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三匹目の贈りもの

 山の日暮れ。細いそま道を、ひとりのお坊さんがおなかをすかして歩いていました。もう何日も食べものを口にできず、ふらふらで森の中をさまよっているのです。

 きょうも空腹で夜を過ごすのかと、お坊さんはため息をつきました。


 この姿を、くまさんと、うさぎさんと、にわとりさんが木かげから見ていました。みんなも、ききんで食べるものがなく、うえていたのです。

 でも、おおくの人たちを助けた、えらいお坊さんが苦しんでいるのに胸がいたみます。動物たちはそれぞれ食べものを探しに出かけました。


 夜になって、お坊さんは火をたきました。

 そこへ、三匹があらわれました。

 くまさんはかきの実を、にわとりさんはきのこを差し出しましたが、うさぎさんだけは何も見つけられず、うしろの方ではずかしそうにもじもじしていました。

 くまさんはかきをむき、にわとりさんは枝のさきにきのこを差して、たき火で焼きはじめます。

 うさぎさんは、しばらくみんなの働きをみていましたが、意を決したかのように前へ進み出ていきました。

「わたしは、お坊さんのために何も見つけられませんでした。だから、これを食べてください」

 言うなり、前にいたにわとりさんを、ぽんと火の中へけり込みました。

 くうゎっくうゎっくわー。


「やっぱ、焼き鳥はうめぇな」

「ちょっと塩あじが足りないんじゃない?」

「焼き鳥のたれ、切れちゃっててさ」

 と、みんなはおなかいっぱいごちそうになりました。


 ひとりが犠牲になって、多くが助かりました。

 こういうのって、功利主義的に正しい?


                         (で、おしまい)



次の作品もよろしく。


●短編 『臨終のあなたに』『間違い電話の女』『三つの贈り物~聖なる夜に~』『死刑囚からの手紙』

 ●超短編集 『早すぎた葬送』『化粧のなくなった日~近未来バーチャル・ドキュメント』早すぎた火葬』『電車メーク』『美しい水車小屋の娘』『虹色のくも』『はだかの王さま』『森の熊さん』『うさぎとかめ』『アラジンと魔法のパンツ』『早すぎた埋葬』

 ●千鶴と美里の仲よし事件簿 『どこじゃ、どこじゃ、毒蛇はここじゃ』『パパのカバンがなくなった!』『尿瓶も茶瓶も総動員、人質少女を救い出せ』『グルメの誘いは甘いワナ』『昔の彼は左利き』『美里の夏休み日記』『シャルトリューは美食の使い』

●前期高齢少年団シリーズ 『勝の婚活大作戦』『監禁脱出大作戦』『ヴェルサイユ城のマーマ姫』『らくだの梅さん、かんかん踊り』『必殺浮気人を消せ』『ケータイ情話』『ミッション・インポシブルを決行せよ』『車消滅作戦、危機一髪』『秘密指令、目撃者を黙らせろ』『さよならは天使のパンツ大作戦』

 

(上段の作者名「とが・みきた」をクリックしていただければ、作品一覧が表示され、お読みになれます)


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