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幻想奇譚

琵琶に水琴

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

ちゃんと平家物語が読みたいと思いつつ、推しが恐らくほぼ出ないので、躊躇ってます。

聞けば水音、眺めれば墨絵、映す世界は平安京。それこそ琵琶という楽器が齎す、作り出すものだと思うのです。水音を完全に再現した楽器。

日課である巡礼を行っていた時の事、参道から水音を拝聴致しました。静寂の水面に小石を落としたかのような音。それが数泊の間を置いて、また響き渡ります。あぁ、これは……。

早る気持ちを抑えながら音源を辿ると、(おみな)様が一人、琵琶を抱え込み、弾き語りを行っております。

私が生まれる数千年も前の物語。盛者必衰の理を表した物語。それにしては余りにも静かに優雅ささえ感じる琵琶の音色。

しかし私が訪れた時には既に遅く、終演を迎えようとしておりました。早まる琵琶の音色が激動を示し、そして静かに失せた後、静寂が辺りを包みます。

これでお終い。常磐も此処でお終い。私は静かに一礼をして、その場を去りました。

それでも、水音を忘れる事は出来ず、気が付けばあの琵琶の音色を探してしまいます。もう何処にもないのに。あの水音は。幾ら水辺を探しても、何処にも存在しないのに。

それでも諦め切れず、私は小さな箱庭に訪れてしまいました。

眼前に拡がるのは小池と、苔むした岩、それから朱色の橋。水中には錦鯉が揺らめき、橋の上には母亀が子亀を連れてせっせと渡っている最中て御座います。

広がる静寂、静謐。水音はそこにはなく。

少し気落ちしたままにその場を去ろうとした時で御座います。右手に置かれた小さな水瓶と柄杓に気が付きました。けれども水を献上するお方はお近くに居らず、これは一体何のために使うのでしょう。銀の説明板には、ただ一言。小石の中央に水を流して下さい。と書かれております。

私はただ柄杓をとって、命ぜられるがままに水を流します。

――コロン……カン……ピチョン……カン……。

「……」

雨音では無い幻想的な鉄琴の音色、それが静かなこの空間にただ輝きを齎しました。

「……水琴窟」

本日耳にした、あの琵琶と同じ音色がすぐそこに。

冒頭に出てくる、

聞けば水音、眺めれば墨絵、映す世界は平安京。

というのは、

聞こえる音は水音、弾き語る姿は墨絵の一幕、二つ合わせれば平安京を見ている気分になる。

という事から。


平家物語のイントロ部分が筆舌に尽くし難い程に儚く切なく、美しいので、皆様も是非。


そんな事考えていたら、水琴窟に出会いました。

石の中心部に水を流すと、鉄琴の様な音が聞こえて来るというもの。

江戸時代の風流人がやっていたそうで、昔の人って粋だと思いながら二回ほど流しました。


関係ないですが投扇興をやりたいです。

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