表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/135

第97話 サンタニアにて

 

 電車に乗ってサンタニアに着くと、すでに多くの人がごった返していた。


「"ほ、本当に来ちゃったよ……"」


「"良いのよ。すぐに帰れば大丈夫だわ"」


 ニコニコと笑うリリアちゃんを見ていると、確かに来てよかったとは思ってしまった。


「"カバンに色々と詰めてくれてありがとう。よく考えたら財布くらいしか要らなかったけど"」


「"あら? 何があるか分からないわよ? 備えあれば憂いなしよ"」


「"だからって、クリスマス会の時のお菓子や引き出しに入れてたガラクタまで入れなくても……"」


 カバンの中を見て呆れながら俺はため息を吐く。


「"どうして、急に外に出たの?"」


「"……私、間違ってた。これからはもっと素直に生きてやろうって思って。私、本当は外に出るのもお祭りも結構好きなの。まずはあんたにそれを知ってもらうわ"」


 そんなことを言うと、鼻歌を歌い始めたリリアちゃんを連れて俺はサンタニアのカウントダウンが行われる時計台広場へ向かう。


「"いいか~押し合うんじゃねぇぞ~! みんなで楽しく! 節度良く!"」


 会場に向かう途中で拡声器を持って群衆に指示を出している知り合いを見つけた。


「"ジョニーさん! 今回もお仕事されているんですね!"」


「"おぉ! 山本じゃねぇか! お前も年末のカウントダウンをしに来たのか? おっ? 今度は金髪のかわいこちゃんを連れてるのか!"」


「"お……犯される……シャブ漬けにされて、海外に売られる……"」


 とんでもないことを口走りながら、リリアちゃんは震える。

 確かに、こんなに入れ墨だらけで強そうな人を見たら怖がるのも無理はない。

 実際はボランティアで警備をしている凄く優しい人なんだけど。


「"人は多いが、通路が広い。以前、ここで銃乱射事件があった時も群衆事故はなかった。とはいえ、何があるか分からないから一応チームで警備をしてるんだ! 今日は怪我人の一人も出さねぇぜ!"」


「"寒い中、お疲れ様です。俺たちは勝手に病院を抜け出してきているので、年越しだけしたらすぐに帰ります"」


「"おぉ! 良いじゃねぇか! やっぱり少しくらいはヤンチャしなきゃ楽しくねぇよな! 急いだ方が良いぜ! もうすぐカウントダウンだ!"」


 ジョニーさんは俺たちを咎めるどころか豪快に笑った。


「"本当ね! あと5分しかないじゃない! 山本、走るわよ!"」


「"あっ、リリアちゃんズルいよ! 自分は車いすに乗ってるだけだからって!"」


「"いいから、急いで!"」


 ジョニーさんに見送ってもらいながら、リリアちゃんの車いすを慎重に押していく。

 時計台の中心に近づくにつれて人もどんどん増えていった。


「"だいぶ近づいてきたわね! 中心の時計台のところまで連れて行って!"」


「"えぇ? ここで良いんじゃないかな? 車椅子だとこの人混みは動けないし……"」


「"あ、あんたが抱きかかえれば良いでしょ? し、仕方なくなんだからね!"」


 俺はお願いされた通り、リリアちゃんをお姫様のように抱きかかえる。

 リリアちゃんは冬の寒さに顔を赤くしながら俺の腰にギュッと抱き着いた。

できれば良いペースで投稿を続けたいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
小説家になろう年間1位!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
漫画も発売中!

    
新刊!7月25日発売!予約受付中!
『山本君の青春リベンジ!』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▲▲▲  
新刊!次巻は8月発売!
『【漫画】ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ