地に埋もれたランドセル
銀杏の下は、幾重にも重った黄金色の絨毯が敷かれている。
そこに銀色に輝くランドセルを背負った人物が2人歩いてきたかと思うと、おもむろに真っ白なズボンに覆われた足を黄金色の絨毯に差し込み、思い切り蹴り上げる。
舞い上がった銀杏の葉が、吹く風の波に揺られて、冒険の旅に出る船のようにひらひらと舞う姿に、何ら感慨を覚えることもなく、2人はひたすらに絨毯を蹴散らしていた。
そうして茶色の地面を目にすると、まるで宝箱を掘り出すかのように、今度は白の手袋に覆われた両手でがむしゃらに土を掘り返していく。
指先が黄土色に染まることも気にせず、両膝を地につけ、一心不乱に土の層をかき分けていくと、しばらくして、雪のように真っ白な、だが雪とは似ても似つかない粘り気のある層に辿り着く。
「ここも駄目か」
「くそっ。どこまで蔓延ってやがるんだ、この土地細胞ってやつは」
1人が銀に輝くランドセルを地面に下ろすと、そこから瓶を1本取り出し、地面に撒き始めた。
「まだこの程度なら薬品撒くだけで済むが、膿のような塊が出たらこの辺り一帯焼き尽くすしかないらしいな」
「まるで地球に巣食う肺嚢腫だな」
「これも空気を汚してきた天罰なのか……」
白服の2人は、薬剤を撒かれ、じゅうと音をたてそうな白い煙を放つ穴を、煙が消えるまで見つめていた。