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ラオン、悪魔たちのもとへ出向く

赤い空に黒い雲が浮かぶ闇の世界にて、一つの戦いが繰り広げられていた。

様々な動物の頭の悪魔達が取り囲むなか、彼らの中心に紫の髪の女と、青い屈強な悪魔が戦っている。

倍以上の体格差だが、そんなものなど意味を成さない戦いだ。

紫の髪の女はラオンだ。悪魔の拳を巧みにかわし、飛んできた腕をナイフで切りつける。

悪魔は青い血を流しながら悔しそうに息を荒げる。

「ちくしょう!このブドウ頭めがぁ!!」

「例えが謎なんだよおおお!」

悪魔の台詞とラオンの台詞が交差すると同時に飛び出しあう!

悪魔は拳でラオンを殴り潰そうとし、ラオンはエネルギーをナイフに纏わせ、紫の電撃を纏う刃に変える。そして、飛んできた悪魔を蹴っ飛ばし、怯んだところへナイフを振り下ろし、斬りつける!

そのあまりの勢いに悪魔は顎から地面に叩きつけられ、電気が飛び散る。

ラオンの必殺技、紫電斬りだ。

気絶し、目をグルグル回す悪魔を横目に、ラオンはまだ紫電が残っているナイフを振るって自信満々だ。

「すげえ!馬鹿力悪魔のゴーンを倒したぞ!!」

歓声をあげる悪魔達。


「何をしている」

そんな騒がしい声のなかでもよく通る声が聞こえてきたかと思うと、悪魔達は突然道を開け始めた。

開けられた道から歩いてきたのは、黒いツインテールを揺らしながら向かってくる闇姫だった。

闇姫の近くには、青いダイヤに黄色い角と鋭い目がついたようなモンスターが浮遊しながら一緒に向かってくる。

一見威厳のないこのモンスターは、闇姫軍最強の戦士、闇姫軍四天王の一人である男、ダイガルだ。

周囲の悪魔達は二人を前に次々に膝をつき、頭を下げる。

そんななか、ラオンだけは気絶した悪魔、ゴーンの頭に足をのせるだけで膝すらつかない。

そんな彼女に、闇姫はもう一度こう聞いた。

「何をしている」

「苛ついてんだよ!闇姫、お前も相手しろ!」

ラオンは闇姫にナイフを向ける。膝をついていた悪魔達はあまりの無礼に我慢ならず飛び出そうとしたが、ダイガルが左手をあげて彼らに静止をかける。

そして地に降り立ち、ラオンを見上げながら近づいていく。

「闇姫様が出るまでもないわ。この俺が捻ってやろう」

ヤル気満々のダイガル。

れなたちの仲間であるラオンは闇姫との付き合いも長く、このダイガルの強さの事も知っていた。

強い相手ほど燃えるものだ。ラオンはナイフを振るおうとするのだが…。

「待てダイガル。こんな礼儀も知らない能無しに構ってる暇はない」

闇姫が、静止をかけた。

「は!?んだとてめえ!」

ラオンは怒鳴りつつも、飛び出そうとしない。

ビビってる訳ではない。しかし、闇姫が戦いを避ける時は本当に何かしらの事情が存在するのだ。

「ダイガル。こいつらより今は悪鬼の相手だ」

闇姫が背を向けると同時にダイガルもどこか納得いかなそうな顔をしながら背を向けた。

悪鬼、というワードに反応するラオン。ナイフを下ろし、闇姫達を追うように歩み寄る。

「おい、お前らも悪鬼に悩まされてるのか?」

「悩まされてる、という程でもないがな」

正直このまま無視されるかと思っていたラオンだが、意外にも闇姫はあっさり足を止めた。ダイガルも空中で静止する。

「お前らもせいぜい気を付ける事だ。どうせ今回も面倒な件に自ら首を突っ込むのだろう」

ラオンはナイフを構え直し、自身の胸に添えたポーズをとってみせた。

荒れてる女だが、変なところでお茶目なのだ。これは、当たり前だ、という意味合いのポーズだろう。

それに対しては闇姫は特に反応せず、姿勢を変えぬまま答えた。

「お前らを殺すのは私だ。悪鬼風情に殺されるな」

それだけ言い残すと、またゆっくりと歩んでいった。

ラオンはそれ以上後は追わなかった。

闇姫まで手を焼いているという事なら、自分だってこうウカウカしてる訳にはいかないと思ったのだ。

そうと決まればと、ラオンは帰ろうと闇姫とは反対方向へ体を向けた。


「おらああ!!逃げられると思ってんのか!アタシら全員を倒すまで逃がしゃしないよ!」

ラオンの前に立ちはだかる、カマキリの頭を持つ長身の女悪魔。

同時に周囲の悪魔達も次々にラオンに襲いかかってくる!

このまま帰れるとは思っていなかったラオンは直ぐ様ナイフを構え、彼らを迎え撃とうとしたが…。


突然凄まじい風が吹き、大柄な悪魔達が吹っ飛ばされてしまう。

周囲の石の塀を貫くほどの勢いで吹き飛ばされる悪魔達。


無数の悪魔が倒れるなか、呆然とナイフを構えるラオン…。

ふと見ると…闇姫が背を向けたまま、裏拳を繰り出していた。

今のは、闇姫の裏拳の風圧だったのだ。

あれだけの風圧でも、ダイガルはびくともしておらず、近くで拍手している。

「とっとと帰れ」

闇姫の言葉に、ラオンは少し微笑んだ。

その日は言われるがまま、素直に帰路を辿ったラオンだった。

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