32ミッション1-スペシャリスト
翌朝、ナミはレオンと朝食後、部屋に現れたブルに拘束された。
「レオン様、後はお任せ下さい。」
「ああ、昼までに用意を頼む。」
レオンはそう言って、どこかに行ってしまった。
レオンを見送ったブルがナミを振り向いた。
その目は、なぜか燃えていた。
ブルの両手がワキワキと動く。
ナミは知らず知らずのうちに、後ろに下がったが、壁際に追い詰められた。
『ブルさんは、狼じゃないのに、なんなのこの感じ。まるで、狼に睨まれたウサギの気分なんだけど。』
「あのー、ブルさん。」
「さあ、ナミ服を全部脱いで、頂戴。」
「へっ、ぜんぶ・・・・・・。」
ブルの手には、この間見た、恐怖のコルセットが握られていた。
ナミは逃げようとして、いきなりブルに捕まった。
ぎょえぇぇぇぇーーーーーーーー
ぎゃあぁぁぁぁーーーーーーーー
ひぇえぇええぇーーーーーーーー
何かが、何かに絞め殺されるような、悲痛な叫びがこだました。
二時間後、すっかり皮一枚分を顔に塗りつけられたナミがそこにいた。
「さあ、ナミ、あと少しよ。」
ブルは絵筆のようなものを何本も片手で扱いながら、もう一方では、パレットで何かの絵の具らしきものをこね、ナミの顔に塗る。
ブルは最後のひと塗りを終えると、絵筆とパレットを置いた。
「うーん、我ながら上出来ね。さあ、ナミ目を開けて見なさい。」
ブルはそう満足げに、頷くと、ナミに鏡を見るように促した。
ナミは恐る恐る目を開けた。
鏡には、別人が映っていた。
「誰これ?」
鏡の中の女性が同じ言葉を話す。
「えっ、私。ブルさんは魔法使いなの?」
ブルがナミの後ろから肩に手を置いて、満足げに頷いた。
「ふふふふ、私にかかれば、こんなものよ。」
ブルが満足げに微笑んだ時、ドア外から声が聞こえた。
「終わったのか?」
「はい、レオン様。準備万端です。」
レオンがドアを開けて、部屋に入ってきた。
ナミを見て、目を瞠る。
「まるで、別人だな。」
ナミはレオンの正直な言葉に、ショックを受けた。
そりゃ、自分で鏡を見ても、とても本人だとは思えない出来栄えだけど、なんか複雑なこの気持ちは、一体何なのよぉー。
はぁー疲れた。
ナミがそうなことを思って顔上げると、レオンの手が目の前にあった。
「ナミ、手を出せ。」
ナミが手を出すと、レオンは彼女の指にはまっていた指輪を二つ抜き取ると、綺麗な金の鎖にかけて、ブレスレットにすると腕につけた。
「よし、これでキーラより、魔力が上になった。」
「えっ、どういうこと。」
ナミが不思議に思って、レオンを見ると、彼はただ微笑んで直接答えなかった。
『えっ、何どういうこと???』
ナミが疑問符だらけの顔をしているうちに、レオンは彼女を椅子から立たせると、そっと腰に手を添え、歩き出した。
ブルはそんな二人を後ろからニコニコいながら、見送った。




