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夕暮れ、涙。またあした。

「バカにしてます?」

「いや、してないですね」

「負けたって言ってるじゃん」

「だから、なんで負けなんですか!?」


 肩をすくめる俺とあいらん。


「なんでわからずやみたいな扱いなんですか……? わたしは変じゃないですよね?」


 ワンピースをめくりあげて、ふんどし丸見え状態だよ?

 変に決まってるじゃない?


「いや、あの、いいよ? もっと攻撃してもらって。俺はいくらでも受けるから」

「そうだよ。わたらせゆは、気が済むまで攻撃させてくれるから。どうぞ」

「……」


 あれ? 俺もあいらんもしまんもゆきうも。みんな温か~い対応なのに。

 つるやちゃんは何が不満なのかな?


「いいよ、何でも言いな。何が不満なの?」

「それだよっ! その態度!」

「つるやー。わたらせゆの態度は何も悪くないよ」

「だから、その感じだよ! まるで子ども扱いだよ!」

「子どもだなんて思ってないよ。えっちな目で見てるよ」

「そうだよ。ユウはみんな女扱いだよ」

「んもー!」

「子どもみたいな態度だな」


 子ども扱いした覚えはないが、すっかり子どもになってしまった。しまんもゆきうも腕を組んでヤレヤレという感じ。


「もういいよ。わたらせゆ。さっさとわからせようよ」

「そうそう。お尻ペンペンしよ」


 お尻ペンペンは子どもへのおしおきだけれども。

 この反応に、つるやはなぜか発奮。


「なんですか? 必殺技ってことですか? いいですよ。かかってこいですよ」


 おいー。

 この流れで俺に攻撃を許しちゃうのかよ、つるやー。チョロいってー。


「いや、負けを認めるのは早いって。もっと攻撃しなよ。俺には全然効かないことを思い知らされなよ」


 なんだったら、ちょっとビンタされたいんだよ。俺は。

 素足で顔を蹴られたいんだよ、俺は。


「うわ。ほんとにバカにしてる。よくみんな怒らないね」


 つるやちゃんは憤っているが、あいらん達はもはや呆れている。わがままな女扱いである。

 

「いいから。みんなはそれに屈したってことでしょ? やってごらんなさいよ。耐えてみせるんだから」


 うーん。

 やらざるを得ないか。

 あいらん達もさっさとやれって顔してるし。


「んじゃ、やりますか」


 ひょいっとおじぎさせて、お尻を突き出させる。手慣れたものですよ。

 なで、なでと。


「ひゃん!? なんで撫でたんですか!?」


 ほう……。

 撫でただけでこのリアクションか。カワイイじゃないですか。


「おい、あざといぞ!」

「あざとい」

「あざとーい!」


 あいらん達のブーイング。あざとくて何が悪いの?


「今から叩くよー、という準備の撫でだよ」

「なんですかそれ……」

「二回撫でたら……叩くんだよっ!」


 久しぶりに叩く尻!


「いったー……」


 静かに声を漏らす、つるやちゃんだが……。


「うわー。めちゃくちゃ手ぇ抜いてる」


 ジト目のあいらん。


「えっ……手を抜いてる?」

「そりゃ本気でやったら……なあ?」

「本気でやってください」


 頑固な娘だなあ……。

 しょうがないか。


「いくぞー」

「撫でなくていいんですが」


 俺はふんどしの尻を、二回撫でると……


「いーち!」


 パァアァン!


「!?」


 叩いた方も痺れるくらいのヒット!

 叫び声も出ない。

 今まで生きてきて初めての衝撃なんだろうぜ。


「にーい!」


 ぱっちーん!


「んー!」


 痛かろう。

 しかし、あれだけの態度だったからね。

 すぐにギブアップなんて、プライドが許さないんだろうよ。

 手で口を抑えてるよ。

 あいらん達はニヤニヤしている。


「さーん!」

「~!」

「よーん!」

「……」


 あいらん達の目が同情に変わった。

 俺はこの工程は大事だと思っている。

 このあと仲間としてやっていくにあたり、いくらなんでも発言や態度がね。

 これですぐに「まいった」なんて言ったって、あいらん達が納得しない。

 本当にわかってるのか、裏切るのではないか。そういう疑惑があっては、仲良くやっていけないんですよ。

 やりすぎだよって、止めに入ってくるまで叩くしかないだろう。


「ごー!」

「ぅ……」

「ろーく!」

「ひぅ……」

「なーな!」

「や、やめ……」

「はーち!」

「ご、ごめんなさ……」

「きゅーう!」

「ひっく……痛いよう……う、うわーん」

「じゅ――」

「もうやめろーっ!」


 あいらんがジャンプキックをかましてきた。

 ゆきうも背中から抱きついてきた。

 しまんは青ざめていた。引いている模様。


「やりすぎだって! お尻ペンペンを9発!?」

「泣いてるじゃん!」

「どうしてそこまで……」


 悪魔たちからまるで悪魔を見るような向けられたぞ。

 まあ、でもミッション達成ってとこだろ。


「痛いよー、痛いよぉ~! ごめんなさい、ごめんなさーい!」


 つるやちゃんは、四つん這いになって泣き叫んでいる。

 うむ。十二分にわからせることができた。

 俺は、彼女の背中をさすりながら「痛かった?」と優しく声をかける。

 そして――


「お尻じゃなくて、お腹とかほっぺたにやったらどんだけ痛いんだろうね?」


 と耳元で囁いた。


「あいらん達が、言ってたことが、正しかったですー! 勝てる、わけが、ないですぅー!」


 よしよし。

 俺は彼女を抱きしめて、頭を撫でてやる。


「ううう……大きい……力強い……安心します……」


 続いてお尻を撫でてやる。


「もう叩かないからねー」

「はい……もう叩かないでください……」


 こうして、新しい仲間が増えたのだった。

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