47異母弟マーティン・ド・アレンバーグ
混血児村の入り口に、茶髪のもっさり顔の男が空から、音も立てずに、降り立った。
そして、真っ直ぐに、村の中にある一軒の家を目指して歩いていった。
「レオン異母兄さんの血の匂いが、なんでこんな鄙びた所からするんだ? 今は城にいるからと、馬鹿異母兄に言われたんだけどな。でも、この血の匂い、やっぱりレオン義兄さんとしか思えない。」
男はぶつくさ言いながら、一軒家のドア前に立った。
そのまま、ドアを開ける。
ガチャ!
そこには、ナミがちょうど、レオンが寝ている寝室から飛び出して、正気を取り戻した所だった。
「誰?」
ナミの質問に対して、男は有無を言わせず、魔力を込めると、それを放った。
『ナミ、シールドを張れ!』
ナミはレオンからの念話に、慌ててシールドを張った。
男が放ったエネルギーが、ナミの張ったシールドにぶつかって、そのまま周囲に放出された。
そのエネルギーで壁と屋根の一部が吹き飛んだ。
ボッゴーン
何が起こったの?
ナミがその場で棒立ちになっている所に、レオンが寝室のドアから、飛び出して来た。
すかさず、男から放たれた二撃目を、レオンがナミの前に飛び出すと防いだ。
またシールドにぶつかったエネルギーの一部が、ナミの実家の壁と屋根を、更に破壊した。
ナミの目が、怒りに窄められた。
こいつ、私の家を・・・。
ナミの体から上がったオーラに気がついたレオンが、それを止めに入った。
「ナミ、待て。 こいつは、私の異母弟だ。」
レオンの言葉に、ナミの体が止まった。
えっ、今、レオンは異母弟と言ったの?
ナミは思わず、後からレオンの背中を見た。
「こんなところで、何をいているんだ、マーティン。」
小さい子供を庇うように立つ、レオンの姿がそこにあった。
男は、自分が攻撃したエネルギーを弾いた二人目の人物を見た。
間違いない。
やっぱり、レオン異母兄さんだ。
「レオン異母兄さん。」
マーティンはにっこり微笑むと、異母兄に抱き付いた。
「やっぱり、レオン異母兄さんだ。」
満面の笑みで、必死に抱き付いていると、異母兄に引き剥がされた。
「なんで、お前がここにいるんだ?」
「何でって、レオン異母兄さんの城に、行こうとして、この小屋の上空に差し掛かったら、小屋からレオン異母兄さんの血の匂いがしたんだ。気になって、様子を見に寄ったら、レオン異母兄さんが、ここにいたんだよ。」
レオンは頭を抱えるように、もう一度、質問を言い直した。
「だから、なんでお前が、俺の城に行こうとしていたんだ。」
「なんでって、馬鹿異母兄に、レオン異母兄さんを呼んで来いって、言われたからさ。」
どうやら、王都の長兄は、レオンが考えているより、詳細にこの事態を把握しているようだった。
レオンは、大きな溜息をついて、ナミを見た。
『ナミ、俺は異母弟と一緒に、城に戻る。お前は遺跡に戻って、今日はそこで休め。』
『でも、レオン。』
ナミは、まだ体調が十分に戻っていないレオンを、不安そうな顔で見た。
『大丈夫だ。さっきナミの血をもらったからな、心配するな。』
ナミの顔がぼっと赤くなる。
レオンは、そんなナミの頬に口づけを落とすと、異母弟を促して、自分の城に向かった。




