33ミッション1-魔法使い
ナミは、レオンに腰を抱かれて、王宮にある一室にエスコートされた。
なんでか通路ですれ違う貴族には、奇異な目でジロジロ見られた。
なぜか全員ギョッとした顔で、見ている。
『ねえ、レオン。なんでみんな、びっくりしたような顔で、通り過ぎるの?』
『気にするな。それに、もう着く。』
レオンはそう言って、ナミを豪華な金の装飾が施された、派手な扉の前に連れてきた。
扉前に、城の衛兵が槍を持って、警護している。
レオンを見ると、衛兵は敬礼すると、扉を開けた。
中は外の扉以上に絢爛豪華な造りだった。
宰相はレオンとナミを見て、一瞬ギョッとしたように見えたが、すぐに笑顔になった。
「レオン様、よくいらして下さいました。」
宰相が座っていた机から立ち上がると、レオンの前に歩いてくる。
隣で控えていた侍従らしき人物が、サッと立ち上がると、違うドアを開けた。
奥にも部屋があるようだ。
宰相が先に立って、レオンを案内する。
レオンは、ナミの腰を抱いたまま、宰相の後に続いて、その部屋に足を踏み入れた。
「レオン様!」
その部屋の中に、巨乳をこれ見よがしに強調したドレスを身にまとったキーラがいた。
キーラはレオンに駆け寄ろとして、ナミを見て、宰相と同じようにギョッとする。
『ねえ、なんで、魔国の人は、全員、私を見るたびに、びっくりするの、レオン。』
ナミはたまりかねて、レオンに念話で、質問していた。
『お前がかわいらしい、からだろう。』
レオンからの到底信じられない答えに、ナミは思わずレオンの顔を見上げてしまった。
なんでかそこには、大変満足そうなレオンの顔があった。
「レオン様、そちらのご令嬢は、どちらさまでしょうか?」
キーラから直球の質問が飛ぶ。
「俺の婚約者だ。」
宰相、キーラ、ナミの三人が目を剥いた。
『『『なんですとぁー!!!』』』
『レオン、いくら何でも、そんなウソ、すぐばれるよ。』
『ナミ、うるさいぞ。』
なぜか不機嫌そうなレオンに、念話を返される。
でも、いくらなんでも、宰相はまだしも、キーラには旅の間中会っているのだ、絶対ばれる。
なのに、キーラからは信じられないような、質問が飛んだ。
「その方は、どちらのご令嬢ですの?」
レオンはキーラの質問を無視した。
「まあ、それより、さあどうぞ、レオン様。」
宰相が微妙な空気に配慮して、さっそく、レオンに紫炎ザクロのワインを勧めた。
レオンは、勧められるままに、ナミをエスコートして、席に着く。
でもびっくりだ。
あんなに毎日、顔を合わせていたキーラに、何でバレないんだろう。
ブルさんのお化粧の威力に声も出ない。
ナミがそんな事を考えていると、いつの間にか食事が終わっていた。
はや、こんなに早い食事会でいいの?
ナミは逆に不安になった。
思わずレオンの顔見た。
レオンは、黙ってナミを促して、席を立つと侍従が開けたドアを通って、外に出た。
『ねえ、レオン。もう終わりなの?』
レオンは何も言わず、ナミを部屋まで送ってくれた。
部屋に着くと、ブルが待ちかえていた。
「ブル。後は頼む。」
ブルは大きく頷くと、ナミを部屋に引きずり込んだ。
「ブルさん?」
「さあ、ナミ。こっちに来て。」
なぜか、部屋にあるテーブルに案内された。
テーブルの上には、ブル特性豪華料理の数々が置かれていた。
「さあ、召し上がれ。」
ブルにそう言われ、ナミは喜んで、それに手を付けた。
あっと言う間に平らげて、ブルにお礼を言う。
「ごちそうさまでした。」
ブルは、にっこり笑うと、なぜか入浴を勧めてきた。
「さあ、ナミ。疲れたでしょ。その洋服を脱いで、温まってきなさい。」
ブルに促されるまま、ナミはブルに渡されて、入浴剤を持ってお風呂に入った。
「うーん、良いお湯。それにこの入浴剤、良い匂いだし、お肌がつるつる。」
ナミは風呂を堪能して、部屋に戻った。
そこには、ニッコリ微笑みながら、コルセットとドレスを持った鬼がいた。
「あの、ブルさん。なぜ、それを持っているでしょうか?」
「決まっているじゃない。今日は白の舞踏会なのよ。これからが本番なんだから、当たり前でしょ。」
ナミは、逃走しようとして、捕まった。
それから、剥かれ、縛りあげられ、着付けられた。
最後にこれでもかというくらい、顔に何かの液体を塗られた。
鏡を見ると、そこには化粧前の顔が微塵もわからない絶世の美女がいた。
ブルさんあなたは、何者ですか?
思わずナミの口から、そんな独り言が呟かれていた。




