勇者ですが何か?
「パパー!」
「お~、えとー。誰だっけ」
「んもー!」
「ごめんごめん」
娘が15人もいるからな。覚えられないんだよ。なお息子も9人いる。
「わたらせゆ」
「お、あいらん。そっかあいらんの娘だっけ。長女か」
「そうだよ、もう」
あいらんも今となっては、2児のお母さんだ。見た目はようやくJKくらいだが。
ここは俺達がメインで暮らす一番でかい家だ。この世界における皇居と言っていいだろう。当然ここが首都である。俺がいるからね。首都ワタラセユウと呼ばれている。
今は俺とわかるてぃ、しょうじあが一緒に住んでいる。二人はまだ子どもがいないからね。あいらん、しまんは別の村を治めていて、久々に遊びに来たところだ。
小さいのがうろうろ歩き回っている。
「しまんの息子も大きくなったな。イケメンじゃん」
「ユウに似てる」
「そうだなー。似てきたなー」
ちゃんとお産が出来てよかったよなー。あのときは大変だったぜ。
なめ男さんが激ロリ産婦人科医を描いてくれなかったら、どうなっていたことか。
あれから、どのくらいの時が経過しただろうか……。小人たちの人生なら、3世代くらいに当たる。
もはや、小人たちは大きく繁栄していた。
俺達による脅威がなくなり、水の心配がなくなり。飢えることもなくなり。
そして俺達に必要な服や日用品を作った。
「おむつ変えようね~」
あいらんが次女のおむつを変えている。
いまでは俺の子どものための紙おむつみたいなものすら生産しているからな。助かるぜ。
俺達が建造物を建て、井戸を掘り、土地を開墾し。
そして大学をつくって、魔法に関する研究を進めていった。彼らは寿命が短い分、進化は早い。瞬く間に文明と技術が上がっていった。
昔は各々で魔法を使って生きていた小人たちだが、今や共通して魔法アイテムを使用することに魔力を使うようになった。
「ユウ、お茶淹れようか?」
「ああ、ありがとう」
しまんがお湯を沸かす。ポットに魔力を注ぎ込んで、すぐに水が沸騰する。
自動車に近いもの、冷蔵庫に近いもの、洗濯機に近いものも、指先から魔力を注ぎ込むだけで使用可能だ。使い勝手は非常に家電。
テレビやインターネットは無いものの、現代に近い文明水準。平成初期くらいの反映っぷりだ。
それは俺達だけでなく、小さな人間たちも同様だった。
小人たちはいまや魔法で動くエレベーターのついた、魔法の空調が効いたマンションに住んでいる。
しまんの淹れてくれたお茶をすすった。はー。うまい。
すっかり母の顔つきになったしまんに、俺も笑顔で応える。冷酷なキックをしていたとは思えないなあ。
「そういやしまんは、プロレス引退しちゃったんだっけ」
「引退? 2回したよ」
「ははは。プロレスラーだな」
引退も復帰も、いくらでもしていいからね。それがプロレスだ。
いまも大きな俺達が繰り広げるプロレスは人気の娯楽だが、小人たちも自分たちのエンタメというものを模索している。
それはアイドルのような、歌と踊りであり。 コントのようなお笑いの芝居であり。アニメみたいなものも登場した。原作はもちろんランドセルなめ男。
なめ男さんは自身の作品が、まさかアニメ化されるとは思っていなかったそうで、たいそう喜んだ。
というのも、なめ男さんは漫画家は漫画家でもエロ漫画家だったらしく。ロリコンでショタコンが描いたエロ漫画など、令和の日本でのアニメ化は絶望的だ。
しかしこの世界は文明こそ平成なみだが、政治制度は絶対王政だからな。法律など存在せず、俺がOKならOKですよ。
「つるやはまだ来てくれないのかな」
そうボヤくと、あいらんが抱っこしていた娘を俺に預けてきた。おー、よしよし。
「つるやちゃんが一番優秀だからねえ。引っ張りだこなんだよ」
小人たちが自分たちを治める王様を要求できるとは。まるで大統領制やないか。俺が独裁してる帝国のはずなんですけど?
「俺が会いたいんだから、すぐに来てくれよ~」
「じゃあ、しょうじあちゃんを向かわせる?」
「うむう」
わかるてぃはアホの子なので、選択肢にないらしい。しょうじあは統治者としても人気出そうだけど、子どもがいないうちは俺と一緒に過ごして欲しいよな。
他にいないのかよ。
「政治は男がやればいいと思うんだよな」
「みんな、なめ男さんのところにいるからね」
ランドセルなめ男は、ショタコンだったがショタが成長した男子はアリになってしまい、若い男を囲って過ごしている。あの人が妊娠するのも時間の問題だな。
「しょうがない。俺から会いに行くしかないか。また各地を回るプロレス興行だ」
俺が立ち上がると、あいらんがパチンと指を鳴らした。
「おっ! いいね!」
「じゃあ復帰しようかな」
しまんの復帰試合になった。楽しみだな。
「わたらせゆ、とりあえずこの町を離れる前に5連戦しとく?」
「いいだろしなくて……」
もういじわるな姫様達はいないんだからよ……。
……なんか、懐かしいなあ……。
「いや、やるか。アカネ王女も地獄で退屈してるだろうからな」
「ユウは優しいな」
「わたらせゆは、いっつも優しいよ」
どこが優しいんだよ。
俺は小学生くらいの小さな女の子たちを、おしりペンペンでわからせただけの弱い勇者だぜ。
完結です。
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