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大人げなんて、なくっていい。

「どんな攻撃をしかけるんだろう」

「ごくり」

「ユウ……」


 俺は三人に、ゆっくりと語りかける。


「あのな、俺は……男は殴らない」

「えっ?」

「ん?」

「この世界の人間と逆だね。人間の男は女を殴らない」

「俺は、男は殴らない」


 大事なことなので二回言いました。

 あのさ……男の尻なんて撫でてどうすんの?

 ケツを叩いて、泣き叫んだところで。それが一体なんだって言うんだい?


「おい、男の悪魔」

「ぼ、僕ですか?」

「そうだよ。お前、命が惜しくなかったら、逃げろ。二度と俺の前にツラ見せんな」


 俺はメンチを切った。

 生まれて初めてだ。ましてやこんなガキンチョにメンチを切るなど恥ずかしいことだが、こいつは悪魔だからな。男の悪魔。

 所詮小六程度の男子。見た目も派手なわけじゃない。かわいいもんですよ。ちょっと睨みつければビビって逃げるだろ。


「はー? なに、このおっさん? 悪魔軍なめてんの? そいつらみたいなブスに勝ったくらいで、僕に勝てるわけないじゃん」


 あ―――――。こりゃだめだ。

 超ド級のクソガキだったわ。

 こいつ、終わったな……。


「ゆきう、ドラゴン召喚」

「お? う、うん」


 ゆきうが召喚している間に。


「しまん、あいらん。腕と脚を奪って動けなくするんだ」

「え?」

「3人がかり?」

「そりゃそうだろ。むしろ俺が手を出さないなんて、寛容なもんだよ」


 左右から迎撃しようとするが――ガキは直接俺を狙う。


「負けたブスはどいてろっ!」


 押しのけて、俺の前で両手を構える。


「はあっ」


 小賢しく、なにか魔法を使ってきた。なんだ? なにこれ?

 ファイアーボールですか? 波動拳ですか? なんでもいいや。


「うらっ」


 なんだかしらんが、弾き飛ばした。

 俺にとっては、ドッジボールに等しい。


「ば、バカな!?」


 驚いてるよ。

 悪魔を3人従えてる時点で、わからないものかね。この俺の圧倒的な力を。

 俺はただの人間だが、お前はただのクソガキに過ぎないんだよ。


「ほら、羽交い締めにするんだ」

「うん」

「やるぞっ」


 左右から腕を絡め取るふたり。


「やめろっ」

「あっ」

「んっ」


 この野郎、ふたりの胸を押しやがった。

 ――殺す。


「ドラゴン召喚したよーっ」

「炎を吐きまくれ」

「お、おー」


 ドラゴンは、ゆきうの命令を見ると丸い目をくりくりとさせて、こくりと頷いた。こいつカワイイな……。

 しかし、口を開けるとおっかないね。牙がすごくてねー。

 のっしのっし歩いていって、炎を吐いた。


「なんだ、この生き物……って熱っ! 熱い!」


 クソガキはドラゴンを知らないらしい。魔王軍をなめるなと言っていたが、こいつら別にそういう情報共有してねえからな。

 ドラゴンの炎はシャワーのように降り注ぎ、まるで腰の当たりに大量の手持ち花火を浴びせているような感じだ。まるでいじめですね。こいつにわからせるという意味では正しいことです。


「あいらん、しまん、逃がすな!」


 手首を捕まれ、肩を押され。

 火を浴びせられるクソガキ。


「ああああーっ! ああーっ!」


 完全に女子にいじめられてる男子ですね。それが羨ましいと思うやつもいるだろうぜ。


「よし、もういい」


 ドラゴンは還っていった。

 ガキは腹を抑えてうずくまる。軽く火傷でもしてるかね。


「あいらん、しまん、踏んづけなさい」

「えっ」

「えぐ……」

「早くやりなさい」


 それぞれ肩を踏む。これで動けないね。ま、顔を踏んでもよかったんだが。


「ゆきう、両足を持って足を広げなさい」

「こ、こう……?」

「そして、右足で、股間を思いっきり踏みなさい」

「こう?」

「ああああああああーっ!!!」

「ぐりぐりしなさい」

「こう?」

「ああああああああーっ!!!」


 女子二人に踏まれながら、さらに女子に電気あんまを食らう。

 いやー、羨ましいね。小学生に戻ったらそうなりたいもんね。


「ほら、みんな踏んで踏んで」

「ぎゃあああああ!」

「そんだけ声が出るなら、まだ余裕があるな。もっと踏んで」


 3人が、ダンダンとストンピングを繰り返すと、そのうち動きがなくなった。


「よし。やめ」


 三人が足を離す。

 ガキはぐったりしている。

 股間は濡れていた。


「あいらん、水魔法」

「は、はいっ」


 従順なあいらんは、魔法を詠唱させる。

 ドシャ―っと、バケツの水をひっくり返したように叩きつけた。


「……」


 いいね。トイレの個室でのいじめみたいでよ。

 俺はガキに近づく。


「おう、火傷は治ったかい」

「……」

「優しいだろ? 俺は」

「……」

「なんとか言えやコラぁ!」

「「ひいっ」」


 俺のガチの怒りに、あいらんとしまんとゆきうは悲鳴を上げた。俺の真の怒りを初めて目の当たりにしたのだ。いや、俺もこんなの初めてだ。男子のガキが俺に舐めた口を聞くとか。

 俺が直接殴ってたらホントに殺してるぞ。


「ガキ。二度と俺の前に現れるな。人間にも手を出すな。そして男の悪魔たちにも伝えておけ。お前みたいにションベンちびらせるってな」

「……」

「わかったのかコラァ!」

「……はい」


 俺は一瞥をくれてから、3人の肩を抱いて町へ向かう。


「熊とかトードは殺してるのに、今の方が怖かったぞ……」


 あいらんは、すっかり顔を青ざめさせて、今一度わからされた顔をしていた。


「ユ、ユウが男を殴らないのわかった気がする……」

「おにーさんを怒らせるのは絶対にやめようね……」


 二人はおびえている。まあ、これはこれでいい効果だと思っておこう。


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