7/15
第六話 『アンロック』
解放される。
囚われた力が、今。
檻の中に閉じ込められた、力。
莫大な、圧倒的な、絶大な力。
けれど、全ての人に与えられた、平等な力。
その力は全身を巡り、細胞のひとつひとつにまで行き渡る。
青が、青の力が、少年を包み込んだ。
髪が染まる。右の瞳がぼうっと光を纏う。
解放された力の色に。
水の色。水を象徴する色。青い、碧い、どこまでもあおく透き通る水の色に。
その衝撃に、少年はたまらず目を閉じる。
――さぁ、本能のままに。壊してしまえ。
――この力はそういう物だ。お前という存在はそのための物だ。
どこからか聞こえる囁き。
内側からか、本能か、遺伝子に刻まれたものなのか。
分からない。少年は分からなかった。
それでも少年は、目を開けた。