37青の国を救え!
グレイたち、赤の国の兵士は、禁じて手を使った。
それは、グレイを先頭に、屈強な兵士が左右上下に展開し、真ん中にスピードの遅いものを挟むと、一団になって、飛ぶ方法だ。
はっきり言って、非常事態ではない限り、この飛び方はしたくない。
なんといっても、むさい男たちがくっつきあって、必要以上に固まるので、相手の体の密着度がきつ過ぎるからだ。
でも、その代りスピードが段違いに早い。
前回ナミとレオンたちと一緒に向かった時の三倍の速度は出ている。
全員が、前に意識を向けていた。
この飛び方をしているとき、周囲に意識を向けると、心が折れるからだ。
『レオン様。荒野が切れて、森が見えてきました。』
『あと少しだ。意識を前に向けろ!』
『『『『『了解!』』』』』
全員が、もう一度、前方に意識を向けた。
その時、硝煙と鉄さびの匂いが漂ってきた。
荒野が途切れて、森に入ったばかりなのに、これでは、街の方は、一体どうなっているのだろうか?
レオンは、部下に森の中に人間が隠れていないか、察知しながら、飛ぶように指示した。
それと、同時に森の上空に入った瞬間、全員に散開するよう命令する。
固まっていて、森の中から、狙い撃たれたら、厄介だ。
グレイは、速度を落としながら、注意深く街を目指した。
まもなく、彼らの目前に、瓦礫の山と化した、青の国が見えた。
「「「「「・・・・・・。」」」」」
全員なんの言葉も出なかった。
酷いありさまだ。
「隊長。」
「部隊を三つに分ける。青の国の民間人を助けながら、王宮を目指せ!」
全員が頷いて、街の中に降りた。
降り立った途端に、グレイは人間に追われている子供の人狼たちを発見した。
人間たちが、笑いながら獣を狙うように、まだ子供の人狼たちを撃っている。
『隊長!』
グレイは頷くと指示した。
『俺が中心になって、奴らを屠るから、お前たち二人は、人狼の子供たちを救え!』
全員が頷くと、すぐさま行動に移した。
グレイが先頭に斬りかかって、持っていた銃ごと腕を切り落とす。
周囲に血しぶきが舞った。
他の部下たちも、次々に人間たちの持っていた銃ごと腕を切り落とし、心臓を貫き屍の山を築いて、行った。
気がつくと、周囲は人間たちの死体が、積み重なっていた。
「大丈夫か?」
グレイの声に、先頭になって、逃げていた人狼の子供が頷いた。
気がつくと、子供たちは、街に戻ろうとする。
「おい、どこに行くつもりだ?」
「母さんを捜さないと・・・。」
目に涙をいっぱい溜めて、一人が呟いた。
グレイは、一人の子供の肩を掴んで、方向を変えた。
「お前たちは、森に向かえ。お前たちの母親の救出には、俺達が向かう。」
「でも・・・。」
「さっきみたいに追われたら、お前たちには、反撃が出来ん。森で大人しく、身を潜めていろ。それに、森ならお前たちの方に分がある。なにかあっても、反撃も出来る。」
「だけど・・・。」
「お前たちの母親に会ったら、お前たちが森に逃げたことを、必ず伝えるから心配するな。」
グレイの説得に、子どもたちは、最後は森に向かった。
グレイは、部下の一人に送らせようとして、子供たちの先頭になって、走っていた人狼の子供に断られた。
「俺がみんなを守るから、母さんたちの所に、早く向かって。」
グレイは、子供の人狼の目を見た。
何も言わず、頷く。
「隊長!」
それを見ていた、部下から声がかかった。
「ああ、急ごう!」
グレイたちは、剣を片手に、足早に、街の中心にある城を目指した。
城に向かう途中、人間たちに狙い撃たれていた、何人かの獣人の子供たちに会った。
その度に足を止めて、人間を屠り、子供たちを助けた。
「隊長!嫌な感じ、しませんか?」
「ああ、何で子供しか、いないんだ。大人たちが一人も見当たらない。一体、どうなっているんだ。」
レオンは、別動隊で城に向かっている部下に念話した。
『そっちに、大人の獣人を見かけた奴はいるか?』
直ぐに回答が返ってきた。
『『いえ、子供には、かなり遭遇しましたが、大人の獣人は、一人も見ていません。』』
グレイは、目前に迫ってきた城を見て、部下に指示を飛ばす。
「いいか、今度、獣人の子供たちを撃っているやつを見かけたら、一人だけ生かしておけ。」
部下の一人がニヤリと頷いた。
「口が聞ければ、問題ないですよね、隊長?」
グレイは彼らの気持ちがわかった。
五体満足なんて、出来ないと言ってきているのだ。
確かに、口が聞けて情報が得られれば問題ない。
「ああ、情報が聞き出せれば問題ない。」
全員が頷いて、移動を開始した。




