第57話 助けて! 柏木さん!
――翌日。
結局、そのまま中庭のベンチで寝てしまった。
俺の肩に乗った小鳥のさえずりを聞いて、目を覚ます。
すると、女性看護師たちが周囲に集まっていた。
――どうやら、心配して俺の様子をみんなで見ていたらしい。
そりゃそうだ、外のベンチで一晩を明かすなんて普通じゃない。
「"すみません! 俺は大丈夫です! ご心配おかけしました!"」
俺はすぐに立ち上がり、必死に頭を下げるが両腕を看護師さんたちにギュッと抱きしめられる。
「"いいえ! こんなところで眠ってしまうなんて、きっと何か重大な病気だわ!"」
「"まだ病院の開業までは時間があるから、ベッドのある場所でしっかりと検査しましょう!"」
「"ほ、本当に大丈夫ですからぁ! ただ、寝落ちしただけなんですっ!"」
アイムオーケーと言い過ぎて本当に自分の名前がオーケーなんじゃないかと錯覚しつつもなかなか離してもらえない。
こんなことで多忙な皆様のお時間を取らせるわけにはいかない、そして何より……。
(う、腕に……! 腕に当たってますっ……!)
アメリカンサイズな彼女たちの胸で俺の腕が挟まれていた。
どこがとは言わないが、肥大症が再発してしまう……!
「"――あぁっ、そうでしたっ! 今から検査の予定がありました! で、ではお時間もないので俺はこれで! 皆さんお仕事、頑張ってください~!"」
咄嗟に嘘を吐いて、俺は本来訪ねるべき時間よりも早く柏木さんの診察室に逃げ込んだ。
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