52魔国の後片付け(3)
王宮の外を掌握して、クロウと彼に付き従うシンクたちが、王宮に戻ってきた。
カンナとブリジットが、それを出迎える。
「思ったより、遅かったわね。」
カンナの言葉に、シンクがムッとした顔で答えた。
「こっちも大変だったんだ。それよりそっちは、どうなんだよ?」
カンナは、ニヤリと笑うと、扇を口に持っていった。
「誰に聞いてるの、シンク。当然、東宮を除いて、すべての宮を、掌握済みよ。」
「なんで、東宮を落とさないんだ?」
カンナは、馬鹿を見る目で、シンクを見た。
「なんで私が王をやらなきゃいけないのよ。冗談じゃないわよ。」
カンナの意見は、もっともだ。
東宮を落とせば、落とした人間が、東宮つまり王になる。
「二人のうちのどちらかと言いたいけど、クロウ、あなたがやりなさい。」
「なんで、俺なんだ。」
「当たり前でしょ。私が今まで、どれだけあのバカ王のお蔭で、苦労したと思ってるの。」
カンナの言葉に、クロウは、大きな溜息をついた。
バカ王か。
「確かにバカだとは思うが、仮にも、お前の実の父親だぞ。」
クロウの言葉に、カンナが激昂した。
「冗談じゃないわ。クロウの父親を倒して、あのバカが王になったおかげで、私も王女になっちゃたのよ。おかげで、シンクとは陰でしか、イチャラブ出来ないし、本当に大変だったんだから。」
思わずカンナの愚痴が、こぼれた。
「カンナ!」
シンクが嬉しそうに、目に涙を浮かべて、カンナの愚痴を聞いている。
「なら、王になれば、それこそ、王の命で、もっとイチャラブ、出来るんじゃないか?」
クロウの提案に、カンナから、即座に切り返しがあった。
「冗談でしょ。この国の王は、子供が出来なければ、一夫多妻になるしかないのよ。私もシンクも魔国の人間なんだから、私が一妻多夫するしかないじゃない。そんなのウザったくて、イヤよ。」
カンナの女王論は、本人によって、直ぐに粉みじんにされた。
「じゃ、後はよろしくね、クロウ。大丈夫よ。心配しなくても、ブリジットは青の国の人間よ。多産なんだから直ぐにできるわ。出来なくても、私が文句いうやつを黙らすから、心置きなく、王になりなさい。」
よくわからない励ましを受け、クロウはシンクたちを連れて、東宮に襲撃を掛けた。
クロウとシンクの魔力の高さに、東宮を守る兵士は、直ぐに降参する。
二人は、東宮の扉を開け中に入った。
そこには、騒ぎに震えている王がいた。
「お前は誰だ。私はこの国の王だぞ。今すぐ、そこに跪け!」
現王は、震えながらも、偉そうに言い放った。
「叔父さん。俺ですよ。」
クロウは、叔父に声をかけた。
「お前など知らん!早く私の前に、跪け。」
憐れな老人が、クロウの前で叫んでいた。
これがかつて、私と父を手にかけた人物なのか?
唖然としながらも、クロウは剣を抜いた。
憐れな老人とは言え、このままにすれば、王位継承の時に、問題になる。
魔国は魔力の強さと非情さが、王に求められるのだ。
クロウは、イッキに剣を鋪り上げると、そのまま一刀両断に、現王を切り捨てた。
王は血だまりの中に、倒れると、すぐに息絶えた。
それは、クロウが魔国の新王となった瞬間だった。
クロウは、その後、カンナを除く、前王の血族を、すぐに粛清した。
残った最後の前王の生き残りであるカンナは、自分の従弟である、シンクに嫁がせた。
短時間で、そこまで行うと、王宮に戻り、掌握した街に、自分が王になったことを発表すると、クロウはブリジットを、すぐに自分の正妃に据えた。
当然、魔国の貴族から文句が出たが、それを自分の魔力で黙らすと、数週間で新魔国として、クロウが国をまとめ上げた。




