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28ミッション1-魔国に向かう

 ナミはレオンに抱き付く、キーラと呼ばれた巨乳美女を、なぜか、イライラしながら見ていた。

『なんでこんなにイラつくの。いや、別にこれは、レオンが巨乳美女に抱きつかれているからイラついてるんじゃない。レオンがデレついてるからだよ、うん。』

 ナミが自問自答しているうちに、いつの間にかレオンに、小脇に抱えられて寝室に運ばれていた。

「ナミ、聞いているのか?」

「えっ、なに?」

 レオンは額に手をあてた。

「もう一回説明するから、よーく聞け。明日の昼には、この城を発って、魔国に向かうから、明日までに出発出来るように準備しろ。理解できたか?」

 ナミは頷いた。

「よし、じゃ、今からブルを呼ぶから、彼女に手伝ってもらって、荷造りしろ。俺はキーラと話してくる。」

 レオンはそう言うと、寝室を出て行った。

「ちょっ・・レオン、準備くらい自分で・・。」

 ナミが言い終わらないうちに、レオンは行ってしまった。

『なによ、あのキーラとか言う巨乳美女の、何がそんなにいいのよ。』

 ナミは自分の胸を見た。

 さっきより落ち込みが激しくなった。

 その時、ドアをノックする音が聞こえた。

「ナミ、入るけどいい。」

 ブルさんの声が聞こえる。

「あっ、はい。どうぞ。」

 ナミが返事すると、ブルさんがヒラヒラのエプロンを着て、中に入って来た。

 手にはたくさんのドレスを抱えている。

「さてっと、取り敢えず、これ全部着てもらうから、脱いで頂戴、ナミ。」

「はい???」

 ナミはブルに、もう一度聞いていた。

「だから、これを試着してもらいたいから、今着てる洋服を全部脱いで頂戴。」

「えっ、全部?」

 ナミが呆気にとられて、全く動かないので、近づいてきたブルに、着ている服を下着まで全部剥かれた。

「ブルさん、なにするんですか?」

 ブルは有無を言わせず、次にはコルセットをナミにあてると、その紐を締めた。

「ぐえぇーー死ぬー。いいい・・・いき・・いき・・吸えな・・。」

「大げさね、ナミは。」

 ブルはそう笑いながら言うと、さらに紐を締める。

 ナミが青い顔で呻いている。

「さて、下着はそれでよし。次はどれが似合うかな。」

 ブルはそう言うと、ベットに広げたドレスを、片っ端からナミに着せた。

「うーん、ヒラヒラ系は似合うけど、いまいちね。妖艶系はぜんぜんダメ。さて、後は・・・。」

「ブルさん。まだ着るんですか?」

 ナミは死にそうになった。

「当然でしょ。白の舞踏会にでるのよ。普段着で行ける訳ないでしょ。あっ、そうだ。まだこれがあったわ。」

 最後にナミは、ブルに異国情緒あふれる着物もどきを着せられた。

「うん、やっぱり、ナミにはこれね。ヨシ、こっち傾向で決まりね。」

 ブルはそう言うと、その系統のドレスを次々にナミに着せると、針と糸で少し手直ししては、衣裳を変えた。

「よし、これで完了。」

 ブルのお許しが出て、普段着に着替えた時は、ナミのライフは、根こそぎなくなっていた。

「死ぬかと思った。」

「大げさね、ナミは。」

 ブルはそう言って、さっき手直しした、ドレスを広げると、持って来た裁縫箱を開いて、神業のような速さで、一着一着を丁寧に縫いながら、仕上げていく。

「ブルさんは、何でも出来るんですね。」

 ナミがブルの手元を見て、感心しきりに見ていると、彼女に買ってきたお土産を思い出した。

 慌てて、タンスを開けると、それを出す。

「何してるの、ナミ?」

 ブルはドレスを仕上げて、裁縫箱をしまうと、ナミに声をかけた。

 ナミは、大きな袋を取り出すと、ブルに渡す。

「これは?」

「青の国で買ってきたお土産です。」

 ブルはびっくりした後、にっこりすると、

「開けていいの?」

「もちろんです。」

 中には、めずらしい調味料やかわいいスカーフ、カラフルな布の他に、メリーちゃんと買った魅惑のヒラヒラ下着のセットが入っていた。

「あのーブルさん、その下着はメリーちゃんと私からです。でも、もし気に入らなけ・・・。」

 ナミの声は、ブルの歓喜の声に遮られた。

「なんて、かわいいの!!!すてきぃーーー。ありがとう、ナミ。あとメリーにも私が喜んでいたと伝えてね。このヒラヒラ最高ね。」

 ブルの目が輝いていた。

 取り敢えず、喜んでもらえて良かった。

 ナミはホッとすると、ブルは小さな布袋を広げると、その中にドレスをきれいに畳むと次々に入れて行った。

 ハンカチくらいの大きさの布なのに、なぜか、かなりの量のドレスが中に納まって行く。

 目を丸くして、見ていたナミに気づいて、ブルが微笑んだ。

「ナミは収納袋を見るのは、始めてなの?」

「はい。なんですか、その袋?」

「これは、魔法で作られた袋で、そうね、そこにある戸棚とタンス4個分は、軽く収納できるわ。結構値段が張るけど、戦闘とか旅行とか行くのに、吸血族はよく空を飛ぶんで、みんな容量は違うけど、それぞれ持っているものよ。これはレオンからナミへのプレゼントなの。だから大事に使いなさいよ。」

 ナミは頷いた。

「よしっと、ドレスは入れたし、あと向こうで必要になるものは全て、中に入れてあるから大丈夫よ、ナミ。最後に明日の朝、ここに朝食を入れてあげるわね。そうそう、取り出すときは、舞踏会に必要なものと言えば、取り出せるから、憶えておいてね。」

 ナミは首を縦に振った。

 ちょうどその時、レオンが帰ってきた。

「用意は出来たのか?」

 レオンの質問に、ブルが答えた。

「今終わりましたので、私はこれで下がります。」

「ああ、ご苦労だったな。明日は昼には、ここを発って、魔国に向かう。今日はもう休め。」

 ブルはレオンに礼をすると、部屋を出て行った。

「ナミ、今食事を頼んだから、先にシャワーを浴びておけ。」

 レオンから、さっきの赤毛美女がつけていた香水の匂いが漂ってきた。

「レオンこそ、そんなに香水くさいのに入らないの?」

 ちょっとムッとして言うと、レオンは最初キョトンとした後、さもおかしそうに笑うと、

「そうだな。食事もすぐ来るし、俺が先に入ろう。」

 レオンがそう話した時、ドアをノックする音がした。

 レオンが許可すると、食事を城のメイドが運んできた。

 ブル特性のボリューム満点の料理だ。

 ナミのお腹が、そのにおいに反応して鳴る。

「先に食べろ。」

 レオンは笑いながら言うと、浴室に向かった。

 ナミは、ムッとしながら、運ばれてきた料理を食べ始めた。

 さっきのレオンがさせていた香水のにおいも相まって、料理はあっというまに、ナミの胃袋に収まった。

 ナミは食べ終わると、食器を瞬間移動で外に出すと、レオンが飲む、いつものワインをテーブルに出した。

 ナミの用意が終わった、ちょうどその時、レオンが浴室から出てきた。

 今回もなぜか全裸ではなく、上半身だけ裸だ。

「あれ、レオン、なんで???」

「どうしたナミ。空いたぞ。入って来い。」

「うん。」

 ナミは不思議に思いながらも、浴室に向かった。

 入浴が終わって戻ってくると、レオンがソファーで、ワインを飲んでいた。

 ナミはベッドから毛布を持ってくると、レオンの隣で毛布に包まる。

「どうした、ナミ?」

 いつもは離れて座るのに、くっついて来るナミに、珍しいこともあるものだと、レオンが隣を見ると、彼女はすでに眠っていた。

 レオンはもう一杯飲んだ後、ナミを抱くと、一緒に布団に入った。


 次の日の朝、寒さが一段と増した頃、一行は魔国に向け、出発した。

 先頭はグレイで、その後ろに、両脇を精鋭兵に守られたレオンが、キーラを庇うようにして飛んでいる。

 そのレオンの後では、ナミが前を睨みながら飛んでいた。

 今回は白の舞踏会に出席するためなので、横には速度が遅いブルが、クロウに抱きかかえられながら、ナミの隣を飛んでいた。

「ねえ、レオン様。キーラは疲れてしまいましたわ。そのレオン様、キーラも抱き・・・。」

「そうか、疲れたか。ならやはり引き返そうか、キーラ。今日のうちに中間地点のヘブンまで行けないなら、白の舞踏会には間に合わないしな。」

「あっ、そのなんだか疲れたのは、気のせいですわ。気になさらず、速度も上げていただいて問題ありませんわ。」

「だ、そうだグレイ。速度を上げろ。」

「畏まりました。」

 グレイは、レオンの命令に、ぐっと速度を上げた。

 キーラの顔が引きつる。

「どうかしたか、キーラ?」

「いえ、全然。」

 キーラはそう言いながらも、必死に速度を保っていた。

 ナミは、いつもより、かなりゆっくりな飛行に、欠伸が出そうになっていた。

 下を見るが、そこには荒れた山と、どこまでも続く荒野以外は、何もなかった。

「どうかした、ナミ。」

 ボウとしているナミに横にいたブルが声をかけた。

「いえ、本当に何にもないんだなぁと思って。」

「そうね。ヘブンに着くまではずっとこんな感じよ。」

「へっ、ブルさん行ったことがあるんですか?」

「ええ、クロウのお父様が魔国の出身の方だから、一度ね。でもその時は、空からではなく、荒野を走ってだけれど。本当に走りがいがあったわ。」

 ブルは懐かしむように下に広がる荒野を見ている。

「ブル、下ばかり見ていると、失速するぞ。」

 ブルはクロウの声に、慌てて視線を前に向けた。

「ごめんなさい。クロウ。つい懐かしくなって。」

「分かっているが、落ちてからでは、遅い気を付けろ。」

 ブルは頷くと、さっきより、もっとぴったりクロウにくっついた。

 なんだか風と一緒にハートマークも横から飛んでくる。

 なんだか違う意味で今日は熱い。

 ナミたち一行は、日が傾くまで、休みなく飛び続けた。

 そのうち目の前が暗くなって、もう飛ぶのが限界になった頃、前方に灯りが見えてきた。

「よかった。すっかり日が落ちる前に着けそうね、クロウ。」

「ああ、よかった。ヘブンだ。」

 クロウとブルが呟いた時、グレイから降り合図があった。

 一行は高度を落としながら、明かりが灯るヘブンの街に降り立った。

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