35ミッション2-大量破壊兵器を奪取せよ。
ノー天気思考で想像を膨らますナミと、早く義務を果たして、魔国から赤の国に戻りたい二人が、舞踏会会場を眺めていると、突然、ナミたちが入ってきた中央の大扉から、魔国の兵士がなだれ込んで来た。
三人は、目を瞠った。
レオンは、この会場の外にいるはずの、クロウに念話を送る。
『なにがあったクロウ?』
『正体は不明ですが、城下町が何者かの襲撃を受けて、火の海になっています。』
『なんだと!』
レオンは同じく隣で、部下と念話をしているグレイを見た。
「信じられませんが、人間どもがいきなり、魔国に攻め入って来たようです。」
レオンはグレイの一言を聞いた後、舞踏会会場を眺めた。
会場はいきなり、貴族たちを守るために、なだれ込んできた魔国の兵士により、大混乱になっていて、とてもここから、外には、出られそうにない。
レオンは意を決して、ナミを見た。
「ナミ。」
ナミはレオンを見上げた。
『この場所から、俺たちが泊まっていた部屋まで、グレイも一緒に、瞬間移動しろ。』
ナミは一瞬、レオンの言葉に、躊躇したが、頷くと、三人が部屋にいる姿を想像した。
シュッ!
珍しく洋服を着たままの三人を、見事、瞬間移動して見せた。
『さすが私、やればできる。うんうん。』
しかし、ナミが自画自賛しているうちに、状況はどんどん悪化しているようだった。
「瞬間移動!!!」
グレイがあまりのことに、呆然としていると、レオンから声がかかる。
「グレイ!状況は?」
グレイはハッとすると、城に向かっている部下に、連絡をとった。
『第二門まで突破され、あまりのことに現場の混乱が酷く、まったく、反撃できていません。魔国の兵士全員が紆余左右しているだけです。』
『城下町にいるものは、全員、城に戻れ!』
グレイの命令に、部下は一斉に、肯定の返事を返した。
『『『『『了解。』』』』』
「第二門まで突破され、反撃も満足に、出来ていないようです。」
レオンはグレイの報告に、押し黙った。
さて、どうする。
ふとナミを見ると、彼女は腕を振ると、何ごとか呟いているようだった。
”プロフェッサーサトウ。何が起きているの?”
”ふむ、どうやら少ないエネルギーに気がつかないで、そのまま、空間転移をかけたようだな。”
”おかげで、今いる人間は、全員、魔国に取り残されたようだ。”
”ゲートも、もうすでに閉じておる。すぐに魔国の奴らが正気に戻れば、殲滅できるだろう。”
”それより、問題は青の国だな。”
”へっ、メリーちゃんの国が、どうかしたの?”
”今、人間国と交戦中だ。普通なら獣人が圧倒するところだが、今回は、大量破壊兵器が導入されて、一進一退のようだ。”
”なんてこと。プロフェッサーサトウ。どうにかならないの?”
”うむ。人間の国にある、大量破壊兵器のエネルギー元を壊せば、兵器は、エネルギー供給が止まって、動かなくなる。”
”それって、どこにあるの?”
”人間国の首都、キョウトウにある遺跡の中だ。”
”私をそこに転移出来る?プロフェッサーサトウ。”
”お前が混血児村の、この遺跡に戻れば、可能だ。”
不穏な空気を感じたレオンが、ナミの肩に手を置いた。
「どうした、ナミ。」
ナミは、涙目でレオンを見上げた。
「今、プロフェッサーサトウから、青の国で人間と獣人が交戦中だって、連絡が入ったの。」
ナミの一言に、レオンとグレイが目を見開く。
「「なんだって!」」
「でっ、混血児村まで戻れば、人間国の首都、キョウトウにある遺跡の中に、転移出来るっていうから、私これから混血児村の遺跡まで、瞬間移動する。」
「ちょっと待て、ナミ。青の国での交戦で、なんでいきなり、人間国の首都、キョウトウにある遺跡の中に、転移する必要があるんだ?」
ナミは、慌てて話を付け加えた。
「青の国での交戦では、人間側で大量破壊兵器が導入されていて、どうも状況が一進一退見たいなの。で、大量破壊兵器のエネルギー元が、人間国の首都、キョウトウにある遺跡の中にあるみたいなんで、私がこれから、そこに行って、それを破壊すれば、交戦中の人間側の大量破壊兵器が使えなくなるから、それで・・・。」
ナミはいつの間にか、泣きながら説明していた。
レオンがナミの涙を豪華な夜会服の袖でぬぐってくれた。
「泣くな、ナミ。それなら俺も、一緒に行くから、安心しろ。」
「でも。」
ナミは、慌てて否定した。
いくら何でも、この場からレオンがいなくなるのは問題だ。
「かまわん。どうせこの混乱だ。誰も気にせん。」
ナミが躊躇していると、グレイも同行したいと言い出した。
「ナミ、もし、あなたの負担にならないようなら、私も一緒に、混血児村まで瞬間移動をお願いします。」
「それは、かまわないけど。」
「グレイ。」
レオンもビックリしたようで、グレイを見ている。
「私が混血児村まで戻れれば、そのまま混血児村に残っている隊を率いて、青の国に向かえます。」
「なるほど。」
レオンはナミを見た。
「わかった。一緒に、瞬間移動する。」
ナミは、頷くと三人が混血児村にいる姿を思い浮かべた。
そして、すぐに瞬間移動をした。




