8話 封印の洞窟
洞窟内部はかなり広く、武器を振るにも不便はなさそうだった。
壁と天井にはヒカリキノコがポツポツと生えており、青く光っている。
基本、一本道のようだけど、少し下り坂気味になってる気がした。
長さによっては、けっこう地下までいきそうだ。
「うわぁ〜、キレイだね〜、まるでわたしの心みたいに♪」
「お、おう……そうだね……」
なんの負い目もなくそんなこと言えるのは、ある意味感心するな。
ツッコミどころ満載だ。
しばらく進むと、犬ほどの大きさのネズミとコウモリが数体襲いかかってきた。
「うわっ!」
初めてのモンスターとのエンカウントだ。
「くっ、怯むなシオン! こんなもの、かつての長時間労働の大変さと比べたら屁でもない!」
命をかける戦いがそんなはずはないのだが、兎にも角にもまずは気合が大事だ!
そう自分を鼓舞し、剣を構える。
「わたしのキ〜ック、わたしのパ〜ンチ!」
ローザは足と拳に光を纏い、次々とGラットを蹴飛ばし、Gバットを殴り殺していった。
「す、素手でモンスターを破裂させるなんて、なんて恐ろしい! しかも笑顔なのがなおさら!」
「どう? わたし、つおいでしょ。あと、怖くない怖くない、わたし、温厚で優しくて良い子♪」
「自分で言ってるやつほど胡散臭いものはないな! でやぁ!」
振り下ろした剣がGバットに命中し、1体倒すことに成功する。
「や、やった!」
そして走って向かってくるGラットに突きを繰り出し、これも命中させることに成功する。
Gラットは息絶えた。
「え? シオンくん、思ったよりやるね……もっと慌てふためくかと思ったのに〜」
「ちっくしょー、やっぱりそっちを期待してたなー。ただ、運が良かったのが大きい気がするよ」
「わたしがシオンくんの運をブーストしてたりして♪」
「それはありそうだ、頼むよローザ」
実際、1人で入ったら、あっという間にやられていたと思う。
ローザには色々とツッコミどころしかないけど、頼もしい仲間ということには変わりはないんだ。
ここは素直に助力を求めたい。
「えへへ、任された〜♪」
ローザは顔を赤らめ、頭をポリポリかきながら羽根をパタつかせている。
こういった挙動自体は確かに愛らしいんだけどなー。
そして僕とローザは洞窟の奥まで進軍していく。
窪みには水が溜まっている場所があり、ヒカリキノコに混じって見慣れない植物が群生している場所も見受けられた。
植物が多いおかげか、洞窟内の空気は悪い感じではなかった。
香草のような香りも漂っており、それがGラットとかの臭いを消してくれてるのかもしれない。
「わああ〜、すっごい、ヒカリキノコがたくさんだよ〜」
洞窟の奥まで辿り着き、ヒカリキノコの群生地に対面する。
「すごい……」
思わず声が漏れた。
地面一杯のヒカリキノコは、青く輝く絨毯のようで、幻想的な光景が広がっていた。
「それじゃ、わたしが襲ってくるモンスターをやっつけるから、シオンくんは採取をお願いね〜」
「うん、分かった」
僕は次々にヒカリキノコを引っこ抜き、背中のカゴに入れていく。
「これ、余裕で100以上あるぞ、ただ、依頼以上の分は安く買い取られるって言ってたから、あまり余計には採らないでおこう」
「だねっ♪」
ローザはモンスターを次々とやっつけ、しっかりと僕を守ってくれている。
いずれは僕も、女の子守れるくらいには強くなりたいな。
そんなことを思いながら採取を終え、立ち上がる。
「あ、シオンくん、集まった〜?」
「うん、100ちょっとは集まったよ、さあ、帰ろう……ん?」
「どしたの、シオンくん?」
僕はふと、洞窟の行き止まりに目を向ける。
すると、そこには不思議な模様が描かれた金属の扉が壁に埋まっていた。
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