表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/62

探しに行こう、見つけたくもないけど。

「勇者のグッズはないのか!」

「勇者様のグッズは!?」

「物販はあいらん選手としまん選手のものだけになりまーす。あと残ってるのは、あいらん選手のティーシャツと、しまん選手のバスタオル、あと両選手のブロマイドでーす」

「勇者様のブロマイドはなんで無いの!?」

「勇者のブロマイド欲しすぎるだろ」

「わしも、勇者のブロマイドがほしいのお」


 おいおい、俺の人気が出ちゃったよ!

 プロレスの終了後、物販コーナーには行列が出来た。

 しかし、みんなが欲しがったのはなんと俺のグッズ。

 俺のグッズなんか作ってねえよ。

 もともと、俺がリングに上がる予定なんてなかったから。

 

「だから、わたらせゆのグッズも作ろうって言ったのに~」


 まさか、あいらんの言うことが当たるとはな。

 俺のグッズなんて誰が買うんだよ、と思ったけどお爺さんすら欲しがっているというね……。


「まあ、作るしか無いな……」

「わたらせゆパンツと、わたらせゆ抱き枕と、わたらせゆのお風呂ポスターを作ろう」

「いらねーだろ!?」

「いる。売れるよ、ユウのグッズ」

「まじかよ……」


 しまんもそういうなら作っておきますか。

 異世界ですから、俺の価値観は通用しないですよ。

 この世界の人間のことはしまんが詳しいからね。


「しまん、本当に売れるんだね?」

「うん。人間たちは風呂に入らないけど、お風呂ポスター売れるよ」

「いや、じゃあ売れねえだろ!」


 やっぱり、こいつらの言う事は危険です!

 

「つるやちゃん!」

「はい。どうしました?」

「物販で作る俺のグッズは、つるやちゃんが決めてください」


 彼女が一番まともです。仲間になってくれてよかったです。


「はい。そうですね……子どもたちが遊べるような、小さいお人形を作りますね」


 えっ……それって、キン消しってこと……?

 俺が異世界でキン消しに?

 そんなことあんだな。

 ま、ここはつるやに任せて。


「さ、ゆきう。デビューに向けて練習に行こうか」

「えー。チョップだけでいいよー」

「いいわけあるかー」


 ゆきうは圧倒的にパワーが不足している。

 だから投げ技は厳しいんだが、なおのことテクニックを磨かなければならない。

 もちろん、チョップとキックだけで闘うという意見は却下。


「ローリングエルボーとか、ローリングソバット(空中回転後ろ蹴り)とか派手な技を使ってジュニアヘビー級の闘い方を身につけるんだよ」

「ふぁーい」


 ゆきうはホニョホニョとしているが、ちゃんとプロレスラーになってもらわんと困る。つるやちゃんはすぐにでもデビューできるし、技のバリエーションも期待できる。

 ゆきうは……ボディスラムもできないからね……。

 工夫をしなきゃいかんぜ。

 

「それよりさぁ~。おにーさんはどうするの?」

「は? 俺?」


 俺は無敵なんだから、何もしなくていいよ。


「俺は別に鍛えなくていいでしょ」

「そうじゃなくて。対戦相手だよ」

「ええ?」

「おにーさんの対戦相手がいないのはどうするの?」

「はあ。いや、俺はいいだろ別に。リングに上がらなくても」


 もともと俺が闘うつもりはなかったわけだし。


「駄目でしょ~。一番人気なんだから。グッズも作ってさ~」

「む……」


 確かにそうだが……。


「俺がゆきうに勝ったところでな」

「面白くないよ~」

「だな。三対一でハンデ戦にするとか?」

「えー。おにーさんと闘うなんてやだよ~」

「俺もゆきうを投げるなんてできないなあ」

「「えへへへへ」」


 なかよし!!


「ま、なかよしなのはいいが」

「そうだね」

「敵がいないのは困るな」

「そうでしょ~?」

「小さな人間を百人集めて……」

「試合になんないよ」

「だよな……」


 まず関節技は不可能。小指でやることになる。人形をいじめてるような感じね。

 ラリアットももちろん不可能。エルボーも当然駄目。

 投げたら死んじゃうだろうし、蹴っても死んじゃうし、フライングボディプレスをしたら血の海になる。

 プロレスとはいえない。


「悪魔を探しに行くしかないんじゃないかな~?」

「男の~?」

「そーじゃなーい?」

「え~?」


 確かに悪魔を倒すために異世界に連れてこられたけどさー。

 プロレスを異世界に広めたいけどさー。

 なんでわざわざこっちからガキを探さないといかんのだ……。


「ほら、一緒に探しにいってあげるから」

「ええ~? いや、練習しないと駄目じゃん」

「いやいや、そんなことよりおにーさんの対戦相手探しの方が大事ですよ」

「そんなこといって。練習したくないだけだろ」

「そ、そんなことないですよ?」


 そのキョドキョドとした目の動き。図星だろ。

 ったく……。

 しかし、こうなってくると前回みたいに勝手にやってきてくれたのは、ありがたいことだったな。

 あいつを牢屋にぶち込んで、毎回俺と……いや、観客はそれじゃ納得しないな。あまりにも楽勝すぎたのだ。

 それなりに強いやつを見つけてこないといけない。


「しょうがない、探しに行くかー」

「うんうん。いこいこ。ふたりきりで」


 ぎゅっと腕に抱きつくゆきう。

 まあ、こういうのも、いいかもしれないね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ゆきうちゃん悪い子だ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ