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第54話 ナンバープレート 

 

 ――パァン!


 爽快な音が青空の下の運動場に響く。

 直後、火薬の匂いが周囲にほのかに漂った。


「……良い」


 先ほどの勝負で強奪――快く頂いたスターターピストルを試し撃ちして、柏木さんは小さく呟く。


「柏木さん! 次は俺の番ですよ!」

「もうちょっと余韻に浸らせてくれ! なんだこれは! こんなに気持ちの良いモノをバンバン撃てるなんて、陸上の奴らはズルいぞ!」


 柏木さんに絶対に拳銃の興味を持たせてはいけない。

 俺は強くそう思った。


 結局、渡してもらえないので柏木さんが満足し終わるまで、スターターピストルを撃たせることにした。

 俺がもらった物なのになぁ。


 柏木さんがパンパンと何度も撃つのを羨ましく見ながら、俺は呟く。


「それにしても、どうして陸上ではわざわざこんなモノを使うんですかね? 普通に音が出る機械で良いと思うんですけど。やっぱり拳銃みたいに撃つと気持ちが良いからですかね?」


 何となく感じた疑問を口にすると、柏木さんは笑う。


「このスターターピストルはゴールラインに居る者が使うことを想定されているからな。音だけだと走者が聞き取れるまでに距離がある分、時間がかかるんだ。一方このピストルは撃った直後に煙が出るから遠くからでも一目で分かる」


「なるほど! 確かに煙も音も出ますからね、これなら()()()()()()()()()()()()()()


 そんな話をしている間にようやく柏木さんは俺にもピストルを渡してくれた。


「よし、安全性は私が確認したからな。お前も撃って良いぞ」

「……それはどうもありがとうございます」


 柏木さんの言い分に俺は皮肉の感謝で返す。


 ピストルに火薬を噛ませて、俺は上に向けると引き金を引いた。


 ――パァン!


「……これは! 確かに気分爽快ですね! よーし、俺も柏木さんみたいにガンガン撃って――」

「いつまで遊んでるんだ山本。早く残りの運動能力も測定しよう。ここを使える時間は限られているんだ」

「そんなぁ」


 また柏木さんの手玉に取られながら、俺は運動靴に履き替えるとまずはグラウンドを10周した。


 ◇◇◇



「……どうでした?」


 帰ってきた俺はストップウォッチを持っている柏木さんに尋ねる。


「うむ。そうだな……」


 柏木さんはラムネを出して口に咥える。


「――明日からナンバープレートを着けて走らないと捕まってしまうかもな」


 柏木さんのアメリカンジョークが飛び出す。 

 俺の足はかなり速くなっているらしい。

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