表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/135

第63話 漫画には興味があるみたいです


「"……本当にごめん。そんなつもりじゃなかったんだ"」


 リリアちゃんに嫌われてしまった俺は必死に謝る。


「"いいから、さっさとどっかに行って! そして、もう二度と話しかけてこないで!"」


「"そうするよ……。読書の邪魔をしてごめん!"」


 すみません、柏木さん。

 俺なんかじゃ、リリアちゃんと仲良くなることはできませんでした。


 落ち込みながら背を向ける。

 しかし、どうしても伝えたいことがあったので俺は口を開いた。


「"俺はもう少ししたら日本に帰るから。その……一言だけ良い?"」


「"な、なによ……?"」


「"『英雄遊戯』、俺も全巻読んでみたけど凄く面白かった! えっと……それだけ!"」


「"…………"」


 自分の部屋に戻ろうとすると服が後ろに引っ張られた。

 振り向くと、リリアちゃんが顔を真っ赤にして俺の服のすそを掴んでいた。


「"……ま、待ちなさいよ。話すくらいなら別にいいわ。絶対に仲良くはならないけど"」


「"――えっ!?"」


「"仕方なくよ! 仕方なく! ここで漫画の話ができるのは貴方くらいだし……"」


 初めて、リリアちゃんから近づいてくれた。

 俺は嬉しくて喜んで返事をする。


「"うん! 俺もそんなには漫画を読んでる方じゃないんだけどね……あはは"」


「"あら、何よ。期待外れかしら"」


「"でも、『火影忍者』とか、『行進の大人』、『海賊王』なんかは読んでるよ!"」


「"はぁ、全く……"」


 リリアちゃんはため息を吐いた。


「"――全部、私が大好きな漫画じゃないの"」


       ◇◇◇


「"やっぱり日本人って凄い漫画好きなのね!"」


 リリアちゃんは満面の笑みを俺に向ける。


 そのまま会話が弾み、すでに夜が明けてしまっていた。

 どうやら一晩中語り明かしてしまったらしい。


「"俺なんてまだまだだよ。凄い人はいくつもシリーズを追ってるし"」


「"そういうあなたも、実は私が知らない漫画の一つや二つくらいこっちに持ってきてるんじゃない? ねぇ、見せてよ!"」


 リリアちゃんにそんなことを言われて、心の中で冷や汗を流す。

 俺が今持っている漫画……いや、『アレ』をリリアちゃんに見せるわけにはいかない。


「"……いやぁ、残念ながらアメリカにまでは持ってきてないよ"」


 俺の様子を見て、リリアちゃんは怪しんだ瞳を向ける。


「"本当かしら? 日本人はみんな忍者だし、本当は隠し持ってるんじゃないの?"」


「"漫画を読んでるにしては偏見が凄まじい……ほら! そろそろ朝食が運ばれてくる時間だし病室に戻ろう!"」


「"……それもそうね、分かったわ。じゃあ、私が先に部屋に戻るから貴方は少し遅れて戻ってね。私たちは仲良くないんだから!"」


「"……て、徹底してるなぁ"」


 どうしても一緒には戻りたくないらしいリリアちゃんの要望を聞いてあげることにした。


       ◇◇◇


 リリアちゃんが中庭を出てから5分後。

 俺が自分の部屋に戻ってくると。


 ――リリアちゃんが俺のベッドの上で、勝手に『漫画』を読んでいた。


 足代先輩が描いた、兄妹モノの同人誌を、顔を真っ赤にしながら……。

自分が出している漫画『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』も、もしよければ読んでみてください!

下にスクロールして画像クリックで何話かは無料で読めます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
小説家になろう年間1位!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
漫画も発売中!

    
新刊!7月25日発売!予約受付中!
『山本君の青春リベンジ!』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▲▲▲  
新刊!次巻は8月発売!
『【漫画】ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
[一言] 仕込が前過ぎて忘れていました。 此処で破裂させるとは、流石です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ