26ミッション1-魔国の遺跡を攻略せよ。
スクリーンが変わると、魔国にある遺跡の場所が現れた。
「ナミ、これはなんだ?」
レオンが遺跡の詳細情報を見ながら、ナミに問いかける。
ナミは今までモニター越しに、プロフェッサーサトウと話したミッションの件をレオンとグレイに説明した。
「なるほどな。だが、この場所は厄介だな。」
「そうですね。これはへたをすると、魔国の首都であるヘルの目と鼻の先じゃないでしょうか?」
グレイの指摘に、レオンは画面を見ながら、顎に手をあてて、考えている。
『うっ、レオンって、なんで仕草一つ一つがなんでこう色気がダダ漏れている。』
「ああ。だが、キーラから遺跡が発見されたなんて話は、まったく聞いたことがないし、さて、どうしたものか?」
「ええ、たしかに私も、魔国の兵士から遺跡発見の話は、聞いたことがありません。どうしますか、へたをすると国家間の争いごとなりますよ。」
「ああ、遺跡を見つけて、勝手に使えなくすればな。だが、人間の国には異空間に穴を開けて、時空の道を作れる遺跡があるんだ。ほっておけば、魔国と言えども距離が問題にならなくなる。」
「確かにそうですが、その情報も魔国側に教えるんですか?」
グレイの当然の疑問に、レオンもしばし黙り込む。
『下手に説明をすれば、情報の出所を話さなければならなくなって、こっちにある古代遺跡のことも説明がいる。そんなことを説明できるわけもない。どうしたものか。』
「まず、どちらにしろ、魔国に正式に入国しないことには、この遺跡に近づくこともできませんし、どうしますか。」
グレイの疑問に、レオンはモニター室にあったテーブルに腰かけると、顎に手をあてて、足を組むとそれに答える。
「入国は可能だ。これからちょうど魔国では冬になるので、白の舞踏会が開かれるからな。」
グレイがハッとして、顎から手を離す。
「たしかに、その手がありましたか。でもナミをどうやって、連れて行くんですか?キーラ様がなんていうか。」
グレイが憂い顔で、ナミとレオンを見た。
「なんで、キーラがナミを気にするんだ?」
レオンは訳が分からないとグレイを見返す。
グレイは大きな溜息を付くと、
「そりゃ、気にするでしょ。キーラ様は魔族の血を色濃く受け継いでいるんですよ。ナミの魔力の高さを見たら、すぐに私たち以上に敏感に感じ取るんじゃないですか。」
「ああ、そうだったな。忘れていた。うむ。」
レオンはナミを見た。
『ナミの体からは、確かに高い魔力が感じ取れる。レオンとグレイが、これだけ感じ取れると言うことは、キーラにはそれ以上に、明確にわかるということだ。それに魔国は、魔力の高さが、身分以上に重要な国だ。ナミを連れて行けば、飢えた野獣の前に、極上の肉を放り投げるようなものだ。遺跡を調べるどころではなくなる。』
「ナミ、その遺跡探索は、やはり、ナミが行かねばならないのか?」
ナミは日本語で聞いてみた。
<ねえ、この探索、他の人でも出来るの?>
<探索は可能でも、起動と停止は、ナミの血族だけが可能なものだ。>
「えっと、起動と停止は、私の血族しかできないみたい。ということは、今のところ私以外に同じ血脈の人物はいないから、行かないとダメだと思う。」
レオンは諦めたように、息を吐き出す。
「そいつに、ナミの魔力を抑えるような道具がないか、聞いてみてくれ。」
ナミは頷いて、聞いてみた。
<ねえ、探索に必要なんだけど、私の魔力を抑える道具ってある?>
<もちろんだ。>
プロフェッサーサトウは答えると、目の前のコンソールに何かの指輪が乗ったテーブルを出した。
<これは?>
ナミが青い指輪を手に取って、質問した。
<これは、魔力蓄積用の指輪だ。指に嵌めてみろ。>
ナミは素直に指に嵌めてみた。
指輪が光ったと思った途端、パリンと割れてしまった。
<なんと、すばらしい。>
プロフェッサーサトウは、機械のくせに人間のような感嘆の声を上げると、先程とは違う透明なクリスタルのような石が輝く指輪を、コンソール前のキーボード上に、出現させた。
<では、これならどうだ。>
ナミは素直に、また出てきた指輪を嵌めた。
先程と同じように眩い光るがあがるが、しばらくするとそれも収まって、今度は指輪が壊れるようなことはなかった。
「「すごいぞ。なんだこれは?いきなり、ナミの魔力量が半減したぞ。」」
レオンとグレイが声を揃えた。
「えっ、そうなの?」
「ああ、なんなんだ、その指輪は?」
レオンの質問に、ナミは慌てて、プロフェッサーサトウに、この指輪がなにか、日本語で聞いてみた。
<ねえ、この指輪はなんなの?>
<それは、普段、有り余っているエネルギーを使って、他の魔法に転用する指輪だ。>
<他の魔法って、例えばどんな魔法なの?>
<この指輪は、主に治癒魔法とか防御魔法系だ。>
<その他にもあるの?>
<こちらは、雷と炎系の攻撃魔法に転用できる指輪だ。>
説明と同時にその指輪が現れた。
<これも嵌めていいかしら。>
<そうだな。その方が指輪の寿命も延びるし、その方がいいかも知れん。>
プロフェッサーサトウの意見に、ナミは違う指にも、指輪を嵌めてみた。
「さっきより、また少し魔力が下がったな。それはなんだ、ナミ。」
ナミは薬指と人差し指に嵌めた指輪について、レオンとグレイに説明した。
「なるほどな、防御系と攻撃系の指輪か。よし、それを着けたナミを魔国で開かれる白の舞踏会の会場に連れていけばいい。」
「確かに、白の舞踏会ならヘルにある王宮で開かれますし、魔国の遺跡はどうもあの地図を見る限りでは、首都付近のようですし、それが一番安全ですね。」
「ああ、とりあえず、今日はこれくらいにして、明日朝早くに城に戻り、準備が出来次第、魔国に向かう。」
「分かりました。城に戻り次第出発の準備に入ります。」
「頼む。」
レオンとグレイは、ナミ抜きで話を決めてしまった。
ナミが唖然としていると、レオンはひょいっと彼女を担ぎ、モニター室を出た。
そして、もとの本棚が置いてあった所に戻ると、通路に出て、休む部屋に向かう。
ナミは慌てて、我に返ると、レオンに抗議した。
「レオン。ここは城じゃないから安全なんで、一人で寝られるよ。」
「ああ、わかってる。だが、俺がナミが横にいないと安眠できん。だからあきらめろ。」
レオンはそう言うと、廊下をスタスタ歩いて行った。




