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第19話「上司の弱点」
俺は自称天才エンジニアである。
理論は完璧。
ロジックは美しい。
想定外は想定済み。
――の、はずだった。
会議。
上司。
完璧。
説明。
論理。
全部強い。
会議後。
上司が俺に言った。
「ねぇ俺くん」
「この資料」
「誤字ある?」
俺は確認する。
ない。
「ないですね」
「そう」
上司は少し考えて言った。
「私ね」
小声。
「誤字だけは怖いの」
「なんでです?」
俺が聞く。
上司は少し間を置いた。
「昔ね」
「全社メールで」
さらに間。
「社長の名前」
「間違えたの」
俺は黙った。
それは――
事故だ。
上司は静かに言った。
「だからね」
「誤字は消す」
一瞬止まり、
「文明ごと」
火属性だった。
誤字って、
小さなミスに見えて
意外とダメージ大きいです。
特に
全社メール。
名前。
役職。
この辺は
本当に危険です。
ちなみに俺くんは、
この話を聞いてから
誤字チェックだけは真面目にやるようになりました。




