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第11話「夜中の練り消し事件」
俺は自称天才エンジニアである。
理論は完璧。
ロジックは美しい。
想定外は想定済み。
――の、はずだった。
夜。
時刻、23時。
娘が突然言った。
「練り消し作る」
……は?
俺は時計を見る。
23時。
もう一度言う。
「今?」
娘は机に座り、
消しゴムを取り出し、
黙々と練り始めた。
理由は不明。
俺の脳内ログが回る。
・学校の工作?
・自由研究?
・友達の流行?
不明。
だが、ここで娘が言った。
「大人チームは茶色」
……は?
続けて言う。
「子供チームは水色」
待て。
情報が増えた。
だが意味が分からない。
俺は聞いた。
「それ何?」
娘は当然のように答えた。
「チーム」
……チーム?
机の上を見る。
削られた消しゴム。
謎の粉。
練られた物体。
完全に
化学実験場
である。
娘は言った。
「戦う」
……戦う?
どうやら
練り消し戦争
が始まるらしい。
俺の結論ログ:
事件は突然始まる。
子供の遊びは、
大体ここから始まります。
・目的不明
・ルール未定
・準備だけ進む
そして気が付くと、
いつの間にか
プロジェクト
になっています。




