38青の国の王城で
メリーは何かの轟音で目を覚ました。
何があったの。
振動で耳がピリピリしている。
「メリー、大丈夫かい?」
部屋の中に、隣室で休んでいた祖母が駈け込んで来た。
「大丈夫です。おばあ様こそ、大丈夫ですか?」
「誰にものを言ってるんだい。私は、この伯爵家の当主だよ。」
メリーは、胸をはる祖母をみて、微笑んだ。
こんな状態でも、そう言える祖母が誇らしい。
でも、今の轟音は何だったの?
メリーがそう思った時、二人の前にメイドが駈け込んで来た。
「ご当主様、大変です。王宮の方角から火の手が上がっています。」
「なんだって?」
二人は屋敷のバルコニーに向かった。
外を見ると、確かに、城の方角から、真っ赤な炎が空を染めている。
何があったの?
みんなは無事なの?
メリーは慌てて、部屋に駆け戻ると、ドレッサーから動きやすい洋服を引っ張り出して、着替えると部屋から駆け出した。
「どこに向かう気だい、メリー?」
おばあ様が屋敷を飛び出そうとしていた、メリーを止めた。
「心配なので、王宮に向かいます。」
「なんだって!ダメだよ。何が起こっているかわからないんだ。危険だ。」
メリーは自分を本気で心配している祖母を見て、とてもうれしくなった。
「あばあ様。それでも私は、伯爵家当主の孫であり、剣の達人だった、父の娘なんです。」
祖母は、メリーの言葉に、目を瞠ると、重々しく頷いた。
「そうだったね。わかったよ。だが、城に行く前に、渡したいものがあるから、ついてきなさい。」
祖母はそう言って、伯爵家当主の部屋に、メリーを連れていった。
「おばあ様?」
祖母が、なにもない壁を触ると、そこに一振の剣が現れた。
「伯爵家当主に代々伝わる名剣だ。魔力も跳ね返せる逸品だ。持ってお行き。」
「おばあ様!」
メリーは、涙が止まらなくなった。
「言っておくが、一時的に貸すだけだからね。必ず、お前自身が、直接、私に返すんだよ。わかったかい?」
メリーは、涙でぐしゃぐしゃになりながら、しっかりと頷いた。
「お約束します。おばあ様。」
祖母は何も言わず、メリーをギュッと抱きしめた。
「さあ、お行き。伯爵家の役目を果たすんだよ。」
メリーは涙を拭うと、屋敷にいる私兵を率いて、王宮を目指した。
走りながら、ふと王城を見ると、空が赤く光り、次に何かが爆発したような轟音が断続的に聞こえてくる。
一体、何が起こっているのだろうか?
メリーは、不安に打ち震える体を叱咤しながら、王城に急いだ。
街が見える丘まで来ると、全員、あまりの状況に唖然となった。
そこには、街がなくなっていて、その代り、延々と瓦礫の山が続いていた。
「一体、ここで何が起こったの?」
メリーは、真っ青な顔で、呟いた。




