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記憶とは
長い間お休みしていましたが、新連載です。
僕はこの光景をどこかで見たことがある気がする。
頭の中で警鐘が鳴る。
ここに居てはならない。
僕の目の前では旦那様が奥様を抱きしめている。
奥様は目を閉じて旦那様の腕の中にいる。
二人は周りなんて見えていない。
たった二人の世界なのだ。
旦那様は大旦那様の会社を引き継ぎ成功を収めた。
人々は旦那様をうらやましがった。
けれど、僕はそうは思わなかった。
きっと、苦しむことも多いだろうと思うからだ。
いや、苦しんでいた。
いや・・・。
苦しんでいたような喜んでいたような。
僕の記憶は曖昧だ。だからこそ、僕は旦那様に雇われた。
読んでいただきありがとうございます。
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