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第1話 予備機なんて不要だと判断した俺、上司の一言で全てが崩壊する
俺は自称天才エンジニアである。
理論は完璧。
ロジックは美しい。
想定外は想定済み。
――の、はずだった。
朝。
上司が言った。
「念のため、予備機も持っといて」
は?
今日の作業に予備機は不要。
過去ログ参照。
トラブル発生率3%未満。
荷物は軽い方が合理的。
つまり――
持たないのが最適解。
俺は脳内でA/B分岐を展開した。
A:素直に持つ(保守ルート)
B:理論を信じる(最適化ルート)
自称天才の俺は当然Bを選んだ。
――そして昼。
メイン機が沈黙した。
画面は真っ黒。
ログは無。
俺の顔色も無。
静かに、上司がこちらを見る。
「予備機、ある?」
ない。
世界がスローモーションになる。
あの一言はランダムイベントではなかった。
伏線だったのだ。
俺はその日、学んだ。
上司は乱数生成機ではない。
未来観測装置だ。
経験値+12。
自称天才エンジニア、
今日もレベルが上がる。
ただしポンコツ度も比例している気がする。
明日もイベントは発生する。




