檻のライオン
人は自分の思いとは逆に運命のイタズラに翻弄さる。
今、俺は美優さんと肩を並べて歩いている。
今朝、いつものコンビニで偶然会ってしまい
いつものコーヒーを買い駅まで一緒に歩いていた。
一(矢野さんは何故あのコーヒーをいつも買うんですか?
まさかぶなんしーのストラップが欲しいんですか?)
俺は何を聞いているんだ。そんな訳ないだろ
、、、俺、かなり動揺してるな。
美優(そう! あのストラップ欲しいの!
でもなかなか当たらないのよね。
前野君当たったら私にちょうだい!)
以外だ!うちの息子と同レベルだ。
しかしブランドのバックを持ち高いヒールを履き、いい女感を全開に出している人がこんな事言うと凄く可愛く感じる!
ギャップ萌えという奴だ!
一(いいですよ!当たったらあげます!)
、、、とシールをめくると、、、あ、当たりだー!
美優(えー凄い!凄い!いいなぁー!)
美優は興奮を隠しきれない!
一(はい!あげる。)
許せ息子よ!次は必ずあげるからな!
美優(ほんとにいいの?)
美優は顔を寄せてきた。
香水のいい香り。
綺麗な澄んだ瞳が僕を直視する。
一(どうぞ!)
美優(やったー!本当に嬉しい!
前野君に出会えて良かった!)
それはこっちの台詞だった。
美優(ねぇー前野君、御礼に今度ご飯おごるよ!)
美優はそう言うと少し、しまった という顔をして
美優(ゴメンなさい。迷惑よね。まだ会って間がない女がご飯誘うなんてありえないよね。
よく言われたの、お前は馴れ馴れしくて図々しい女だと!)
俺はこの一連の出来事がテレビのドッキリ企画ではないかと本気で疑った!
だって話しがうま過ぎる!
こんな事、小説やテレビじゃあるまいし普通ありえないだろ!
俺はキョロキョロしてカメラを探していると
美優(それでは私は改札こっちなんで行きますね。 これ、本当にありがとうございます。)
気がつくと駅に着いていた。
俺は彼女が見えなくなるまで見ていた。
彼女は一度も振り返らなかった。
人は貪欲な生き物で、段々欲しくなる、欲しくて欲しくて我慢出来なくなる。
俺の中にライオンがいて、今は檻に入っているが檻の柵が少しづつ壊れていくのを感じる
柵が全部こわれたらどうなるんだろ、、、