バタコ、発進!!
「よっし……充電完了ッ!」
小型のプロペラが「バタコ」の頭上にまっすぐに取り付けられていて、それがブウゥン!と音をたてて風をうけて回転する。
そこで発生させた電力を、「バタコ」の中の蓄電池に溜める作業が完了した。
思ったより、ダメージは小さい。
ボディの傷もある程度はあるけど、走行できない程じゃない。
問題は…。
とハンスが考えていると、少し離れた森から爆発音が聞こえてきた。
ドォ――――……ッ……!!!
黒煙が上がって、少しだけ炎も見える。
爆炎らしい。
「何だい、何だいッ?!」
寝ていたコニーが、寝ぼけた顔をハッチから出す。
「姐さんっ! まだ熱があるんですから、寝ててくださいっ!」
「ンなコト言ったって、今のは完全に爆発じゃあないかッ! そんなことがあるのに、大人しく寝てられるかってンだ!」
首だけ出してるコニーは、モゾモゾ身動きをしていた。
きっと、「ダベェ団」の衣装に着替えている。
「無理しないでくださいよぉ……姐さん」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ!!」
素早く、ハンスは干していた洗濯物を取り込んだ。
伸ばしていた紐を回収。
コニー専用のパラソルも、座っていたチェアも車内へ放り込み。
運転席に座って、眠っていた「バタコ」の電源を入れる。
すぐに、正面の壁に外の様子を映し出すモニター画面が表示された。
『バタコ、バタコ、バタコ、バタコ――――ッ!!』
モニターに映ったのは、必死の形相で全力疾走し。
腕には、可憐な赤いローブをまとった美しい少女…サラサラの金髪に、美しい白肌の細い脚。全体的に華奢で、まだ10代くらいの子どもを腕に抱えて走る……サムスの姿。
「―――とうとうロリコンに走って……誘拐でもしてきたのかい? サムスのヤツ…」
「いえ、どうやら違うみたいですぜ。姐さん。……ありゃあ、何かから逃げてる」
「逃げてる? ―――何からだい?」
「………す……すっげぇ……見たこともないくらい……デカい、狼……です……」
ハンスが、モニター画面とは違う望遠鏡カメラを覗いていた。
移っていた光景に、顔を青くしている。
すぐにメインモニターにも、巨大な狼の姿が映り始めた。
「何だい―――あの化け物はッ! ……と、とと、とりあえず、戦闘準備!」
「合点・了解・アイアイサーッ!」
◇ ◇ ◇
停車している「バタコ」の主電源が入り、稼働を始めている。
全力疾走しているサムスにも、「バタコ」の主砲である小型大砲の砲塔が動き始めるのが見えた。
「あった―――――ッ! バ・タ・コ――――ッ!!」
「あれが……『バタコ』…なの?」
「そうだッ!!」
「……何……あの、ゴツゴツした……馬車…」
「馬車じゃない! バタコ……俺たちの味方だッ!」
歓喜しながら、サムスがバタコへとジャンプ。
ちょうど良いタイミングでハッチが開くと、腕に抱えたお姫様ごと……サムスはバタコの車内へと乗り込んだ。
「おかえりッ! サムス!」
「その女の子は何だい? 誘拐でも、してきたのかい?」
バタコの車内にいた、コニーとハンス。
サムスの仲間である2人を見て、目を見開いてレイナは驚いた。
「――――うわ、これが……お兄さん……サムスの仲間? ……あ…はじめまして~♪ 大魔法使いの、レイナ・ストレンジです♪ 魔術学院中学部3年の、15歳です♪」
「あ……よろしく……僕はハンスです」
「あぁ……よろしく…私は……レディ・コンスタンス」
急に登場した、金髪色白美少女。
その容姿にハンスも顔を赤くしてお辞儀した。
でもコニーだけは、ブンブンと頭を振って我に返る。
「すっとぼけた事言ってんじゃないよッ! 今は――――戦闘中だよッ! 挨拶は、終わってから言いな!」
直後。
間近まで接近したフレイム・ウルフの黒い巨体が、バタコに体当たりした。
ドガンッ!!!
強烈な衝撃音と共に――――バタコが数十mもフッ飛んで、地面を転げまわる。
◇ ◇ ◇




