表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/56

43口づけ

 ナミは、気がつくと、レオンを抱えたまま、混血児村の自分たち家族が以前に、住んでいた家の前にいた。

 そこは、昔となにも変わっていなかった。


 一瞬何かが、頭を過ぎったが、慌ててそれを振り払って、ドアを開けると、一階にあった両親のベッドに、レオンを運ぶ。

 そして、そのまま青白い顔の彼をベッドに寝かせた。


「レオン。」

 ナミは何度か呼びかけるが、何も返事が返ってこなかった。


 どうしたら、いいの?

 どうすれば、いいの?


 ナミはレオンをベッドに運んだ後、どうしていいかわからず、部屋をうろうろした。


 そこに急に声が聞こえた。

 ”よくやったな。”

 ”ドクターサトウなの?”

 ナミは慌てて、腕を振った。


 画面から、さっきより鮮明な声が聞こえてきた。

 ”この状況で、他にだれがいる?”


 いや、そうなんだけどね。

 そうだけど、いや待って。

 彼なら、今のレオンをどうすればいいのか、わかるかも。


 ナミは、腕の通信機に向かって、吸血鬼であるレオンを助ける方法を聞いた。


 ”単純なことだな。血を飲ませればいい。”

 ”あっ、そうか。”


 ナミは前世で見た映画を思い出した。

 血を飲ませたら、元気になったんだっけ。

 そう言えば、ナミも最初、助けてもらった時、レオンに血を飲ませてもらったっけ。


 ナミは、食堂に行くと、自分の指を置いてあったナイフで切って、寝室に戻った。

 すぐに、その指をレオンの口に突っ込んだ。

 何でか、レオンは、飲もうとしない。

 指をさらに、口の奥に突っ込もうとするが、口を開けてくれなかった。


 うっ、なにをどうすれば?

 えっと、えっと・・・?


 ふと映画のワンシーンが浮かんだ。

 何の映画だったか忘れたが、死にそうな主人公に、ヒロインがマウス トゥ マウスで・・・。

 ナミの顔は熟れたトマトになった。


 いやいや、自分、何考えているの?


 あまりのことに少し歯を食いしばりすぎて、気がついたら口の中を切っていた。


 こうなったら、・・・。


 ナミは、青白さを通り越して、真っ白になっているレオンの顎に手を掛けると、口を開けさせて、そこに口の中いっぱいに広がった、自分の血をレオンに口移しで、流し込んだ。


 やっぱりダメェ・・・。


 ナミがそう思った時、レオンの喉がなった。

 その途端、ナミの舌にレオンの舌が絡みついて来た。


 ウソー!!!


 えーん、ちょっ・・・。


 やっ・・・、ダメェー。


 しばらくたって、散々に翻弄された後、我に返って、レオンを突き飛ばして、ベッド脇に頽れた。


 もうダメ。

 これ以上、血を飲ませるなんて、無理ぃー。

 出来ないよぉー。


 ナミが涙目で遠くを見ていると、ベッドで寝ていたレオンの目と目が合った。


 へっ、目が合う?


「ナミか?」

「レ・・・レオン、私がわかる?」

 レオンは、気だるげに髪を掻き上げると、ナミを見た。

「ああ、だいぶ怠いが、さっきよりは、格段に良くなったよ、ナミ。お前が俺に、血を飲ませてくれたおかげだ。」


「よっ・・・よかったぁー。レオンも父さんたちみたいに、なっちゃうんじゃないかと思って、私・・・わたしぃ・・・。」

 ベツドでぐったりしているレオンに抱き付いて、泣いているナミを、彼は優しく撫でてくれた。


「俺はそう簡単には、死なないさ、ナミ。だか、今は少し疲れた。このまま、寝かせてくれ。」

 レオンはそう言うと、目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ