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初体験!馬車に乗る。
ただ今、馬車に乗っています。
龍をかたどった模様が彼のご実家の紋章なのかもしれない。金色の刺繍をふんだんに使った馬車に、私とマダムシェリーを乗せたジョージくんは手慣れた様子で従者に指示をする。馬車は騎士のようなものたちを従え小道を進む。車内は狭くないはずなのに、隣に座るジョージくんの膝と自分の膝がやけにくっついている。痛いおばさんにならないように、決して勘違いしないように、と私は気を引き締めた。
だが、見慣れない田園風景はまるでイギリスのコッツウォルズ地方のよう。ハチミツ色の煉瓦造りの建物、水鳥が泳ぐ川にかかった橋、道行く人びとの服装、あああ可愛い。全てが私の胸をくすぐる。
景色を眺める私はそれほどうっとりしていたのだろうか。
「ねえ、エリー。いい顔するね。」
隣に座るジョージ君に褒められた。
「すごく素敵な街並みなので!」
「僕の領地を気に入ってもらえて嬉しいよ。そろそろ目的地だ。もうすぐエリーが倒れていた場所に着くよ。」
「連れてきて下さりありがとうございます。私を見つけて助けてくださり、こんなによくしていただいて。」
「僕が来ていた時でよかったよ。」
ジョージ君は私に向けてにっこり笑った。
「色々とありがとうございます。」
私はジョージ君にもマダムシェリーにも深々と頭を下げて会釈をした。




