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34ミッション1-白の舞踏会

 別人になったナミをつれ、レオンは舞踏会が開かれる会場に向かった。

 先頭には、グレイがレオンとナミを守るように、先を歩いていく。

 すれ違う魔国の人たちは、ナミが通るとギョッとして、次にこちらを見る。

 なんで、昼食の時の通路ですれ違った人達と、同じ態度なんだろう。

『そんなに私の姿って、珍しいのかなぁ。』

 ナミは思わず、念話でレオンに愚痴っていた。

『そりゃ、珍しいだろう。』

『ちょっと、それ酷くない、レオン。』

 ナミは思わず涙目で、レオンを睨んでいた。

 結構精一杯、着飾ったのに、ピエロみたいに思われるのは心外だ。

 レオンはナミがなぜ怒っているのか、わからず疑問顔で彼女を見下ろした。

『なにをそんなに怒っているんだ?』

『だって、珍しい動物を見るような目で見られるんだもん。』

『そりゃ、珍しいだろう。魔国にナミほど強い魔力の持ち主はいないんだからな。ましてや、それが吸血鬼ともなれば、この上なく興味をひくさ。』

『へっ、どういう事?』

『魔国の人間は、ある意味、目に見える姿形より、魔力の高さで、人を識別しているんだ。』

『魔力の高さ?』

『そうだ。だから指輪を外したナミをキーラは、自分と旅をした人物と、認識出来なかったのさ。』

『えっ、だって、見えているのになんで?』

『それが魔力を持つ、魔国人の特徴の一つだ。』

 ナミはそう言うものかと、感心しきりだった。

 そして、ふと疑問に思った。

『それじゃ、獣人が多くいる青の国は、どうなるの?』

『あの国は、目に加えて、匂いで人を認識している。』

 レオンから、ナミが考えていたことと、同じ答えが返って来た。

『やっぱり。』

『まあ、それは、すぐにわかるな。』

 レオンもニヤリと頷いた。

「着きました。」

 グレイが、真っ白な扉の前で止まる。

 扉の前にいた衛兵が三人を見て、目を丸くしながら、扉を開けた。


 ギギギギィー


 中は氷で覆われたほんとうに真っ白な世界だった。

「すごい!」

 思わずナミは、感嘆の声を上げていた。

 壁も柱も、純度の高い、透明な氷で造られていた。

 見ると、音楽に合わせて踊っている人々も、回転するたびに、白い氷をまき散らしていく。

 それが壁や天井に灯されているクリスタルの光に反射して、きらきらと輝くのだ。

 素晴らしいの一言しか出てこない。


 ナミとレオンが会場に入ると、みんなの視線が一斉に、二人に注がれた。

『うっ、なんでいきなりみんな、こっちを見るの。』

 ナミのボヤキに、レオンは彼女の腰を、ぐっと抱き寄せると、優雅に歩き出した。

 慌てて、また音楽が鳴り出した。

『レオン、無理。私踊ったことない。』

 ナミの呟きは、見事に無視された。


 レオンは、まるっきり踊れないはずのナミを、優雅にリードすると踊り出した。

『ナミはターンの度に、白い雪を連想しろ。』

 ナミがハッとして、周囲を見ると、みんな女性がターンの度に白い雪を魔法で造り出している。

『わかった。』

 ナミは、昔、北海道で見たスターダストを思い浮かべた。

 キラキラして、とてもきれいだった。

 寒かったのが、玉に瑕だったが、とても印象に残っていた。


 ウワァー


 ナミは気がつかなかったが、周りの魔国の人たちは、全員、ナミが造り出す白い雪に感嘆の溜息をついていた。

 なぜなら、それはターンの度にキラキラとクリスタルの光を受けて、星のように輝いていたからだ。

「あのご令嬢は、どちらのかたかしら?」

「どうも、赤の国の方らしいわ。」

「まあ、吸血鬼なの!」

「「すごい魔力の高さね!!!」」

 会場のあちらこちらで、こんな会話が囁かれていた。


 グレイは油断なく、二人の周囲を警戒しながらも、ナミを賞賛していた。

 何故なら、今回が初めての魔国での舞踏会のはずなのに、どうすればいいかを偶然にしろ実践できるのだから、ある意味すごい。

 まっ、俺よりもレオン様の方が、それに魅了されている見たいだがな。

 グレイは、愛おしそうに、ナミを見つめるレオンを見ていた。

 しばらく、二人はホールで踊ってから、会場の隅に移動した。


「どうだ、グレイ。」

 レオンがナミをエスコートしたまま、会場の一角で飲んでいたグレイの所に戻ると、話しかけた。

「今のところ、怪しい人間は、いないようですね。」

「そうか、なら明日には、出発できそうだな。」

「このまま何もなければ・・・・・・。」

 グレイがそう言うと、それまで自分で飲んでいた飲み物を、そのままレオンに手渡した。

 レオンが受け取ると、それに口をつける。

 レオンは思わず、少ししかめっ面をした。

「良くもないし、悪くもないって言う味だな。」

 レオンの感想に、グレイも同意した。

「混血児村のワインを飲んでから、どれを味わっても、あまり感動しなくなりましたよ。」

 レオンは苦笑いをしながら、グレイの意見に同意した。

『とにかく、早く魔国の王族にあいさつして、とっと城に帰ろう。』

『私も同意見です。』


 ナミはそんな会話をかわす二人を、レオンの傍で驚いた眼で眺めていた。

 すっごい、美形な二人の間接キスを、まじかで初めて見ちゃった。

 あとでメリーちゃんに、教えてあげなくっちゃ。

 それにワインの感想を言った後、二人で黙って、見つめ合うなんて、なんか意味しーん!

 ナミのノー天気な思考は、とどまるどころか、果てしなく広がっていった。

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