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30.喪失感(優side)

うっきうきからの~



 夢のような時間に俺は勝手に酔いしれていた。


 舞い上がっていた俺は、静花を求めるように何度も躰を重ね合わせた。

 あの夜は、予想外の土砂降りの雨と酒の勢いもあって、初めてまともに言葉を交わした鈴木さん…いや…静花と…熱い夜を過ごした。

 太陽が昇ってお互いが素面になっても、醒めない夢であって欲しいと願いながら眠った。

 目が覚めても腕の中には静花がいて、それが嬉しかった。


 …夢じゃなかった…


 ほっと安心しながらも、戸惑う静花に俺は我に返った…はずだった。それなのに…静花は縋るように距離を置こうとした俺を引き戻した。


 …今なら間に合う…


 そんな距離だったのに、俺はそれに飲み込まれ…一気に溢れ出す想いを静花に吐き出してしまった。いきなりの告白に静花が困った顔をしたから、返事を待つことにした。


 そして…

 あの日依頼、静花は姿を消してしまった。


 毎日、俺の店の前を通っていたのに、一日中ドアの外を見ていても、静花が俺の店を通ることはなかった。

 秋月さんの店には、毎週金曜日に必ず来るのは知っていたから、金曜日は店を閉めるとすぐに足を運んだ。秋月さんはいつもと変わらない振る舞いで俺を迎えてくれていた。

 本当は「鈴木さんは来ていますか?」と聞きたかったが、聞いてしまうとなんだか負けてしまったようで、必要の無いプライドが邪魔をして、聞くことができないまま、当たり障りの無い会話をしながら、いつものようにジャクターを飲んでいた。

 閉店時間まで飲み、足元をふらつかせながら帰る。家に帰りベッドに体を投げ出すと、静花の香がふわりと鼻をくすぐるような…そんな気がした。


 あの日のことは……

 ……夢だったのか?


 いや、そんなことはない。静花に触れた手も肌も唇も……全ての感触を全身で覚えている。今まで感じたことのない快感が、溺れてしまうほどに体中に染み付いている。それが夢であるはずが無い。


 冷たいベッドの中、酔った頭で静花を思い出す。



 柔らかくて綺麗な肌

 しっとりと張り付き

 仄かに漂う甘い香が

 狂わせるほどに

 求めさせた


 欲情の塊のように

 何度も何度も求め

 吐き出した欲望は

 尽きることなく

 快感を貪った


 静寂の中では

 僅かに漏れる息遣いが

 厭らしく聞こえ

 熱く甘い世界に

 色をつけていた



 思い出すだけでも体が火照りだすほどに、静花との情事は鮮明に覚えている。静花は嫌がる素振りもなく、身体を絡ませていた。


 それなのに…


 静花は…俺の前からいなくなってしまった。

 静花と重ね合わせた素肌の心地良さを知ってしまった俺は、それに囚われたまま、静花を求めている。


 俺のことを拒んでも構わない。良い返事が聞けなくてもいい。

 ただ…俺の前から……いなくならないで…


 そう思いながら、一日の無駄で怠惰な疲れと共に、ゆっくりと眠りに落ちて行った。









優くんのショックは大きく

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