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3話 特典はローザ

 意識を取り戻すと、僕は中世RPG風の街の中に立っていた。


 路上には武器屋や防具屋、道具屋が並んでおり、鎧と剣を装備した騎士やファンタジー風の服装をした人たちが行き交っていた。


「おおー! すごい! まさにRPGの世界そのものだ!」


 ドラ●エやF●を彷彿とするなぁ。


「どう? わたしの言ったとおりでしょ♪」


 ローザはニッコリとしながら手鏡を渡してきた。

 何故に手鏡?

 自分の顔を見ろということかな?


「うん! これは期待出来そうだよ!」


 僕は期待を膨らませつつ、手鏡を使って自分の顔を見てみる。


 平凡な顔つきは変わらないようだけど、髪型がワイルドウルフっていうカッコいいものになっており、髭が完全に消滅しツルツルになっている。


 さらに服は黒のシャツと長ズボンになっており、黒のロングコートを上から着ていた。


 全身黒ずくめで中二病全開な感じだけど、うん、カッコいい。


 ちなみに靴は履き心地の良いブーツになっており、これまた真っ黒。


「髪型が変わってて、髭が全くないなー」

「カッコいいでしょ、あと、わたしムダ毛きら〜い」

「思いっきりローザの趣味じゃん!」

「良いじゃな〜い、減るもんじゃないし♪」

「減っとるがな!」


 まあ、良いか、髭は確かに剃るのが面倒だったから。


 腕や足とかのムダ毛も無くなってるのは、ちょっと変な感覚だけど、すぐに気にならなくなりそうだ。


「服も変わってる」

「似合ってるよ、シオンくん、素敵〜♪」

「あ、ありがとう。ちなみにこの真っ黒いロングコートも?」

「うん、わたしの趣味♪」

「やっぱり……」


 ローザは真っ白だけど、僕は真っ黒にするのは、これ如何に?

 いや、カッコいいから良いんだけど。


「あれ?」

「どしたの、シオンくん?」

「今さらだけど、なんでローザもここにいるわけ?」

「ええ〜っ、わたし来ちゃダメなの〜? ひど〜い、あんまりだよぉ〜!」


 ローザは涙目になって僕に抗議する。


「いやいやいや! そうじゃなくてさ、来れるんだ?」

「うん、来れるよ」


 ローザはあっけらかんと答える。

 泣きやむの早っ! 嘘泣きじゃないだろうなー。


「通常のパターンだとさ、女神に送り出された際、能力をもらい、1人で行動して仲間と出会ったりというイベントが用意されてるのがセオリーみたいだから、まさかついてきてくれるとは思わなかったんだ」

「そうだったんだ〜」


 ローザはすっかり機嫌を直したようだ。

 案外、単純なんだろうか?


「えっと……ゴメンね……」

「へ?」


 ローザは急に申し訳なさそうに謝ってきた。

 なんだなんだ?


「良かれと思ったんだよ……殺してあげて、わたしの手元に置いといてあげるのが良いって、だから……」


 お、思いっきりヤンデレの発想じゃん……。


「い、良いよ、別に怒ってないから落ち込まないでって。悪気は無かったみたいだし、転生して異世界に来れて結果オーライだし、次は気を付けてくれればさ」


 さすがにまた殺されるのは勘弁だからな。


「シオンくん、優しい〜! わたし、頑張るね♪」


 ローザはガッツポーズをしながら羽根をパタつかせながらはしゃぐ。

 うん、可愛い、見た目と挙動は。


「あ、そうだローザ、異世界転生の特典を聞きたいんだけど?」


 さあ、僕の秘められた力とは?


「んんっ、わたし♪」

「ええーっ、マジで!? 僕の能力は!?」

「え〜と、なんだろ?」


 ローザはすっとぼけて頭をポリポリかいている。

 なんか話が違うぞ。


「僕が聞いてるんだよぉーっ! すごい装備とかチート能力は?」

「た、多分、そのうち生えてくるよ〜」

「雑草やタケノコじゃあるまいし、そんなポンポン生えてたまるか! ちっくしょー、微妙にサギ臭いぞ!」

「うるせ〜、悪いかぁ〜っ♪」


 ローザは笑顔で甲高い声を張り上げる。


「こいつ開き直りやがった! しかも全く悪びれた様子がないし! くっそー、段ボールに入れて道端に置いていこうかな!」


 少しムカついたので悪態をついてみる。


「待ってぇ〜! 置いて行っちゃヤダァ〜! わたし、つおいし可愛いし役に立つから、お願いシオンくん、猫ちゃんみたいに捨てないでぇ〜!」


 ローザは両膝をつきながら僕にしがみつき、お腹に顔をうずめて羽根をパタパタさせながら泣きじゃくってきた。

 通行人たちの視線が痛い。


「わ、分かった! 悪かったよ! 冗談だ! 連れて行くから、泣くのやめてくれ!」


 僕はローザの頭を撫でながら必死になだめてみる。

 こんなギャン泣きするとは思わなかったぞ。


「ほんと? やったぁ! 嬉しいよぉ〜! ふええええええん!」


 ローザは立ち上がり、僕を抱きしめながら、またも泣き出す。


「また泣いとるし!」


 僕はローザの背中をポンポン叩きながら泣き止ませようとする。

 やっばい、この子、想像以上にポンコツかも。

 ほんとに大丈夫かな……。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

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