9話 謎の扉と剣
「あれは、扉?」
「ホントだ〜、なんだろ?」
僕とローザは扉に近づいてみる。
イワンさんとナタリーさんは扉について特に何も言ってなかったなー。
どうやって開くんだろ?
「う〜ん、押しても引いても開かないよ〜」
ローザは扉を押したり引いたり、スライドさせようとペタペタと触り始める。
ファンタジー世界の扉にしては、少し意匠に違和感を覚えた。
今まで遊んできたゲームの知識と照らし合わせると、どっちかといったらSF寄りな扉に見えるな。
「ローザの怪力で開かないんだったら、どうにもならなそうだなー」
僕は何となく扉に触れてみる。
すると、扉の模様が光り輝き、扉が横にスライドされ開かれていく。
「え〜っ! シオンくん、なにしたの?」
「あれ? ローザが何かしたんじゃ……」
「わたしじゃないよ〜、どゆこと?」
どうやら、本当に分からないみたいだ。
「ま、まさか、シオンくんには、ほんとに秘められた不思議な力が〜?」
「マ、マジで!? いや待て! まだそうだと決まったわけじゃない、ぬか喜びってパターンもあるから、断定は出来ないなー」
そう、冷静に行動し、判断するべきだ。
「予防線張るのはズルい〜、落ち込んだところを、わたしが励まそうと思ったのに〜」
「その気持ちは嬉しいけど、そのために僕のヘコむ状況を望むのは本末転倒じゃん、しかも、なにがズルいか分かんないし」
僕はローザの頭を上からワシッと掴んでみる。
「えへへ〜♪」
全く悪びれる様子がないなー、この子は。
そしてローザは指先から光る光球を創りだし、扉の先に少しずつ入っていく。
「明かり、出せたんだ、ていうか、いきなり入るのはマズくない?」
「だいじょぶだよ、わたし、不死身だし♪」
「は? マジで?」
「うん、自分の体を再生させるのは簡単で、やられても数分で元通りに復活するから、危ないことは任せて〜♪」
ローザは自信満々に胸に手をあてる。
「す、すごいな……」
「だって、わたし神様♪」
「以外とゲームでは不死身属性の神様って少なかったから、神様が不死身って発想は出なかったなー」
「そ〜なんだ〜」
ローザは目をまん丸くして僕を見つめる。
不死身だと聞いて、僕は少し安堵する。
でも、見たくはないものの、肉体が再生する場面を目撃していない以上、完全には安心は出来ないかな。
ローザが気休めを言ってるとは思わないけど、そんな状況はないに越したことはない。
気は緩めないようにしようっと。
そしてローザは光球を部屋に飛ばし、周囲を明るく照らす。
「シオンくん、あれ、なんだろ?」
ローザは部屋の中央を指差すと、そこには台があり、剣のようなものが乗せられていた。
「剣、みたいだ」
僕とローザは警戒しながら部屋の中央へと進んでいく。
そしてローザは剣を取り、鞘から抜き出し眺めている。
「柄に、赤いキレイな宝石がはめ込まれている以外は、ただのロングソードみたいだけど〜……」
剣の刀身は銀色で、持ち手と鍔は黄金で出来てるような感じだ。
RPGでよく見るロングソードによく似ていて、スタンダードな十字架状の形だ。
ただ、柄には赤い宝石がはめ込まれており、刀身の下……つまり、刀身、持ち手、鍔の交差部分には六芒星の魔方陣の形をしたダイヤルのようなものがついている。
「シオンくんも持ってみる?」
ローザは宝石をつつきながら僕にロングソードを手渡してきたので受け取る。
「見た目より、ずっと軽いなー、にしても綺麗な宝石だ」
僕は赤い宝石に手を触れてみる。
すると、宝石は赤く光り輝き、刀身は炎を纏い始めた。
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