予言する。どうせ当たらないよ。
「魔王ってどこにいるの?」
「魔王? しらなーい。なにそれ」
またか……。
アオハ地方にやってきて、メスガキ……いや、ギャルと呼ぼう。ギャルに聞き込みをしているが、なかなか情報が手に入らない。
ふむう……おっぱい大きいな……。ふむう……。
「どう思う? しょうじあ」
「おっぱいが大きいなって思います」
「それな。……いや、そうじゃなくて」
俺がおっぱいをガン見してるのバレてるね?
違うのよ、別に大きいのが好きとかじゃないのよ。見ちゃうのよ。
この話はしなくていい。
「そうじゃなくてな。魔王軍のことを誰も知らないっていうことだよ」
「そうですねえ。うーん。そもそも魔王って名前は誰が作ったんでしょうか?」
「あー。それな。小さな人間だな」
「じゃあ先に小さな人間に聞いてみましょう」
「そうだよね。賢いね」
「えへへ」
頭を撫でるとくすぐったそうに微笑んだ。天使。こんな子を悪魔と呼ぶ人間たちのほうが悪魔だろ。
まったく胸のない、しょうじあ。好きですよ。
「人間さーん」
「はい! 人間です!」
ふーむ。小さな人間が恐ろしいほど素直だ……。普段見ているギャルに比べたら、この子は子どもに見えるからかも。恐れていない。
「人間さんに質問です」
「はい、なんでもどうぞ!」
「魔王軍をご存知ですか?」
「魔王軍ですか……しょうじあちゃんは違うんですか」
「しょうじあちゃんは、違いまーす」
「そうなんですねー」
これ違うな。人間がしょうじあにメロメロなんだな。
しょうじあはね、メスガキというよりペドビッチなんだよね。愛想がいいんですよ。
「魔王軍ってなんなんですか?」
「ん? 私たちはそれを知りたいんですよ?」
「わからないです」
「わぁ、使えな~い」
ふむ……やはりメスガキだったか……。満面の笑みでなんてこと言うねん。人間がびっくりしてんじゃん。
「使える人間はいますか~?」
「アッ……エッ……ソノ……」
恐怖で何も言えなくなってんじゃん。可哀想に。
「ほんとに使えないですね~」
「アッ……ハイ……スミマセン……」
人間は逃げ出した!
回り込まないので、しょうじあは悪魔じゃないかも。優しいね~。
「ほら、他の人に聞こう」
「今度は少しは使えるといいですね」
にっこり。カワイイですね~。怖いですね~。
「ほら、おばあちゃんがいるじゃん」
「おばあさま、ちょっとよろしいですか~?」
「あら、ずいぶんとお若い悪魔だね」
しょうじあは俺が見る限りでも屈指の若さです。おばあさんはすごいね。全白髪で。
「おばあさまは、明日にも死にそうだね」
なんてこと言うんだよ。
「そうだねえ。そうかもしれないねえ」
人間の寿命は短いので、マジでその可能性ある。洒落にならないんですよ。そういうのいいから、早く聞いてくれ。
「おばあさまは、悪魔軍って知ってる?」
「おお……悪魔軍……その名を聞いたのは久しぶりじゃ……」
様子が変わった!
目が、目が開いたぞ?
「そうか、そなたらは……暁の明星が星降る夜に舞い降りる男女の巨人……」
ただのおばあさんだと思ったのに、なんか伝説を語り継いでいるオババっぽくなったぞ……どんな天気なのかわからんが……。太陽が出てるのか出てないのかどっちなんだ……。今は昼だぞ……。
「悪魔軍を滅ぼす……そのために来たんじゃな」
違うなあ……お産を手伝って欲しいんだよ……滅ぼさないよ。助けて欲しいのよ。
「ならば教えよう……」
違うけど、教えてもらおう……悪いね。
「お主らが向かうべきは、あの遥か高き山の向こうじゃ……」
杖を向けた先は山。いつの間に杖を出したのやら。
見えている山は、この世界の人間にとっては登ることが叶わないかもしれない山。ただ俺達の感覚からすると、山と言うには大げさな感じ。ドラえもんに出てくる裏山みたいなもんだ。
「おばあさん、ありがとう」
「せいぜい長生きしてね~」
「お主らこそ、死ぬでないぞ……ゴホッゴホッ」
雰囲気たっぷりで言われてるところ悪いけど、戦う気はない。
とりあえずそっち行ってみるほかないぜ。
わかるてぃと合流し、三人で山を目指す。
「こんなとこに本当にいるのかな」
のほほんと登っているわかるてぃ。それに比べて……
「どうした? しょうじあ」
「……なんかここ、来たことある気がする……」
しょうじあが来たことがある。別にそこまで驚くことでもないが……。
「思い出したってこと? 昔の……」
あいらん達にみんな共通しているのが、あまり昔のことを覚えていないんだ。気づいたら今の生活をしていたというような。
しかしそうだとするとおかしい点もある。ひとりで生き抜く力がありすぎるし、言葉も使えるし。
「ここを降りていって……うん、そうだったと思う……」
マジか。
だとするとメスガキの謎に迫る可能性があるな。
しばらく登っていくと、この世界では見たことのない建造物があった。
「これは……」
コテージだった。キャンプ場にありそうな。テント部分もあって、椅子も出てて。これ完全にグランピングしてるな。
「しょうじあ」
見覚えがあるんだな?
「これは知らない」
「知らないのかよ」
拍子抜けなんすよ。




