てください……!」
と、ぱふぱふ、ぱふ、ぱふ、ぱ、ふフ………フフフフ…………
良いおっぱいだ、一体何を食べたらこんなにも柔らかそうになるんだ?まるで杏仁豆腐のようにぷるぷるとして白い胸、触ったらとろけて崩れてしまいそうだが。
「これ、全部俺の好きにしていいんですよね?!!」
取り乱した俺に優しく耳元でおねえさんは囁く。
「うん、いいよ好きにして?」
「ちょっと腋臭するけど、許してね」
おねえさんが小悪魔っぽく片目をばちんと閉じて俺に言う。
大丈夫です、構いません!腋臭ぐらい大丈夫です!って………
「え?……腋臭?」
我に返った俺は強烈な刺激臭を感じた。ネギのようなツンとした臭い。俺は思わず鼻を覆い、胸、もといおねえさんから身体を背ける。
「ッわ!!臭いッ………!」
「薫さんの悪口言わないでくださいっ!!!」
茶髪ボブが胸を揺らしながら俺に平手打ちを食らわせた。
夢の中だから痛みはなかったけど。あれ、じゃあなんで腋臭はするんだ?そんなことを疑問に思う前に、第二の刺激臭が俺の鼻をいたぶる。
茶髪ボブなんか口臭くないか?
よく見たら口の中が歯糞まみれだった。こんな美少女は嫌だ2018。面倒でもちゃんと歯は磨けよ、ちょっと黄ばんでるし。
迫りくる二発目の平手打ちをギリのところで避けつつ俺は彼女の口内を観察しながらそんなことを思った。
ていうか、なんなんだこの夢は!悪臭は酷くなる一方でもはや収集がつかない。なんでこんなことに……俺はただ……
「俺はただ、せめて夢の中だけでも美少女と戯れたかっただけなのに!!!!!!!!」
ビクンと身体が動いて、机がガタッ揺れた。
案の定シワになった雑誌と真っ白な原稿に垂れたよだれを見て、夢から覚めたことを悟る。
夢から覚めたというのに、この部室に蔓延するこの悪臭はなんだ、なんなんだ。
俺はこの臭いの発生源を睨みつけ、問い詰める。
「なあ?湧芽鯣、朽木薫」
勘違い赤髪デブは悪びれもなく
「なに怒ってんだよwwwwらしくないぜ?」
と
茶髪マッシュ(テッペンハゲ)の後輩は
「工ちゃん先輩……勃ってます……」
と、カマトトぶって俺の股間を指してそう言ってきた。全く可愛くないので息子は一気に萎れたし、二人共腋臭と口臭がひどかった。
「もうしゃべんなよお前ら………」
俺はげんなりしてつぶやいた。
ちなみに俺の名前は伊切工。
俗に言うイキリオタクである。