第1話 世界の滅亡の危機・・・
今から200年ほど昔、魔王により世界が恐怖に襲われていた。
魔王の力は強大で、人々はなすすべもなく次々と蹂躙されるしかなかった。
しかしその当時の、ある勇敢な若者(後に勇者と呼ばれる)のパーティによって、大陸より西の離島にある魔王城にて魔王は討伐された。
倒したと思っていた魔王だが、肉体は滅んでも魔王そのものを滅ぼす事はできなかったため、それに気づいた勇者の力によって封印することに成功した。
そして現在、その封印が弱まっていた。
魔王城地下の封印の間にて、魔王は封印されていた200年間でずっと力を貯め続けていた。
そして今封印を破るほどの力を手に入れていた。
「・・くくくっ・・・」
かすかな笑い声が漏れてくる。
「わぁはっはっは~!」
バリィーン!
ガラスの割れたような音と同時に封印が破られた。
「私は蘇ったぞ!」
魔王は封印を破った事による喜びもつかの間、直ぐに怒りに打ち震えた。
「しかし私を封印するとは、勇者め!そして人間め!ゆるさんぞ!」
「今度こそは世界を支配してやる!」
魔王の復活により、世界は再び混沌の世に陥る事になる。
大陸の遥か東、大帝国では強大な魔力を感知したことにより魔王が復活した事が確認された。
王は早急に大臣達と話し合いを行う。
大帝国の城のある一室には、かつて勇者が魔王を討伐したときに装備していた聖剣が台座に刺してある。
これはいかなる人物でも抜く事が出来ず、抜けるのは後継の勇者のみとされていた。
そこですぐさま大陸中の人間に御触れをだし、魔王と戦う勇気のあるものを呼び出し聖剣を抜けるものを探すことにした。
我こそは聖剣を抜き勇者であるという人がかなり集まった。
しかしすでに、8割の人が挑戦したが未だに抜く者が現れない。
王達は勇者はいないのかもしれないと落胆の表情をしていた。
そして次の30歳くらいの異様なオーラを放つ人間が挑戦した。
王達はその不思議なオーラにより、この人物こそは!と期待に喜びを隠せないでいた。
しかしやはり抜けなかった。
ただの見かけ倒しである。
そして次に挑戦したのは20歳くらいの好青年ではあるが、体格がひょろひょろとして頼りない感じの人物である。
王達はまた駄目かとあきらめていた。
が、なんとその好青年が聖剣をぬいたのである。
「おお、聖剣を抜く者が現れた!」
「おお、そなたが勇者の資格を持つものであるか!」
「勇者よ!魔王を討伐し、世界に平和をもたらせてくれ!」
王や大臣達が矢継ぎ早に言った。
青年も自分が抜けるとは思っていなかったようで、目を白黒させながらうろたえていたが、王達に圧倒されるがままに旅立たされる事となってしまった。
魔王城にて
「さて、準備運動がてら近くの人間から滅ぼしていくとしよう!」
魔王は数名の魔族を引き連れ、世界制服をすべく魔王城を後にした。
世界は恐怖へと包まれるのである。