18話 ローザに風呂に連れ込まれる
「あのー、ローザ?」
僕は振り返り、とぼけた返しをする。
「一緒に入ろ〜?」
「えええっ!?」
ヤバい、ヤバいぜ……会ったばかりの女の子と、一緒に風呂に入るとか、もう完全にアウトだ!
なんとか誤魔化してこの場を切り抜けなきゃ!
「ま、また今度ね、じゃ、僕は用事があるから……」
「そんな誤魔化しが、わたしに通用すると思っちょんの〜、シオンくん?」
ローザは僕の腕をガッシリ掴む。
「ひぃぃっ! バレたし! しかも、なにその怪しげな方言は!?」
「んんっ、ローザ弁♪」
「そんな方言は無いっ!」
ツッコミを入れつつ、僕はローザの掴みを解こうとする、が……。
「ダメだ! ビクともしないぞ!」
「すごいでしょ、わたしの筋力は63! つまりはねっ、ローザよローザ♪」
「く、くっだらねぇ!」
僕は思わず口悪くツッコミを入れる。
「ほらほら〜、観念して一緒に入ろ〜、シオンくん♪」
「ええーい、ダメだっての!」
「……くすん……1人はさみしいの……お願い、わたしと一緒に入ろ、ね……?」
「うっ!」
ローザは涙目で僕にしがみつき頬ずりしながら甘えてくる。
僕は陥落した。
「えへへ、あったか〜い♪ お風呂って良いよね〜♪」
「そ、そうだね……」
僕はローザを直視しないように、肌が当たらないようにドラム缶風呂に浸かる。
結局、根負けして一緒に風呂に入るとは。
だが実は、嫌だと思ってないというスケベな自分がいることを内心ハッキリ感じているのだ。
うおお、襲ってしまったらどうしよう……先に僕が襲われるかもしれんが……。
あと、ふと気になることが。
僕が魔道具で作った物はすごいものになるとナタリーさんは言ってたが、マジカルポットで生成した水は、普通の水のように見える。
そういえばマジカルポットには魔石がはめ込まれてるってウエイトンの店主さんが言ってたなー。
魔石が電池のようなものと仮定すると、僕が触れても、それを仲介して普通の効果になるとか?
まあ、ただの憶測なんだけど。
「う〜ん」
考え込んでいると、ローザは僕を見ながら首を傾げてきた。
「ん? どうしたのローザ?」
「シオンくんの筋肉、普通」
「そりゃあ、平均の10だからなー」
「イワンちゃんみたいに筋肉つかないかな〜?」
「無茶言うなって」
僕はローザの顔を見ながら軽口を言う。
あんな筋肉ダルマみたいなイワンさんと比較されても困るぞ。
「よ〜し、わたしがなんとかしてあげるね♪」
「お、例えば?」
筋力を上げる良い方法があるんだろうか?
「んふふ〜、それは、その時のお楽しみ〜♪」
「なーんか嫌な予感がするなぁ」
ローザはニコニコしながら顔を赤らめている。
やっぱり嫌な予感しかしない、大丈夫かな?
──よく温まったあと、僕とローザは風呂から上がり、マジックポットで水をコップに注ぎグイッと飲む。
「う〜ん、美味しいね〜」
「だな、風呂上がりだから、なおさらだ」
やはり水が光っていて万能薬になってるっぽい。
マジックポットの方は魔石が使われてないって言ってたから、やはりそういうことか?
「よ〜し、まずはマッサージをしてあげるね、ささ、シオンくん、横になって〜♪」
「え?」
そして僕はローザに促され、ベッドにうつ伏せに寝かされた。
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