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第7話 親族たちにも馬鹿にされる。その1

 6月の初夏の頃。


 俺、山本流伽(るか)は電車で一時間ほどの場所にある実家の祖父母の農作業の手伝いに来ていた。


 農作業をしている爺ちゃんも、婆ちゃんもまだまだ元気なんだけど、親孝行も兼ねて俺はよく手伝いに来ている。


 この畑で収穫した無農薬野菜はオーナーシェフの藤咲さんからの評判も上々で『ラ・フォーニュ』の料理によく使われているほどだ。


 今回の手伝いの話を聞いた藤咲さんは「ぜひ、私にも手伝わせて欲しい!」と申し出てきたけれど、農作業はかなりの力仕事なので僕は言葉巧みに説得して何とかご遠慮いただいた。

 そもそも、藤咲さんの貴重な休みを潰したくはないしね。


「流伽、いつも来てくれてありがとうな〜」

「流伽以外の孫たちはちっとも手伝いになんて来てくれないんだよ〜」


 祖父母は俺が来るたびにそう言って凄く喜んでくれる。


「あはは、きっとみんな忙しいんだよ。今日は部活で来れなかったけど、今度はまた彩夏も連れてくるから」

「彩夏も優しい子に育ってくれて嬉しいぞ〜」


 少しだけ寂しそうな表情を見せる祖父母とお喋りをしながら俺は農作業をするための格好に着替える。


「全く、他の孫たちも少しは流伽と彩夏を見習ってくれればなぁ〜」

「何言ってるの! みんな、爺ちゃんと婆ちゃんに凄く会いたがってるよ! 今度俺がみんなを連れてくるから!」


 こんなに醜い姿のせいで、俺は親族の恥として従姉妹たちに煙たがられている。

 だから俺から説得するのは難しいかもしれない。

 けれど、寂しがっている爺ちゃんと婆ちゃんの為に何とか今度全員を集めてみようと俺は決意する。


「流伽は本当に優しいね〜」

「そうだ! 今朝は久しぶりに留美るみが来たんだよ! まぁ、手伝いじゃなくてお小遣いをせびりに来ただけなんだがね〜」

「元気な顔を見せてくれるだけで嬉しいもんさ〜」


 二人がそんな話をし始めると、ちょうど俺と同学年の従妹の留美(るみ)が金髪をなびかせて廊下を横切った。

 俺はできるだけの笑顔で話しかける。


「る、留美! 実家に来てたんだね! す、少し見ない間に大人っぽくなったな〜! あはは……」

「——チッ!」


 留美は俺を見ると、気分を害したような表情で舌打ちした。


「こら! 留美るみ! 流伽にちゃんと挨拶をしなさい!」


 爺ちゃんは厳しく叱責するが、留美は俺を見てあざ笑う。


「はぁ? なんでこいつに挨拶なんてしないといけないの? こんな奴、同じ親族なのも恥ずかしいんだけど?」


 留美はそう吐き捨てると、居間に座って人気アイドル達が映っているテレビを見始めた。


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