4話 まずはギルドに行こう
なんとかローザを泣き止ませたのは良いが、注目を集めてしまったので少し離れた所に移動する。
うわぁ……女の子をたぶらかした悪い男に見えてたのかなぁ。
「んじゃ、改めてよろしくね、シオンくん♪」
「あ、ああ……よろしく、ローザ」
ローザは満面の笑顔で握手をしてきた。
確かに見た目はとても愛らしいんだけど、ヤンデレ気味でポンコツなのは何とかならないのかなー?
「ねえ、シオンくん、まずはどうしよっか?」
「そうだなー、異世界といえど最優先で必要なものがあるから、それを何とかしないと」
「え、それなに?」
ローザは首を傾げながら僕の顔を覗き込んでくる。
オウムかローザは。
「ずばり、お金だ。食事をするにも宿に泊まるにも、これがないと何も始まらないんだ」
「シオンくん、がめつ〜い」
ローザは前のめりになって僕の眼前に迫ってくる。
そんなローザの頭をワシッと両手で掴みながら僕は反論する。
「えーい、だまらっしゃい! とにかく、お金を稼ぐ必要があるんだ、さっそくギルドを探しに行こう」
「シオンくん、以外と行動力あるんだね」
「以外は余計だってば……あ、すいませーん」
僕は通行人のおじさんにギルドの場所を聞いてみる。
「ギルド? この道を真っ直ぐ行ったら目の前にあるぞ」
「ありがとう、おじさん」
よーし、ギルドの場所は教えてもらった。
あとはそこでクエストを受けるだけだな。
僕はローザを連れてギルドへと向かう。
「シオンくんが人と自然に話してる〜、生意気っ♪」
「ちょっ、ローザは僕をなんだと思ってんだ!?」
「んんっ、コミュ症♪」
「少し人と話すのが苦手なだけだ! そこまでじゃないさ」
確かに、得意でもないがな。
そんなこんなでギルドに到着する。
「おお、大理石で造られた立派な建物だ」
2階立ての大きな建物だ。
看板には冒険者ギルドと書かれており、これまたファンタジーのお約束な感じで分かりやすい。
「ん〜と、ほんとに入るの?」
「そりゃあ、クエストを受けるためには入る必要があるけど」
「たくさん人いるのかなぁ?」
「多分」
ローザはキョロキョロしながら頭をかいたり長い金髪をいじっている。
なんだなんだ? 急に挙動不審になったぞ。
「なあ、ローザ」
「な、なあに? シオンくん?」
「まさか、ローザがコミュ症ってわけじゃ……」
ローザは目を泳がせ、大汗をかいている。
え、うそ、図星なわけ?
するとローザは僕の腕にしがみつき、ピッタリとくっついてきた。
「うそやろ! 仮にも僕の守護神だろ! それがコミュ症とか冗談にもほどがあるわ!」
「だって人ごみ怖いんだもん、仕方ないじゃな〜い」
ローザは羽根をしょげさせプルプル震えている。
マジか……ヤンデレでポンコツでアホでコミュ症とか、もう色々とツッコミどころしかないわー。
「よ、よし、分かった……この状態で良いからギルドに入れるかな?」
「うん、それなら良いよ〜♪」
ローザはパァッと笑顔になり、僕の腕に頭をすりつけ、ご機嫌になる。
確かに可愛いんだけど、それ以上にツッコミどころが多すぎてときめく以前の問題だ……なんだかなー。
そして僕はギルドの扉を開くのだった。
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