5.いつもの休日
休日のお話です。
暑くて目が覚めると、時計は12時を指していた。
今日は寝すぎちゃったなぁと思いながら、ゆっくりと身体を起こす。タイマーをかけていたエアコンは勿論切れていて、ベッドルームは軽くサウナのようになっていた。ベッド脇にあるサイドテーブルの上に乗ってるエアコンのリモコンを取り、スイッチを入れる。すぐに冷たい風が部屋中を覆いつくし、不快な寝汗を乾燥させていく。
シャワーを浴びようとバスルームに行く。頭から全身の汗を流すようにシャワーを浴びる。身体に纏わり付く気持ち悪い汗をきれいに流し終えると、バスルームから出る。バスタオルで身体の水滴を拭き取ると、すぐに洗濯機に入れて、洗剤と柔軟剤を入れてから回し始める。裸のままベッドルームに戻り、クローゼットから下着を取り出し身に着ける。
さぁ、今日は何を着ようかなぁ……
そう思いながら、クローゼットの中の服を物色し始める。と言っても、ただ食材と日用品を買いに行くだけだから、部屋着が少しマシになったような楽な服に着替えた。
大好きな草染めの、アジアンテイストのワンピースに同じような素材のカーディガンを羽織り、つばの広いベージュの帽子を被って、玄関のドアを開けて部屋を出る。
外に出るとすぐさま日傘を差し、商店街で1週間分の買い物をする。野菜をメインに買い込み、肉と魚も申し訳程度に買う。目的の食材を買い込み、すぐにマンションへ帰った。
部屋に戻り、すぐに肉と魚の下ごしらえをして、今日と明日に食べる分以外は、きれいに冷凍庫の中に詰め込んだ。
今日のご飯は和食にしよう。煮魚をメインに、いくつかの副菜、そして大好きな豆腐の味噌汁を作る。ダイニングテーブルに一人分の食事を並べると、スピーカーの電源を入れて、スマホにリンクさせ、好きな音楽がランダムで流れるように設定する。
好きな音楽を聴きながら、夕食を食べる。自分好みに作る代わり映えのしない食事を口に運び、もぐもぐと噛み砕き、喉の奥にごくんと飲み込む。これを繰り返し続けていると、食器に乗ってる料理達は、私の胃袋の中に詰め込まれ、食事が終わる。
空いた食器をキッチンに持って行き、洗い物をする。あっという間に終わらせ、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、リングプルを引きながらリビングに戻る。間接照明に変えると静かにソファーに座る。冷えた缶に口をつけると、ビールが一気に喉へ流れ込んだ。
何も変わらない
何も変えない
そんな生き方を決めたのは私
不満はない
誰が悪いわけでもなく
何が悪いわけでもなく
ただそんな運命の歯車を
私自身が選んで廻しただけ
誰も私に触れないように
誰も私に興味を持たないように
地味に生きる
孤独に生きる
それが私には必要で
私の生きる術で
そう決めないと
私は生きていけなかった
あの時に死んでいれば
こんな悩みもなかったのに
皮肉な笑いが浮かんで
これが自分に課せられた
罪と罰であって
全てを受け入れるには
その覚悟が必要だった
少し残ってるビールを飲み干すと、新しいビールを取りにキッチンに行く。キンキンに冷やされたビールを取り出し、再び喉に流し込む。身体中がアルコールで埋め尽くされるまで飲み続ける。
週末だけに許される、私が好きなように過ごす唯一の時間。静かに流れるその時間を堪能するように、私はお酒と一緒に眠りについた。
休日くらいはダラダラ過ごしたい派。
真面目な静花ちゃんもダラダラ過ごします。
酒のみなのでお酒も欠かせません。