見えないところが、わんぱく。
「だから、蹴りっていうのは、単に足で攻撃するってことじゃなくてね……」
「おまえのアドバイスは聞かない!」
困ったお嬢様だな……。
俺のアドバイスがないと、俺にダメージ与えられないから言ってるのに。
つるやは俺の方をぷいっとさせ、あいらんの顔を見やる。
「あいらんは無いのか、アドバイス」
悪魔にしては珍しく、他の悪魔を仲間だと思ってるタイプなんだな。
敵の言うことは聞かない、味方の意見を求めると。
「わたらせゆ倒すのに、わたらせゆにボロ負けしてるやつの意見聞いてどーすんだよ?」
あいらんは正論すぎる言葉でバッサリ。
「ぐっ……」
つるやちゃん、かわいそうに。彼女だけがおかしいみたいになって。
「わたらせゆの倒し方なんて、わたらせゆが一番詳しいに決まってるじゃん」
「自分の倒し方を自分で言うわけないでしょ!」
「わたらせゆは言うよ」
「ユウは優しいからね」
「お茶のおかわりちょうだい」
カオスだな……。
とりあえず、ゆきうと一緒にお茶を飲みます。
つるやは、諦めずにあいらんからヒントを得ようとしているようだ。
「なんか弱点知らないの?」
「弱点かー。ぱんちらすると絶対見るから油断するかもよ」
「ふざけないでください」
ふざけてないんだよなあ……。マジで弱点だと思う。
「ま、肉体でどうこうなんて無理だよ。弱点っていうと、わたらせゆは魔法は使えないぞ」
「魔法が使えない!? 一切ですか?」
驚いてる驚いてる。そんなやついないからね。
俺は笑顔で彼女に近寄る。
「一切使えないぞ」
自分の顔にビシッと親指を突き立てて言ってやった。
「じゃあ、弱いじゃないですか。防御や回復もできないのでしょう」
「そうそう」
「なんでそんなに嬉しそうなんですか……」
呆れられてしまった。
「ならば、風魔法!」
見たことあるポーズ。これ、あいらんが最初に見せてくれたやつだな。単に強い風が俺を襲うだけ。
「あははは! 風魔法使ってる! 懐かし~」
あいらんが、紅茶を飲みながら笑い転げている。効くわけないって身にしみてるだろうからな。
ていうかコレって悪魔同士でも対して効果ないだろ。そりゃ、小さい人間ならたまったもんじゃないかもだが。
「くっ、次は電撃魔法!」
「あ。懐かしい」
次はしまんが懐かしがっている。これは風よりは効くぞ。
「あっ!」
びりっと来ました!
しまんより強力だ!
しまんの電撃魔法は、せいぜいうっかり触ったドアノブの静電気くらいだったが、 スーパー銭湯にある電気風呂くらい強い!
「いってー! いや、痛いよ、つるやちゃん!」
「そんな嬉しそうに言われても!」
「効いてるよー!」
「効いてたらそんなこと言わないんですよ!」
いや、マジでこれはキツイけどなー。
でも、できればビンタとかのほうがいいな。
「あいらんさん! 魔法は弱点じゃないじゃないですか!」
「魔法が使えないのが弱点だって言ったんだぞ。魔法が効くなんて言ってないぞ」
「くっ」
これはあいらんが正しい。
つるやちゃんは顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。いいねえ。
「ところで、つるやちゃんはぱんつ履いてるの?」
「な、なんですかこの人!?」
「いや、大事なことなんだよ」
悪魔ってぱんつ履かないからさ。履かないというより持ってないから。
「ぱんつってあの人間がつける下着のことですよね?」
「そうそう」
「あんなの手に入りませんよ」
「そうだよね。やっぱノーパンか」
「ふんどしを履いています」
「ふ、ふ、ふ、ふんどし!?」
「布と紐はありますから……ってどうしたんですか!?」
ふんどし……上品なワンピースを着たお嬢様悪魔がふんどし……。
「その手があったかー」
天を仰いだ。じーざす。
「え? なんですかこの人」
つるやちゃんはあいらんに「なんだこいつ」と指さしている。
「いや、すごいよ。わたらせゆがこうなるのは、大したもんだよ」
「なにが?」
つるやちゃんはぽかんとしてるが、三人は頷いていた。なかなかやるなと。
「ユウのために下着を履いてるなんてすごい」
「違うわよ! なんでこいつのために履くのよ」
「ぼくたちはおにーさんのために履いてるけど」
「なんでよ!?」
「喜ぶから」
「なんでよー!?」
つるやちゃんも天を仰いだ。
下着をつけるのは自分のためであり、俺のためなわけがない。その常識が通用しない状況を嘆いているのでしょう。
「つるやちゃん……頼むから見せてくれ……ふんどしを……ふんちらを」
「なにを言ってるんですか?」
「俺の負けでいいから……」
「ほら、勝てたじゃん」
「そういうことじゃなーい!」
ご立腹だが、俺はとにかく見たいのだ。
「じゃ、ちょっと無理やり見ますね」
「ちょ、やめろ! やーめーてーよー」
俺は強引に足首を掴み、逆さ吊り。
ぺろーんとスカートはめくれて、まぶしい白い布が。
ちらではなく、モロなのだが、これはこれで。
「こ、こんな軽々と……」
あられもない格好よりも俺の腕力に驚いているようだ。これはチャーンス。
このままではあまりにも趣がないので地面に下ろすと、 スカートをめくっておしりを突き出させる。
「よいしょっと」
「な、なんというパワーですか」
いいね~。ワンピースめくったら、ふんどしガール。こりゃいい。
「うん。負けた」
「なんでそうなるんですか!?」
「だから弱点だって言ったじゃん」
「ユウに勝つとはね」
「すごいねー」
「意味がわかんないー!」
勝ったのに、納得がいかないようです。




