5話 スキンヘッドの大男イワン
「おう、兄ちゃん、嬢ちゃん、ギルドに何の用だ?」
扉を開くと、灰色のTシャツと長ズボンを着た身長2メートルはある厳つい顔したスキンヘッドの大男が入り口に突っ立っていた。
「うおお! で、でっかい!」
「大きいね〜」
僕は驚き、思わずつぶやく。
170の僕とは比べものにならないデカさだ、筋肉もすごいし、さぞ名のある戦士に違いない。
ローザは僕の後ろに回り、抱きつきながら僕の顔の横から大男を覗いている。
「はっはっは、悪い悪い、驚かせちまったみてえだな」
大男は剛胆に笑いながら頭をペチペチと叩いている。
気の良さそうなおっさんだなー。
「少しビックリしました。にしてもすごい強そうですね、熟練の戦士さんですか?」
「いや、実は俺は鉱夫なんだ。まあ、ツルハシで戦えないこともねえがな」
「てっきり、戦士かと思いました、それにしてもデカい……」
ここまで大きい人を僕は見たことがない。
でも、不思議と威圧感は感じないな、穏和な人なのかも。
「イワンさん、あまり怖い顔して驚かしちゃダメですよ、また怖がって逃げてしまいますよ」
「お、驚かすつもりはねえんだ、あと怖い顔は生まれつきだ!」
受付の女性にたしなめられてタジタジだ。
イワンさんっていうのか。
「えっと、紹介が遅れました、僕は山田シオンといいます。この子がローザ」
「ん〜と、よろしく〜」
ローザは怖ず怖ずと僕の後ろから首を伸ばし、挨拶をする。
「おう、オレ様はイワンってんだ。よろしくな!」
「よろしくお願いします」
良い人たちみたいだ、良かった。
ローザは変わらず僕にピッタリくっついている。
人見知り激しすぎだろ。
「えっと、仕事を受けたいんですけど、僕たちが受けられる仕事ってありますか?」
「ほほう、兄ちゃんたち、駆け出し冒険者か?」
「はい、そんな感じです」
「ギルドカードは持ってるか?」
「ギルドカード?」
あれ? カードが無いと仕事受けられないってパターンかな?
いきなり、つまづいたりするのは嫌だなー。
「カードがねえなら、受付に行って発行してもらうといいぜ」
「ありがとうございます!」
よっしゃ、流れが良いぞ。
「良かったね、シオンくん」
「ああ、なんとかなりそうで良かった」
ローザは羽根をパタつかせて笑顔で僕の顔を覗き込む。
やっぱりオウムかと思ってしまう、羽根も生えてるし。
「しっかし、建物の中で羽根をパタつかせたら埃が舞いそうだ」
「だいじょぶ、シオンくんにしか見えないし物は通り抜けるから舞わないよ〜」
「そうなんだ?」
それは初めて聞いたな、確かにイワンさんから羽根のツッコミは無かった。
僕にしか見えないんだったら、目立って騒ぎになることもなさそうだ、良かった良かった。
雑談しながら僕とローザは受付へと到着した。
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