17 異種族会議
ナミがメリーとジミーとかいう小僧と出て行ってから、しばらくして、異種族間会議の為、レオンとグレイは、隊長に案内され、”青の間”に向かった。
”青の間”は、城の中央にあった。
レオンたちが入ると、円卓上に”青の国”の宰相と王、それに”魔の国”の使者の二人が、すでにそこにいた。
青の国は、力を重視する傾向がある国なので、王も宰相も筋肉ムキムキでがっしりしている。
逆に魔の国は、魔力重視のせいか、華奢で細身のものが多い。
とはいえ、その身からは、強力な魔力がオーラのように流れ出ていた。
レオンはグレイを従えて、そこに加わった。
話し合いはすぐに、まとまった。
基本人間に表立って敵対するのは、当初の予定通り、”青の国”と”赤の国”となった。
当然だろう、魔の国は、この二つの国の、さらに奥に位置しているので、この二つの国が、滅ぼされない限り、直接人間と相対することはない。
なので、魔の国は、直接対決は避け、支援のみで、基本この件は、二つの国に任すと断言した。
混血児村での被害も、殺害されたものの中に、純粋な魔族は一人もいなかったので、当然か。
赤の国以上に、魔の国は血筋を重要視する。
なので当然、魔の国的には、これが妥当な所になったのだろう。
三国は、戦争になった時の事を、細々と取り決めて、当初の予定より、だいぶ早く会議は、終了した。
魔の国の使者たちは、取り決め後、早々と帰っていった。
「お疲れ様です。」
終わったと当時に、二人は、青の国の隊長に、歓迎の為に準備された食堂に案内される。
本来はここで、舞踏会などが予定されるのであろうが、今回は非公式な会談の為、歓迎の食事会になったようだ。
会場に行くと、そこには、すでに部下たちが、集まっていて、レオンたちの合流を待っていた。
「どうなりましたか、将軍。」
グレイの下についている副官が、心配そうに、レオンに問いかけた。
「当初の予定通りだ。」
レオンがそう答えると、男はホッとする。
「では予定通り。明日には、今後の合同作戦について、打ち合わせを行います。」
「ああ、そうしてくれ。」
レオンが部下との会話を終えたのを見て、ここまで案内してくれた青の国の隊長が、レオンに紫炎ザクロのワインを勧めた。
「これ、結構いけますよ。」
「ああ、もらおう。」
レオンが紫炎ザクロのワインを手にした。
部下たちもレオンにならい、ワインを飲み始めた。
あちこちで、ざわざわと会話が始まった。
それを見ながら、レオンはおもむろにナミに念話をした。
ナミがすぐに、いつもの元気な声で、念話に答えた。
頭の中に、久しぶりにメリーに会えて、とてもうれしそうなナミの声が聞こえてくる。
念話は、声に出して言わない分、相手の感情がモロに伝わる。
ナミはあと二日、こっちに滞在することを聞いて、うれしそうだ。
もう少しメリーと楽しんでから、城に戻ってくるという。
レオンはナミのうれしそうに話す声を聞いた後、念話を切った。
グレイがそんなレオンを見ながら、紫炎ザクロのワインを飲んでいる。
「なんだ、グレイ。」
なにか言いたそうにしているグレイに、レオンは目を向けた。
「いえ、含み笑いをしているレオン様を、見たのが初めてで、ちょっと珍しかっただけです。」
『グレイはたまに、俺が主人であることを忘れていないか?』
「グレイ。」
レオンは真面目な顔でグレイに話しかけた。
「なんでしょうか?」
「お前は、俺が主人であることを忘れていないか?」
「わかっていますが、それが何か?」
グレイがさらりと言ってのける。
『なんだ、この馬鹿にされ感は?気のせいか。』
グレイはこの所、人間の若造のようにナミの言動を気にするレオンが、可愛く見えて、仕方なかった。
今まで何もかも、完璧にこなしていたのに、そのギャップが、逆にたまらない。
自分がこんな事を考えているなど、レオンに知られたら、殺されかねないが、それでもグレイは笑みがこぼれて仕方なった。
それも人生経験が豊富なはずのレオンが、ナミに惚れていることに気がつかずに、振り回されているのを見ると、哀れな感じがして、これまたいい。
グレイは、こんなことになるまで、自分がドSだとは思わなかった。
グレイの不穏空気を気にしながらも、レオンは紫炎ザクロのワインを飲みながら、夕刻には自分の元に帰ってくるであろうナミを思った。
早く戻って来い、ナミ。




