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JTQ  作者: あんにん
1/3

Req:1 Part.A

 この世には“金”さえ出せばどんな願いでも叶えてくれる女がいる。

 女はとある街の雑居ビルの二階に住んでいる。女の名前はキネ。


 元・殺し屋――――



 Req:1 Part.A


 

 人を殺したいと思ったことはないでしょうか。

 友達がちょっと悪ふざけしたんで軽はずみに思うそんなものではなく、例えば、そう、愛していた人に裏切られて、さも道具同然のように捨てられたときに思うようなあの気持ち・・・!!!


 私、岸本彩きしもとあやはとある人に依頼をしにこの都会へ来ました。

 駅から徒歩十分の雑居ビルにその人がいると聞いて――


「ん、なんだ、依頼か」

「あ、はい・・」

 入るとそこにはソファーでくつろいでいる女の人がみえました。

 女の人は私が依頼主だとわかると立ち上がりソファーに座るよういいます。

 私がそそくさとソファーに腰掛けると女の人は冷蔵庫から出した麦茶を湯飲みに注いで私に差し出し、相手側のソファーに座り問いかけます。

「で、どんな依頼だ?」

「えと、その・・・」

 このようなことを依頼してもいいのかどうかわかりませんが、ためらうことなく私は依頼の内容を話します・・・・・・



「人を、殺したい?」

「はい・・・!!」

 当然と言えば当然なのでしょうが私が人を殺したいと言うと女の人はそれきり黙ってしまいました。

 そこで私は事前に調べて用意してきたものを膝元に置き、いいます。

「お金もここに用意してきました。だからどうか私の依頼を引き受けていただけないでしょうか?」

「・・・・・・・・・・・・。」

 女の人は、私の膝元に置かれたもの・・・・お札の束を見て深く考え込みます。

「・・・・いくらだ?」

 女の人は私の膝元にあるお金の額を尋ねました。私はすぐに

「700万円はあります。」

 即答します。するとまた女の人は「う〜ん・・」と考え込みます。

 しばらく経った後、胸ポケットに入れていた煙草を口にして、ライターで火をつけながらいいます。

「・・・・わかった。依頼を、引き受けるよ」


 交渉、成立です。





 ここで、女の人について少し触れたいと思います(いつまでも女の人では作者も打つのがめんどくさいので)。

 女の人の名はキネ。今、インターネット等で騒がれている「どんな願いでも叶えてくれる女」だそうです。

 背は割と高いほうで165cmはありそうです。

 髪はミドルヘアでさっぱりした感じです。歳は・・・20代前半でしょうか?もう少し若いかもしれません。

 そんなキネさんの願いを叶える条件はたった一つ。簡単・単純・明確です。

 お金です。キネさんは多額のお金を受け取ることを条件に依頼を引き受けてくれるそうです(なので今回、あらかじめ口座から多額の現金を下ろしてきました)。

 請求金額は、数百万から数億、数十億とかなり高額だそうです(正直、依頼を引き受けてくれるか不安でした)。

 今私が知っているのは、こんなところです。




「・・・・ひとつ、聞いてもいいか?」

「はい。なんでしょうか」

 お金を受け取ったキネさんが訊ねます。

「なんで、人を殺したいって思った?」

「それは・・・・」

 私は隠す必要もないと思いキネさんにその理由を話します。



 私には、最愛の彼氏がいました。その彼とは5年付き合っていました。

 出会い系で知り合った仲ですが、とても楽しくやっていました。

 遊びのことでも、勉強のことでも、・・・Hのことでも。

 私はある日、彼の部屋に忘れ物をしていたことに気づきました。

 彼に何度か電話しましたが返事はありませんでした。

 たまたま今日は彼が仕事の休みの日だったので部屋に行って忘れ物ついでに驚かせてやろうと思い彼の住んでるアパートに行きました。

 アパートに着いたはいいもののドアノブには鍵がかかってました。

 私は多分コンビニにでも行っているんだろうなあ、と思い、持っていた合鍵で彼の部屋に入りました。そこで信じられない光景を目の当たりにしました。

 彼が。寝室で。他の女の人と。Hしていたんです。

 私は唖然としていましたが彼が私の存在に気づき、驚いた様子でいいます。

「彩、お前、なんでここに・・・!?」

「な、なんで、その女の人、誰よ・・・!!」

 私が繰り返しそういうと彼は頭をぼりぼりと掻きながら私の元にやってきてこう言い放ちました。

「悪い、彩。実は、俺、好きな娘ができた。だから、別れてくれない?」

「・・・・・・・!!!」

 突然でした。彼に別れを告げられて、私はただ呆然とするしかありませんでした。

「実は、前々からお前に別れようって言おうと思ったんだけどさ、なかなか切り出せなくって。でもお前が来たんでかえってよかった。」

「・・・・・・・・・・・・」

「じゃあな。」

「・・・・・・・・なんでよ」

「え?」

「なんでよ!なんでよ!!なんでよ!!!なんで他の女と・・!!」

 涙をこらえながら私は彼に問い詰めます。すると、彼は言いました。

「・・・お前より、あの娘のほうが、Hがうまいからだよ」

「・・え?」

「いや、俺今までに複数の女の子(彩含む)と同時に付き合っていたけどよ、その娘ら全員とHしてさ、いまの彼女が一番Hうまいってわかったんだよね。」

「・・・・・!!!」

 信じられなかったです。彼はただ単にHの上手い下手で彼女を決めていたんです。

 私は彼の部屋にいるのが不快になってすぐに靴を履いてその場から逃げ出しました。



「・・・・・・・」

「それからしばらくです。私は何もやる気がなくなり、仕事も辞めて、毎日ただ時が過ぎるのを待つだけでした。ある時、例の別れた日のことを思い出しました。彼にフラれ、あんなことまで言われて・・・・急に彼に対する殺意が沸きました。それから数日、彼のことを殺そうと決心し、彼のアパートへ行きましたが、私の殺意を悟ったかのように彼はアパートから姿を消していました。」

「・・・なるほど、ようはその彼が引っ越してどこにいったかわからなくなったんで私を使って彼の居場所を探ろうと、そういうことだな?」

「そうなんです。大家さんに聞いても彼は行き先を言わずに出て行ったと言ってましたから・・」

 キネさんは、しばらく考えた後に、携帯を取り出して電話を始めました。何を言っているかは聞き取れませんでしたがなにかを頼んでいるようでした。

 数分後、キネさんが電話を終えて言いました。

「よし、3日後、またここへ来てくれ。その日がお前の・・決行日だ」

「あ、えと・・、はい。分かりました」


 私はそこでキネさんといったん別れ、3日後のために準備をすることにしました・・・・




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