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第79話 お料理作戦その4


「"じゃあ、マグロ! マグロをちょうだい!"」


 さっそく、リリアちゃんが元気よく手を上げた。


「"マグロね! 任せて!"」

 

 俺は集中すると、あらかじめ切り身にしていたマグロを左手のひらに載せる。

 そして右手でシャリを掬い取り、マグロの上に載せて軽く指で押す。

 立て返しをして軽く握ると、リリアちゃんの目の前の寿司下駄に出来上がったお寿司を置いた。


「"へい、お待ち!"」


 完成したマグロのお寿司を見て、リリアちゃんは瞳を輝かせた。


「"これよ、これ! 凄いわ、私が前に食べた奴よりずっと綺麗! しかも、凄い速さで握るのね!"」


 お寿司に醤油を付けると、リリアちゃんは手づかみで口に運んだ。

 そして、幸せそうな表情で「ん~♡」と唸る。


「"し、信じられないくらい美味しいわっ! こんなにおいしい物、生まれて初めて食べたかも!"」


 2人にお茶を淹れながら、俺は心の中でガッツポーズをする。


「"喜んでもらえてよかった。まだまだ握るから、好きなモノを言ってね"」


 柏木さんも俺の様子を見て感心していた。


「"サマになってるな。プロの板前だと言われても疑わないくらいだ。その分だと、随分と練習したんだろう?"」


「"あはは、練習は大変でしたが楽しかったですよ。ネットにある動画を見ながら練習しただけですけどね。柏木さんも練習の為に何度もキッチンを貸していただきありがとうございます"」


「"そういえば、お前は人の真似をするのが上手いよな。英語もすぐにネイティブと変わらない発音になったし。今回も同じような感じか"」


「"えっ、日本人ってみんなお寿司を握れるんじゃないの……?"」


 結局、勘違いさせてしまっていたままだったリリアちゃんはたった今握ったサーモンのお寿司を食べながら首をかしげる。


 柏木さんは容赦なく真実を伝える。


「"残念ながら、お寿司を握れるのはプロの料理人くらいだし、忍者も居ないし、侍が刀をぶら下げて往来を歩いてもいないぞ"」


「"えぇ!? じゃあ、呪術師は!? 鬼とか妖怪もいないの!?"」


「"漫画の読みすぎだよ……"」


 どうしよう、サンタクロースと同じくらいのテンションで信じちゃっているよ。

 俺は中トロを握ってリリアちゃんに差し出し、なんとか物理的に口を封じて話題を終わらせた。

 『居ないよ』ってハッキリ言うのもなんだか夢を壊してしまう気がしたから。


 柏木さんも俺が握ったブリのお寿司を食べて舌鼓を打つ。


「"うん! 美味しいっ! 山本、私のために毎日作ってくれ"」


「"あはは、美味しいからって毎日お寿司だと健康が偏っちゃいますよ~"」


 柏木さんの冗談に笑いつつ、ハードルが高かった柏木さんもお寿司で満足させられたので胸をなでおろす。


 リリアちゃんは10貫ほどお寿司を食べた頃、お腹いっぱいになってきたようだった。


「"次は何を握りましょうか?"」


「"私はもう良いわ! まだ柏木の料理もあるんでしょ、少しは余裕を残しておかないと"」


 一方、お茶をすすっている柏木さんは涼しい顔で答える。


「"また一種類ずつ握ってくれ"」


「"分かりました! それにしても、柏木さん。意外と沢山食べられるんですね。もう2人前くらいは食べてますよね……?"」」


「"心配しなくても大丈夫だ、私はいくら食べても太らない体質だからな"」


「"えぇ!? か、身体まで高スペックなんですね……"」


 俺が驚くと、柏木さんは呆れた表情を見せた。


「"お前がそれを言うか。私もこれだけ食べているのだからもう少しくらい身長が伸びても良いと思うのにな。全く、私の栄養は一体どこへと消えているのやら……"」


 残念そうにため息を吐く柏木さん。


 リリアちゃんはそんな話を聞いて、睨みつけるように柏木さんの密かに豊かな胸元を見ていた。


 言いたいことは分かるよ。


すみません、気温の変化で体調を崩してしまいまして……投稿がやや遅れます。


本当はリリアちゃん編は内容を覚えている方が色々と繋がって面白い作りになっているので連続で投稿したかったのですが……本当にすみません。

引き続き、投稿を待ちつつ読んでいただけますと嬉しいです。

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