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31ミッション1-魔国の城

 ナミたちと別れたレオンは、キーラを連れ、山頂付近に建つ、魔国の城に向かった。

 魔国の城は、全体に真っ白な固い岩で造られていた。

 ただし、その中央には、ひときわ輝くような真っ白い雪を固めて造られる、氷の宮殿が白い靄の中に建っていた。

 レオンたちは、取り敢えず、既定通りに城門を抜け、城の中の貴賓室に通された。

 すぐに、キーラの親族が、出迎えに現れた。

「レオン様。お久し振りです。」

 キーラの叔父である魔国の宰相が、レオンに右手を差し出した。

「ああ、久しぶりだな。そちらも、元気そうだな。」

 レオンは型通りの挨拶を返した。

「叔父様。お久し振りです。」

 キーラは二人の話が終わると、すかさず叔父に挨拶する。

 彼女の母親は、魔国の現宰相の妹で、赤の国の公爵家と婚姻を結んだので、魔国の宰相は彼女の叔父にあたる。

「キーラも元気そうで何よりだ。もうそろそろ、妻のマーラも王宮に着く頃だろうから、会いにいくといい。」

「ありがとうございます、叔父様。部屋で着替えたら、すぐに、おば様の所に伺います。」

「ああ、そうしてくれ。喜ぶだろう。」

 宰相はそう言って、微笑んだ。

「レオン様も一緒にいかがですか。魔国で作られた紫炎ワインもなかなかですよ。」

「ああ、ありがとう。でも遠慮しておく。疲れたので、少し舞踏会まで休むつもりだ。」

「そうですか。では舞踏会は明日の夜ですので、昼食などいかがでしょうか?」

「そうだな。では昼食をいただこう。」

 宰相はホッとすると、機嫌よくキーラにも笑いかけると、傍に控えていたメイドに合図して、レオンを部屋に案内するように申し付けた。

 レオンは、メイドに案内され、クロウが待機する部屋に向かった。

 部屋に着くと、クロウが紫炎ザクロのワインを用意して、待っていてくれた。

「お疲れ様です。レオン様。」

「ああ、本当に疲れた。」

 レオンはぐったり顔で、着ていた上着を椅子に放ると、ドサリとソファーに腰かけた。

「お疲れだと思い、浴室に入浴の準備をしておきました。」

「ああ、助かる。後はもういい。一人にしてくれ。」

 レオンはかったるそうに、クロウに言うと、彼に下がるように合図する。

「畏まりました。何かあれば、お申し付け下さい。」

 クロウはそう言うと、放り出された上着を部屋の傍に置いてあったハンガーにかけ、そのまま退出した。

 レオンは浴室のドアを開けて、ズボンを傍のカゴに放ると、湯に浸かった。

 湯気が浴室に充満する。

 レオンは濡れた髪を搔き上げ、浴槽にもたれかかった。

 その瞬間、


 ドボン バシャーン


 物凄い水音とともに、なぜかナミがレオンの上に降ってきた。

 レオンは目の前に落ちてきたナミを、裸の胸で抱き留めた。

「ナミ!!!」

「レオン!!!なんで裸なの?」

 レオンはナミを抱き留めながら、うんざりした顔で答えた。

「ここは浴室だ、ナミ。普通、風呂は裸で入る。」

「えっ!!!」

 ナミは初めて、周りを見回した。

 見ると、浴槽に入っているレオンの上に覆いかぶさるように、服を着たままの自分が圧し掛かった状態だった。

 真っ赤になりながら状況説明をしようと、するが羞恥で全く頭が働かない。

「えっと、その・・・・あの・・・・・・。」

 レオンは大きく溜息を付くと、まずは現状を確認した。

「ここまで、どうやってきた?」

「えっと、噴水の外に瞬間移動しようとして、失敗しました。」

 ナミは視線をレオンの裸の胸から真っ赤になりながら、一生懸命そらして答えた。

「グレイは、どうした?」

「うっ、・・・たぶんまだ、噴水の前じゃないかと・・・・・・。」

 レオンはナミを見たまま、うんざり顔になると、顔にかかった水滴を払う。

『グレイ、聞こえるか?』

 すぐに、グレイから返答があった。

『申し訳ありません、レオン様。ナミを見失いました。』

『問題ない。ナミは俺の所にいる。』

『えっ、王宮にですか? いつのまに。』

 グレイのびっくりした声が響いた。

『とにかく、お前は噴水前から移動して、王宮に来い。』

『畏まりました。』

 グレイは、素直に返事をすると、レオンは念話を切った。

「ナミ。」

 ナミはレオンが念話をしているうちに、浴室から出ようとしたようだった。

 レオンは傍にあったタオルをナミに放る。

「とりあえず、そのびしょ濡れ状態を何とかしろ、ナミ。それと言っておくが、風呂は裸で入るものだぞ。」

「うっ、仰る通りです。」

 ナミはびしょ濡れの体を服の上からタオルで拭うと、慌てて浴室からでた。

 浴室のドアを閉めて、自分が持って来た袋を捜すと、それはソファーの傍に置いてあった。

 ナミはバタバタしながら、びしょ濡れの服を脱ぐと、袋から着替えを出して、それに着替えた。

『うっ、でもなんで、こっちに瞬間移動しちゃったのかなぁ。確かに、噴水の外を想像したはずだったのに?』

 ナミは首を傾げながら、ソファーに座ると、緊張がゆるんだせいか、お腹がなった。

 グゥー

 ナミは袋から、ブルが作ってくれた豪華料理を出すと、それに齧り付いた。

 モグモグと食べてお腹いっぱいになった頃、浴室からレオンが出てきた。

「ナミ。それで遺跡はどうだった?」

 ナミは、ドキリとしながらも、どう話そうか考えて、結局、何も言えずに口ごもる。

 その様子にレオンがナミを問いただした。

「なにをやったんだ、ナミ?」

「えっと、うっ、その偶然・・・・・・。」

 レオンの顔がナミを覗き込む。

「偶然。」

「えっと、起動しちゃいました、間違って。」

「それで。」

 レオンから怒りの波動が伝わってくる。

「明日の昼には、遺跡が使えなくなっているはずです。」

 レオンはまた大きく息を吐き出すと、ナミを自分膝に抱き上げた。

 ナミはレオンの膝の上で固まった。

 レオンは固まって動かなくなったナミの顎に手を置いて顔を上に向けると、自分と目を合わせた。

「この間、俺が話した内容を憶えているか? ナミ。」

「もちろん。」

 レオンは物騒な笑みを浮かべた。

「じゃ、なんで勝手に起動した?」

「えっと、起動したわけじゃなく。」

 ナミが言い訳しようとすればするほど、レオンの機嫌が悪くなっていった。

 結局最後は、言い訳を止めて、レオンの顔を見ながら、謝罪した。

「レオン、ごめん。」

 レオンはやっと謝ったナミを見て、頭を撫でると、彼女を抱いたまま、テーブルに載った紫炎ザクロのワインを飲み始めた。

「レオン、邪魔じゃない。」

 ナミはレオンの膝の上から降りようとするが、降りれない。

「今はそこにいろ。」

 レオンはそう言うと、そのままナミを膝に乗せ、ワインを飲み続けた。

 ナミがそのうち、レオンの腕の中でウトウトし出す。

 レオンは、夢うつつのナミを見ながらぼそりと呟いた。

「これからはナミを一人では絶対行かせん。必ず俺も一緒にいくぞ。」

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