楽しいことを企んでるときが一番楽しい
「勇者様……♡」
うーん。久々に見る、シンシャ姫。
俺が活躍していることもあって、ますますビッチが増してるぜ。
服装も豪華になってなあ……。
小さいけど、やっぱり美人だな。
美少女フィギュアみたいで、魅力的だけど……。
「ところで女悪魔どもはどうですか、四肢くらいは切り落としましたか?」
「するわけないだろ」
これなんですよ。
まさに口を開いたら残念な美人ってやつなんですよ。
まあ、悪魔が嫌いなのはしょうがない。被害を受けてるわけだし。悪魔なんて呼んでるくらいだから。
問題は……
「この町では盗みを働いた女性は腕を切り落とすのですが。あ、男性はしませんよ?」
男尊女卑がエグいんだよ。
悪魔だけじゃなくて、人間の女にも厳しいんですよ。
異世界だから俺と価値観が違うのはわかるけど、こいつだけそうなんだよ。
そう、俺が今回シンシャに会いにやってきたのは、このアホ王女を止めるためです。
なんかね、アカネ王女の街に比べて発展が遅いんですよ。俺が来てからいろいろやってるので、もっと見違えるほど町が豊かになるはずなんですよ。
そしたら、どうもシンシャの横暴のせいっぽいと。
この時代、というか、この町はシンシャの独裁支配なんだよね。
公正な裁判どころか、法律も無いんですよ。男尊女卑のエグい王女の独裁支配だからヤバいんですよ。
小さな人間たちの女性が、活躍できない社会になってるじゃねーかと。
力仕事は俺や悪魔のほうが優れてるからさ、小さな人間に求めてることって細かいことなのよ。
女性が活躍する社会じゃないと困るのよ。
だから俺がガツンと言いに来たってわけ。
「そんな司法は今すぐヤメロ。腕を切り落としたりすんな」
「はいっ! 勇者様がそうおっしゃるなら!」
俺の言うことは聞いてくれるところはありがたい。やっぱアカネよりマシか。
「しかし、そうなると問題が」
「問題?」
「この町は、犯罪女への処罰ショーが唯一の娯楽なんです」
「……」
前言撤回。
アカネ王女は立派な統治者です。あいつは、俺への態度以外はまともでしたよ。
「娯楽がないと、反乱が起きてしまうと聞いております」
「はあ……」
まあ、そうかもしれん。
そうかもしれんが、現状の娯楽がなあ……。
でも世界史では、ギロチンが見世物だったりしたこともあったんだっけ。似たようなもんなのかな。
しかし娯楽か。確かに重要な要素だ。
娯楽ねえ……俺が思いつくのは映画やゲームのようなものだが、文明的にまだ無理だねえ。
古代の娯楽っていうと、お祭りじゃないのかね。踊るんだろ。女の子もふんどしで踊るんだろ。いいじゃないか。
「祭りとかないのか」
「マツリ? まつるとはどういう意味でしょう」
「あー。そうですか」
この世界、宗教がないからな。
宗教がないと文化が発展しないんだよな。祭りもそうだけど、絵画とか歌とか、そういうのって宗教から始まるだろ。
となると、サーカスとか? パンとサーカスって言うからね。古代ローマにあったんだっけ。
「サーカスないの」
「なんですかそれは」
「んー。高いところを飛んだりとかー。でかいボールの上で踊ったりとか?」
「魔法を見るだけですか? それの何が面白いんでしょう」
おー。魔法があるとそういう弊害あんのか。確かになあ……。空中ブランコみたいなことは驚かないのか。
象みたいなデカい動物もいないしな。サーカスはこの世界に向いてないな。
手品とかも何も面白くないんだろうなー。
じゃあなんだろうね。
悩んでいると、シンシャがぼそりと。
「なにか、女の腕が切り飛んでもいい理由はないでしょうか……」
「ねえよ」
なんで娯楽がバイオレンス限定なんだよ。
なんで、腕が切り飛ぶのが一番の娯楽なんだよ。しかも女じゃなきゃいけないのはなぜなんだよ。
でも、あれだな。
バトルはありか。コロッセオとか、闘牛とか。そういう娯楽ってあるな。
そうだ!
バイオレンスが面白いなら、人間じゃないものが戦えばいいんだよ。
闘犬みたいな発想ね!
この世界で血を流してもいい存在といえば……悪魔だ!
「男の悪魔を捕まえてきて、殺し合わせるのはどうだろう。倒したら生き残れるんだ。これで腕が切り飛ぶさまが見れるぞっ」
我ながらナイスアイデアだ!
「な、なんて恐ろしいことを。やめてください勇者様」
「ええ……」
なんでだよ。
男の悪魔はひとりやふたり、死んだっていいじゃねーか。なんなら殺しても死なないって聞いてるぜ。だから俺がわからせるために呼ばれてんだもん。
勇者が悪魔に厳しいのは当然だろうよ。
なんてことを~、じゃないんだよ。
「女の悪魔にしましょう」
「はーん?」
俺の女だぞ。殺し合いなんてさせるかよ。
やるなら相撲くらいだろ。
ん? 相撲は面白いか。だって、人間からしたら悪魔は超デカいんだから。
迫力あるだろうぜ……でも待てよ。
ふんどし一丁はあかんなあ!?
あいらんたちの裸を、見ていいのは俺だけだろうぜ。
もっと女子がやってていいバトル……興行になるような……迫力があって、華があって、熱狂的な……
「プロレスだ―ッ!」
「どうしました、勇者様!?」
デカくて、かわいくて、強い女の子たちが、闘うんですよ!
最高のエンタメじゃねえか!
俺も小さくなって観たいくらいだよ!
「よっしゃ、さっそくリングの準備だ。衣装をデザインして人間に発注しないと。あとグッズだな! 忙しくなるぞー!」
「あの~、勇者様?」
シンシャ王女は全然ピンと来てませんが、ほっときます。
こっちは、やることいっぱいなんだからね。




